倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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世界的に見た歯内療法の実践、テクノロジーの導入

興味深い論文を見つけたので、紹介したいと思います。
オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、イタリア、カナダ、アメリカの歯内療法学会会員に対するWeb調査に関する研究です。
歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)、NiTiロータリーファイル、電気的根管長測定器、コーンビームCT(CBCT)、ケイ酸カルシウムベースの材料、ラバーダム防湿などを使用しているかどうかのアンケート調査です。
マイクロスコープを使用しているとした回答者は91.3%、NiTiロータリーファイルは97.6%、電気的根管長測定器は93.0%、コーンビームCTは91.2%、ケイ酸カルシウムベースの材料は93.7%、ラバーダム防湿は99.1%でした。
どれも歯内療法専門医(根管治療専門医)にとって欠かすことの出来ない器具や材料ですので、使用していると回答している割合はどれも9割を超えています。
特にラバーダム防湿に関しては99%が使用していると回答している事を考えると、根管治療を含む歯内療法を扱う専門医にとって如何になくてはならないものだという事が分かります。
この研究は各国の歯内療法専門医に対してアンケート調査しているので使用率が99%を超えていますが、一般の歯科医師も含めると違った結果となる事が予想されます。
この調査には含まれていない日本も同様の事が言えると思います。
 
歯内療法の分野は近年、様々な器具や材料、術式が紹介され続け活性化していますが、感染制御された環境で行うといった大前提は世界的に見ても統一されています。
 
根管治療は一般歯科医療の中でも日常的に遭遇することが多い分野ですが、だからこそ専門医による治療が必要であると考えられます。
根管治療を含む歯内療法治療は専門医を受診することをお勧め致します。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2023年10月13日 13:10

歯髄保存の材料による成功率の違い

今回は歯髄保存治療を行う上で避けては通れない材料による成功率の違いについて書いていきたいと思います。
歯髄保存治療を行う上で、何の材料を選択するのかは重要な要素の一つではありますが、それが全てではありません。
一般の歯科医師の中には歯髄保存治療を材料の違いが大きく関係しているという考え方を持った方も散見されます。
選択する材料の他にも考えるべき要素は多々あります。
例えば、歯根の状態、歯髄露出の原因、患者の年齢、歯髄の状態、修復材料の種類など様々です。
ここまでが大前提として、次に選択する材料について考えるのです。
 
今回は材料の違いで様々な論文を評価してレビューを書いている研究を紹介したいと思います。
最初の検索で1072件の研究がリストアップされ、その中から基準を満たした論文を抽出していきます。
最終的に16件の研究が今回のレビューに含まれました。
比較した材料は、ProRoot MTA、水酸化カルシウム、CEM、バイオデンティンの四種類です。
ProRoot MTAと水酸化カルシウムを比較した1年後の成功率の違いは、ProRoot MTA約89%、水酸化カルシウム約76%でした。
ProRoot MTAとCEMを比較した場合、ProRoot MTA約92%、CEM約89%。
ProRoot MTAとバイオデンティンを比較した場合、ProRoot MTA約91%、バイオデンティン約91%でした。
歯髄切断術に上記の材料を選択した場合の12カ月の成功率は上記に記した通りです。
可逆性または不可逆性の歯髄炎を患っている永久歯の治療における材料の選択をする上で今回の研究で有効であることが実証されました。
しかし、レビューを行っている論文間のバイアスなどを考慮すると全ての情報を鵜呑みにするのは慎重になった方がよいと筆者は述べています。
 
先にも述べた通り、選択する材料の違いを考えることは重要ですが、それが全てではありません。
歯髄保存治療は簡単に言うと虫歯治療です。
どこの歯科医院でも日常的に行われている治療ですが、考慮することは意外と多いのです。
歯の神経に近いような大きな虫歯の場合はもちろんのこと、削ってみるとレントゲン写真で考えていたより深い虫歯だったなんてことも珍しくありません。
そのような場合を考えると、最初の時点で歯内療法専門医による診査、診断、治療をお勧め致します。
 
