倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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歯の痛みと関連痛について

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今回は歯内療法の領域では付いて回る痛み”について書いていきたいと思います。
 
歯科を受診しようと思うきっかけは痛みなどの症状が出て思い立つことが多いと思いますが、私たちはまずその痛みの原因について診査を行います。
問診・視診・触診・レントゲン診査等を行い、原因となる異常所見があるかどうか調べます。
そこで明らかな原因が特定できたら、その部分に対する治療を開始していきます。
しかし、診査を一通り行っても原因が特定できない場合もあります。そのような時に闇雲に治療介入をしてしまうと痛みが取れず、不必要に歯を侵襲することとなります。
 
痛みの分類分けを教科書的に行うと、
①侵害受容性疼痛
②神経障害性疼痛
③心因性疼痛
のように分けられます。
 
この中でも①の侵害受容性疼痛が歯科に占める割合は最も多く、簡単に言うと炎症や刺激による痛みです。
 
また、歯科の痛みは
①歯の痛み
②その他の口腔顔面痛(orofacial pain)
とに分けられます。
 
それぞれの痛みの由来によって
①歯原性疼痛(歯科的原因による痛み)
②非歯原性疼痛(歯や歯の周囲の痛みの原因が特定できない痛み)
のように分けられます。
 
②の非歯原性疼痛は、歯科以外の全身疾患や頭部疾患が原因で歯に痛みを生じる“関連痛”もあります
 
例を挙げると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患・消化器疾患・甲状腺疾患・片頭痛や群発頭痛などの神経血管疾患・帯状疱疹などのウイルス感染症・糖尿病などの内分泌疾患・癌などの悪性腫瘍・上顎洞炎・筋・筋膜性疼痛症候群・顎関節症・三叉神経痛などがあります。
このように全身の疾患と歯の痛みと誤解するような関連痛がリンクする場合もあるので、最初の問診の際に現在治療中の全身疾患の有無を確認する必要があります。
 
また、このような関連痛は歯科の治療では改善することはなく、現在生じている痛みについてその可能性を示唆できる知識を有していることが大事となります。
最初に述べたように闇雲に歯科治療を介入してしまうと神経を取ったり、歯を抜いても痛みが取れないなんてことも起きかねません。
いくつもの可能性を考慮して診察、治療を行っていくことが原因不明な痛みに対する対処法となります。
 
歯科治療によって改善が見込めない痛みについてはペインクリニックなどの専門医、歯科以外の疾患による痛みが予想される際は医科の専門医と連携をして診察にあたることもあります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年11月29日 16:14

MTAの炎症抑制効果について

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前回までは歯内治療用材料として幅広く使用されているMTA(Mineral trioxcide aggregate)について書いていきました。
今回は私が東京医科歯科大学で研究していたMTAの炎症抑制効果について書いていきたいと思います。
 
今までの論文による報告でMTAの特性として
①優れた硬組織誘導能
②良好な生体親和性
③良好な封鎖性
④親水性
などが挙げられます。
 
しかし、歯髄保存治療で使用される場面では、本来生体内にある歯髄が生体外に露出し、また虫歯などによる細菌刺激や外界から様々な刺激を受けている状況が多く、歯髄はその時点で炎症反応が生じています。
歯髄は歯という硬い組織に囲まれているので、ひとたび炎症反応が生じると不可逆的に進行しやすい環境にあります。他の組織が炎症反応を生じると内圧が亢進し”腫れ”という症状が出ますが、歯髄は硬い組織に囲まれているので腫れることができないのです。その為、痛みが他の組織より出やすく、またその炎症反応を除去するには歯髄を除去するほか方法がなくなってしまいます。
 
MTAを使用した歯髄保存治療は良好な結果を示している報告が多く存在し、実際に診療にあたっていてもそれを実感することが出来ます。
その為、MTAには貼付した部位に対する炎症抑制効果があるのではないかと仮説を立てて研究をスタートしました。
 
私が研究した内容は炎症反応に関与することが多いマクロファージ”という細胞を主に使用しています。マクロファージは細菌による刺激や外界からの刺激を受けるとそれに反応し、周囲の細胞にそのことを伝える抗原提示細胞としての役割があります。マクロファージに対して炎症反応を抑制する効果があるのなら周囲の細胞へ刺激を受けているということを伝える反応を抑えられるのではないかと考えました。
 
