歯内治療による治癒 ~全身疾患との関連~
今回は歯内治療による根尖周囲組織の治癒に影響を与えると考えられている全身疾患との関連について書いていきたいと思います。歯髄および根尖周囲の創傷治癒には、免疫応答および組織の修復と再生のメカニズム、特に骨の代謝と結合組織の再生が適切に機能することが必要となります。
自然免疫応答は病原体に対する防御の第一線であり、組織修復プロセスを開始するためには不可欠となります。自然免疫細胞の機能を変化させ、それらの走化性や食作用活性を低下させる全身状態は、創傷の治癒を遅らせ、歯髄や根尖周囲の修復を妨げる可能性が示唆されています。
具体的には、心血管疾患、糖尿病、喫煙、高血圧、遺伝性凝固障害、骨粗鬆症などの一部の全身状態は、非特異的免疫系を損ない、歯内治療後の歯髄および根尖周囲の治癒に影響を与える可能性があることが報告されています。
また、歯内治療の予後不良に関連する全身状態として、糖尿病、喫煙習慣、骨粗鬆症、HIV感染、炎症性腸疾患などを含むいくつかの全身状態が挙げられています。
ここから更に掘り進めてみると、糖尿病と歯内治療との関連に関する研究は1963年に根管治療前に適切にインスリン治療が導入されなかった場合、根尖周囲の治癒は起こらず、根管治療したにも関わらず病変のサイズが大きくなる可能性があることが報告されています。
そこから数多くの研究がなされ、糖尿病は根管治療の結果に関連しており、術前の予後因子とみなすことが出来ると結論付けられています。
上記に挙げた全身疾患がある場合、歯内治療による治癒に影響を与えることがあるため、歯科と直接関係がないと思いこまずに、初診時の問診時に現在のお体の状態を教えて頂けると幸いです。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2022年07月28日 13:40