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2023年08月21日 13:32

虫歯について

2022年、今年最後の記事は虫歯について書いていきたいと思います。
 
虫歯は一般的な疾患ですが、予防可能な病気です。最近の疫学的データは世界的な有病率が過去25年間高いままであることを報告しています。
 
虫歯は微生物のバイオフィルムによって誘発される疾患であり、発酵性炭水化物の食事供給によって促進・維持されます。微生物のバイオフィルムが停滞している領域でエナメル質を脱灰して虫歯となります。エナメル質の脱灰が進行すると象牙質に細菌が侵入し加速度的に虫歯は進行して内部で拡がっていきます。
健全な状態であれば、エナメル質と象牙質の石灰化した殻が歯髄(歯の神経)を自然に保護しますが、未治療の虫歯は深い病変に進行し、歯髄の炎症反応を誘発し、歯髄の壊死、膿瘍と続き最終的には歯の喪失に至る可能性があります。
実験動物モデルを用いた研究で、歯髄が虫歯によって露出する前から細菌産生産物が象牙質を通って歯髄炎を誘発することが報告されています。
エナメル質の内層の象牙質は多孔質であるため、象牙質に侵入した虫歯があると歯髄炎を誘発するリスクが発生してしまいます。また、象牙質で虫歯は横方向にも拡がっていく為、脆くなったエナメル質が欠損して歯がある日突然欠けたなんて事が起きてしまいます。
エナメル質が欠けるほど象牙質内で虫歯が拡がっている場合、その多くは既に歯髄に近接しているか到達していることがほとんどなのです。
虫歯によって歯が欠けた場合、歯の神経を取るかどうかの瀬戸際にあると思ってください。
そうならない為には、定期的に歯科医院に通い検診やクリーニングを受けることが必要なのです。
ご自身で口の中を見た時に歯が黒くなっている場合、虫歯の可能性を疑うかと思いますが、重要なのは治療介入が必要な虫歯かどうかです。これはガイドラインによって示されているので今後紹介していきたいと思います。
治療介入が必要なく経過観察となった虫歯の管理をしていく上で、これまでと同じように歯磨きをしていてもその進行は抑制できない場合が多いです。最初に書いた通り、歯に微生物のバイオフィルムが形成された部分からエナメル質の脱灰が始まる為、虫歯が出来るということはその部分の清掃が不十分ということだからです。
歯科医師あるいは歯科衛生士によるブラッシング指導や歯磨き指導を受け、デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯ブラシ以外の補助器具を使用していく必要があります。
 
歯内療法専門医は深い虫歯の治療や根管治療が専門領域ではありますが、これに至る前に予防できるに越したことはないと思っております。
口の中の状態を出来るだけ気にかけてあげることが、ご自身の歯で食べ物を長い間食べ続けられることに繋がり、それにより生活の質を落とすことなく人生を過ごすことが出来ます。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
 
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2022年12月28日 13:19

歯科麻酔  ~麻酔が効きづらい要因とは~

今回は歯科の麻酔について書いていきたいと思います。
 
歯科で使用される麻酔は局所麻酔で、日常臨床で欠かすことができない治療オプションの一つです。
歯科局所麻酔はしっかりと効かすことが出来れば、治療中の痛みはなく、不快な思いをしなくてすみます。
しかし、同じ麻酔液、用量、手技を用いているのにも関わらず、稀に麻酔が効きづらい方がいるのも事実です。
ここでは、研究で報告されている麻酔が効きづらい要因を挙げていきたいと思います。
 
麻酔が効きづらい要因は大きく二つに分類されます。
・解剖学的要因
・非解剖学的要因
です。
 
解剖学的要因としては、骨の厚さ、密度、歯根の位置、炎症の有無などが挙げられます。
歯科の局所麻酔は、多くが歯槽骨に浸透させるように麻酔を行います。
したがって、上記に挙げたような要因によっては十分に麻酔効果が得られないことがあります。
 
また、非解剖学的要因の一つとして不安感が強いことが挙げられます。
不安が高いと、神経の興奮性が高まり、痛みの閾値が低くなります。また、歯の損傷によって引き起こされる痛みと不安の間に因果関係があることも報告されています。
治療前に過度な不安を感じてしまうと、治療にも悪影響を及ぼし、結果として更に不安が増すといった悪循環に陥ってしまいます。
歯科医院側もなるべく患者さんがリラックス出来る環境を作ることが求められます。
 