最初は主に一つの細胞を使用しての実験を行い、その効果を検証していきます。
そのことを”In Vitro”の研究と言います。直訳すると試験管内で完結する研究のことです。
そこで結果を出して次の段階の”In Vivo”の研究、すなわち生体内での研究に移行します。
 
MTAによるマクロファージに対する炎症抑制効果を確認した後に、In Vivoの研究では実験用のラットを使用してMTAの炎症抑制効果を観察します。
ここでは人の歯髄保存治療と同じような環境を作ることが重要となります。
実際にラット歯髄を露髄させ、MTAによる直接覆髄を行いました。その後期間を置き、実際に歯髄内の細胞はどのような反応を起こしているのか観察していきます。
炎症反応を観察するにはその歯を抜いて歯髄を取り出し研究用の顕微鏡で観察する必要があります。なので実験の為に人の歯を使用することは出来ません。
診療中の歯髄の炎症反応の程度を測ることが出来ないのもその為です。
 
私の研究ではIn Vivoの実験においてもMTAは炎症を抑制させる効果のある物質の発現に寄与していることが分かりました。
 
このように、その材料にどのような効果があるのか検証するにはいくつものステップを踏んで検証する必要があります。
過去にどのような報告がされているのか、最新の報告はどのような結果となっているのか、日々アップデートが必要となります。
実際の診療で使用する材料はメーカーの指示に従うだけでなく、第三者の目からみてどのような効果があるのか検証している論文を調べることはとても重要なことなのです。
 
歯内療法専門医は歯内療法に関する過去、最新の論文をベースとして治療方法を作り上げていきます。それは一度決めたら不変的なものではなく、状況によって治療法も変えていく必要があります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月26日 13:00

MTAについて

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前回、歯髄保存治療に使用されることの多いMTA(Mineral trioxcide aggregateという材料について書いていきました。
 
MTAに関しては歯髄保存治療のみだけではなく、根管治療を含めた歯内療法の分野全般で使う機会がある材料であり、今回はその使いどころについて書いていきたいと思います。
 
日本の保険制度においてMTAが使える場面は直接覆髄のみとなります。直接覆髄とは歯髄保存治療の範囲内の術式です。
しかし、元々MTAという材料はアメリカのロマリンダ大学のTorabinejad先生によって歯内療法材料として開発されました。穿孔”と言って何らかの原因によって歯に穴が開いた際の封鎖用に用いられ、その後歯内療法の分野においてその適用範囲を拡大していきました。
 
現在、歯内療法におけるMTAの使用場面は以下の通りです。
①露髄部への直接覆髄
②歯髄断髄への覆髄
③根尖封鎖
④穿孔封鎖
⑤再生歯内療法時への適用

 
①については歯髄保存治療の際に用いられますが、②の歯髄断髄とは一部の歯髄を除去し残りの歯髄を保存する際に適用となります。この時も露出して外界と交通している歯髄面にMTAを貼付します。①と②を合わせて歯髄覆髄材料としての用途となります。
 
③について、根尖の直径のサイズが大き過ぎる場合、根管充填材料として最もスタンダードであるガッタパーチャを使用した根管充填ではその封鎖性が根尖のサイズが大きくなるにつれて劣ってくるとの報告があります。封鎖性が良くないと将来的に再感染のリスクが上がり再発する恐れが出てきます。根尖のサイズが大きくなってしまう原因としては複数回にわたる根管治療であったり、元々の解剖学的な形態と様々です。
そのような場合に根尖を封鎖する目的でMTAを使用します。
 
④について、穿孔を発見した際は一昔前だとプラスチックのような材料であるレジン系の材料で封鎖をするのが一般的でした。しかし、前回もお話ししたように歯科材料の多くは細かい意味で生体親和性に劣るので、穿孔部の先にある粘膜組織や骨組織などに対する炎症反応により予後があまり良くありませんでした。予後が悪い場合は抜歯も視野に入れざるをえませんでしたが、穿孔部にMTAを用いることで炎症反応が起きにくく、かつ封鎖性も良好な為、予知性をある程度は担保できるようになりました。
 
