根管貼薬剤について
根管貼薬とは、根管治療の合間に根管内へ作用させる暫間的な薬のことで、その目的は
①根管治療期間中の細菌増殖抑制
②細菌の侵入防止
となります。
一昔前までは根管内の残留細菌の殺菌と消毒を目的に行われておりましたが、近年ではその目的も上記のものへの移り変わってきております。その一つの要因となっているのが、長年使用されてきていた根管貼薬剤が骨や歯肉、神経などの歯根の周囲組織へ悪影響を及ぼしている可能性が出てきたからです。
歯医者さんの独特な匂いと言ったら分かる方もいらっしゃるかと思いますが、まさにあの独特な匂いの正体が根管貼薬剤の匂いだったのです。
確かに細菌に対する消毒効果は強いのですが、逆を言えば殺菌・消毒作用が強いということは周囲の組織に対する為害性も高いということなのです。また、その際に用いられていた貼薬材は揮発性を有しているものもあり、それがここ10年ほどで見直されてきています。
現在、最も一般的に使用されている根管貼薬剤は”水酸化カルシウム系の製剤”です。今では国内の歯科大学ほぼ全てがこの貼薬剤を用いると教育しております。水酸化カルシウム系の貼薬剤は細菌使い始められた訳ではなく、約100年前から使用されおり、安全な根管貼薬剤として広く用いられていました。
この貼薬剤の特徴は
①高いpHによる殺菌作用、有機質溶解作用
②硬組織形成誘導能
③止血、浸出液停止作用
などがあります。
実際に根管に貼薬する際は、ペーストタイプの材料を用いて根管内を水酸化カルシウムペーストで満たします。根管内の全ての部位にこのペーストが接触し殺菌効果や有機質溶解効果を得ることを目指しています。また、ペーストタイプなので根管外からの細菌の侵入を防ぐ効果もあります。仮に仮封材から細菌が漏洩しても貼薬剤を置いていることによって感染の進行を防ぐことが出来ます。
当院でも勿論、この水酸化カルシウム系の根管貼薬剤を使用しております。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
2021年11月18日 13:00