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2022年08月10日 13:20

歯内治療による治癒  ~全身疾患との関連~

今回は歯内治療による根尖周囲組織の治癒に影響を与えると考えられている全身疾患との関連について書いていきたいと思います。
 
歯髄および根尖周囲の創傷治癒には、免疫応答および組織の修復と再生のメカニズム、特に骨の代謝と結合組織の再生が適切に機能することが必要となります。
自然免疫応答は病原体に対する防御の第一線であり、組織修復プロセスを開始するためには不可欠となります。自然免疫細胞の機能を変化させ、それらの走化性や食作用活性を低下させる全身状態は、創傷の治癒を遅らせ、歯髄や根尖周囲の修復を妨げる可能性が示唆されています。
 
具体的には、心血管疾患、糖尿病、喫煙、高血圧、遺伝性凝固障害、骨粗鬆症などの一部の全身状態は、非特異的免疫系を損ない、歯内治療後の歯髄および根尖周囲の治癒に影響を与える可能性があることが報告されています。
 
また、歯内治療の予後不良に関連する全身状態として、糖尿病、喫煙習慣、骨粗鬆症、HIV感染、炎症性腸疾患などを含むいくつかの全身状態が挙げられています。
 
ここから更に掘り進めてみると、糖尿病と歯内治療との関連に関する研究は1963年に根管治療前に適切にインスリン治療が導入されなかった場合、根尖周囲の治癒は起こらず、根管治療したにも関わらず病変のサイズが大きくなる可能性があることが報告されています。
そこから数多くの研究がなされ、糖尿病は根管治療の結果に関連しており、術前の予後因子とみなすことが出来ると結論付けられています。
 
上記に挙げた全身疾患がある場合、歯内治療による治癒に影響を与えることがあるため、歯科と直接関係がないと思いこまずに、初診時の問診時に現在のお体の状態を教えて頂けると幸いです。
 
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2022年07月28日 13:40

歯の亀裂  ~新型コロナウイルスとの関連は?~

今回は歯の亀裂について書いていきたいと思います。
 
歯のひび割れは、歯ぎしり、食いしばり、食べ物の熱、または硬い食べ物や物体の習慣的な咀嚼によって引き起こされることが一般的に認識されています。
これらの習慣は、不安や抑うつ症状の増加の結果として、新型コロナウイルスのパンデミック中に増加した可能性があることが示唆されています。
歯の亀裂は男性でより一般的で、ゆっくりと進行し、症例の約3%で歯の破折を引き起こします。
 
ここで、歯の亀裂と新型コロナウイルス(COVID-19)の関連を2019年から2021年まで比較した研究を紹介します。
この研究はアメリカの歯内療法グループから収集されたデータに基づいて実施されています。
データは”パンデミック前の2019年”、”最初のCOVID-19の発生年の2020年”、”進行中のCOVID-19の2021年”に分けられています。
この期間で合計2440本の歯が評価されました。
歯の亀裂のある患者さんの平均年齢は50歳前後で、そのほとんどが40~60歳であることが示されました。
歯の亀裂の発生率は2019年の4.3%と比較して、2020年では11.8%および2021年では8%と大幅に増加しました。
 
この研究では、COVID-19が特定の領域で研究対象集団の歯の健康に重大な影響を及ぼしたことを示していますが、他の領域には影響を与えなかったことを示していると述べています。
例えば虫歯や修復治療の有病率に関連する変化はありませんでした。
歯の亀裂の割合の増加は、COVID-19のパンデミックの間接的な結果であり、つまり社会経済状況の変化によるものやストレスレベルの増加である可能性があることが示唆されています。加えて、顎関節症に関連する口腔の健康へのより直接的な影響も考えられると述べています。
 
歯の亀裂は口の中に歯が存在する限り、そのリスクをゼロにすることは出来ません。
大切なのは、ご自身の口の中の状態をよく理解し、年齢や生活環境に応じて生活習慣や食習慣を見直すタイミングを設けることだと考えます。
かかりつけ歯科医院では定期的なメインテナンスを実施し、歯の神経や歯根に問題が生じた際は歯内療法専門医の受診をお勧め致します。
 
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2022年07月25日 13:30

痛みの分類  ~歯科の痛みにも様々なタイプがある?~

今回は“痛み”について書いていきたいと思います。
 
”痛み”は歯内療法の一般的な症状ですが、他が原因となる痛みとは区別する必要があります。
2020年に口腔顔面痛の国際分類(ICOP)(International Classification of Orofacial Pain)が発表されました。
これは口腔顔面痛を独自に扱う包括的な分類で、大きく6つに分けられています。
 
1, 歯槽および解剖学的に関連する構造の障害に起因する口腔顔面痛
2, 筋・筋膜性口腔顔面痛
3, 顎関節の痛み
4, 脳神経の病変または疾患に起因する口腔顔面痛
5, 原発性頭痛の症状に似た口腔顔面痛
6, 特発性口腔顔面痛
 
1の”歯槽および解剖学的に関連する構造の障害に起因する口腔顔面痛”の中でも更に細かく分類分けされており、そこから60近く枝分かれしています。
具体的には①歯髄の痛み、②歯周痛、③歯肉の痛みから更に細かく分類されています。
診断の際に常にこの分類に当てはめて判断している訳ではありませんが、このような分類があることを知っておくことが診断の一助となる事があります。
 
歯が直接の原因でない”1”以外に5つも分類分けがあり、それらがしばしば歯が原因である痛みと誤認してしまう場合があります。
そのようなケースでは歯科治療をしても痛みの改善はありません。
逆に治療介入により”1”の痛みを引き起こしてしまう場合もあります。
 
レントゲン写真やCT画像の所見で明らかに歯に問題がある場合でも痛みを生じている原因は他にあるケースもあり、それが問題を複雑にしています。
しかし、歯に問題がある場合はそれに対する治療を行うことは間違いではありません。逆にその問題が治癒することで確実な鑑別が可能となる場合があるからです。
その事を最初にしっかりと説明しないと歯科治療でいつまで経っても”痛み”が消えないと患者さんに判断されてしまいます。
歯または歯の周囲に痛みを感じているからといって、安易に歯科治療で解決するとは歯科医も患者さんも思わない事が重要です。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年07月20日 13:30

外傷後の歯髄診断  ~信頼性が低い?~

小さい子供は遊んでいる時や日常生活の中で顔面をぶつけて上の前歯にダメージを負ってしまうケースがあります。
永久歯の外傷による脱臼(歯が抜けかかっている状態)は8~15歳までの子供に頻発します。
上の前歯をぶつけて歯が脱臼している状態は、歯根膜、セメント質、歯髄の神経血管供給の破壊を伴う複雑な創傷なのです。
 
一般的に歯内療法の分野では、歯が失活していれば(歯の神経が死んでいる)根管治療の適用となります。
歯が失活しているかどうかは歯髄診断を行い検査していきますが、外傷後の歯髄はしばしば生活力が低くなっており、歯髄診断で失活していると診断されるケースが多いのです。
しかし、歯髄の状態の経過観察を続けていくと、一定期間経過後に歯髄の反応が復活するケースが多くあります。
歯にダメージを負うことは歯髄が歯の内側に入る部分である根尖部にも多大なダメージを負うことを意味しています。
その為、一時的な虚血状態となり歯髄診断で正確に検査できないと推察されています。
簡単に言うと歯の神経が仮死状態となっているということです。
 
近年、歯髄の状態を検査する手法として歯髄内の血流状態を評価するレーザードップラー法という検査法が紹介され論文でもしばしば見かけることがあります。
現在主流となっている歯髄検査は患者さんの主観を評価している関係で統一性がなく、客観的に評価できないのが最大の難点となっています。
このレーザードップラー法は歯髄内の血液循環を直接的に測定でき客観的な評価ができる為、検査の統一性が従来の歯髄検査と比べても高いと報告されています。
今回紹介している外傷後の歯髄診断においても、従来の検査法では受傷後すぐは歯髄反応がないことが多かったのですが、レーザードップラー法での検査では歯髄の血流を確認することができ、確実に歯髄が失活していない状態ということが確認できると報告しています。
 
このような新しい検査法や治療法が一般的に出回るまでは多くの論文による検討がなされています。
新しいトピックに目を通すことで日々の治療に落とし込めるよう研鑽をつむことが専門医として重要だと考えております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年06月15日 13:40

歯髄診断   ~臨床で効果的な診断方法とは~

今回も歯髄診断について書いていきたいと思います。
 
治療計画の最も重要な部分は診断であり、歯内療法では歯髄の生死(神経が生きているか死んでいるか)を正確に判断することは不可欠です。
歯髄は石灰化した象牙質のバリアに囲まれているため、歯内療法を開始する前に歯髄組織を直接検査することはできません。
したがって、歯髄の生死を決定するには間接的な方法を使用する必要があります。
最も一般的に使用される検査は、熱刺激や電気刺激を歯に与えてそれを感じられるかどうか確かめる検査です。
熱刺激は温かいもの冷たいものの二種類がありますが、歯髄の生死を検査する場合は一般的には冷刺激により検査します
冷刺激による検査を”Cold Test”、電気刺激による検査を”Electric pulp test”と呼んでいます。
さらに省略してCT、EPTと呼んだりもします。
 
一般的に、診断テストの妥当性は、その感度と特異度によって図られます。
”感度”とは診断テストによって正しく陽性と識別されたケースの割合で、感度が80%の場合は正しく陽性だと診断できたケースが80%ということです。逆に言えば、残りの20%は陽性であるにも関わらず陰性と判定されてしまうということです。
”特異度”とは診断テストによって正しく陰性と識別されたケースの割合で、特異度が90%の場合は正しく陰性だと診断できたケースが90%ということです。これも残りの10%は陰性であるにも関わらず陽性と判定されてしまうことを意味しています。
 
このように検査によって100%正しく診断することは難しいのです。
したがって検査を複数組み合わせて、その診断精度を上げていくことが必要となります。
 
とある報告では、Cold Testの感度は76%、EPTの感度は92%で、特異度はそれぞれ92%、75%と報告しています。
加えて、これら二つの検査を組み合わせた結果、歯髄に生活反応があると判定された内の97%は実際に歯髄が生きており、生活反応がないと判定された内の90%は実際に歯髄が死んでいたと報告しています。
 
実際には、歯の修復物の材質などにより全ての検査が性格に出来る訳ではありませんが、様々に工夫をして検査を行っております。
 
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2022年06月09日 13:20

歯髄診断  ~様々な検査方法がある~

今回も歯髄診断について書いていきたいと思います。
歯髄診断とは歯の神経が生きているか死んでいるのか確かめる検査のことです。
 
従来の歯髄診断は歯に電気や熱の刺激を与えてそれの感じ方によって歯髄の生死を判断しています。
現状の歯科医療では最も一般的に用いられている検査方法です。
しかし、論文ベースでの話となるとそれ以外にも検査方法はあるのです。
歯髄の生死を判定する確定的な証拠の一つとなるのが、歯髄に”血流があるかどうか”です。
その血流を測定する検査方法はレーザードップラーを用いた検査とパルスオキシメーターを用いた検査法です。
どちらも歯髄の血流に着目した検査となります。
なので、様々な研究結果をまとめてもこれらの均一性は高いと報告されています。
逆に電気や熱刺激を与える検査は患者さんの主観を頼りに行う検査なので、不均一性が高く客観的な評価が難しい検査方法なのです。
 
この様々な研究をまとめた論文では、熱刺激の内、コールドテスト(冷たいものを歯に当ててその刺激を感じるかどうか)は臨床医が利用できる簡単で最も正確な歯髄診断法であり、歯髄の状態を評価するための腫瘍な診断手段であると報告しています。
また、エレクトリックパルプテスト(電気歯髄診)(歯に弱い電気を流してその刺激を感じるかどうか)は感度が低いが特異度が高いため、結果が陰性であれば歯髄が生きているという状態を除外できる手段であると報告しています。
*”感度”とは疾患を持った人のうち、その所見がある人の割合で、”特異度”とは疾患を持たない人で、その所見がない人の割合のことです。感度が低く、特異度が高いということは、歯髄が生きていることを判定する精度は低いが、歯髄が死んでいることを判定する精度は高いということです。
これは以前より報告されていた結果と変わらないことを示しています。
 
理想を言えば、日常臨床でレーザードップラーやパルスオキシメーターを用いて歯髄中の血流や血中酸素飽和度を測定できれば良いのですが、現状それは難しい状況です。
なので、既存の検査法の特性をよく理解し、正しく歯髄の状態を診断することが重要となります。
 
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2022年06月08日 13:30

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