⑤については、またの機会に詳しく説明していきたいと思います。
 
以上のように歯内療法材料としてのMTAの適用範囲は多岐に渡りますが、保険診療で認められた使用方法はほんのごく一部なのです。
保険診療の範囲内だと治せる見込みがある歯を見捨てざるをえない状況が多くなってしまいます。このように保険診療ではカバーしきれない材料や器具を使用していくことが多いので、歯内療法専門医による治療は保険外となってしまうことが多いのです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
歯内療法専門医は一本の歯を残す為にありとあらゆる可能性を模索して診療にあたっております。逆に治る見込みがない歯に関しては初診時に詳しくご説明して無理に治療には進まないことがあります。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月25日 15:44

歯髄保存治療の材料について

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今回は歯髄保存治療で使用する材料について書いていきたいと思います。
 
長い間、歯髄保存治療で用いられていた材料は水酸化カルシウム”を配合した材料です。
1920年頃から用いられており、歯髄保存治療のゴールドスタンダードとされてきました。しかし、水酸化カルシウムを用いた際の予後については確実性が不確かな側面がありました。
それにとって代わる材料として1990年代より用いられ始めて出したのが”MTA”(Mineral trioxcide aggregate)という材料です。
簡単に言うと、建築現場などでよく使用されるセメントを医療用に応用した材料です。
 
MTAは私が東京医科歯科大学で研究に使用していた材料であり、その際はMTAの炎症抑制効果についての研究をしておりました。その話はまた機会がありましたら書いていきたいと思います。
 
MTAの作用としては
①優れた硬組織誘導能
②良好な生体親和性
③良好な封鎖性
④親水性
などが挙げられます。
 
①について、刺激を受けた歯髄はその内部に存在する硬組織を形成する細胞によって石灰化が生じてきます。露出した歯髄の上にMTAを貼付することで歯髄のバリアーとなる硬組織の誘導を促しやすいとの報告があります。それにより歯髄の生活状態を維持しやすい環境を作りやすくなります。
 
②について、一般的な歯科材料は生体親和性に優れているとは言えません。それは細胞に対する毒性であったり様々な要因によります。しかし、MTAは生体親和性が優れていることによって、適用した周囲の組織の治癒を邪魔することなく使用できます。
 
③について、歯髄保存治療を行う上で重要となるのが、材料を貼付してから歯髄の硬組織形成が促され状態が落ち着くまで良好な封鎖性を保つことです。封鎖性が甘いと歯と材料との隙間から感染が生じ、歯髄保存が失敗に終わることになります。
 
④について、歯科材料の多くは水分があることにより、その作用を阻害されることが多いのですが、MTAに関しては水分があることにより強固に硬化されます。それにより、出血などがある場面においてもしっかりと適用することが可能となります。
 
今回はMTAについて簡単に概要を書いていきました。
次回もこのMTAについてより掘り下げて書いていきたいと思います。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月24日 12:26

歯髄保存の条件について

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今回は歯髄保存治療を行う上での歯髄の臨床的な条件について書いていきたいと思います。
 
歯髄保存治療を行う上で重要なのが、保存できる歯髄なのかどうかという点です。臨床的に症状がなくなり経過良好に思えても、実は歯髄が失活(神経が死んでしまう)していることがあるからです。歯髄が失活してしまうと今後、根管に細菌等の感染が生じると根尖病変(根の先に膿が生じる)ができたり、それによる痛みや腫れなどの症状が出現する可能性があります。
教科書的に歯髄を保存する上での適応症は、
①露髄(神経が露出する)の危険性があるが、その直径が小さいもの
②歯髄に感染が生じていないこと
③可逆性歯髄炎であること
④確実に経過観察が行える症例
と記載されております。
 
①について、露髄した歯髄の上から材料を貼付して歯髄保存を行いますが、その大きさが小さければ小さいほど条件は良いです。教科書的には2mmが上限と記載されていますが、実際は2mm以上の露髄を認めた時でも歯髄の保存は可能になるケースは多いです。しかし、露髄の大きさが大きければ大きいほど歯髄内への感染が進んでいる場合がある為、慎重に保存可能かどうか判断していかなければなりません。
 
②について、歯髄に感染が起きている場合は最初に述べたように根尖病変が発生する可能性が高まります。なので、露髄した歯髄の状態をよく観察する必要があります。
 
③について、可逆性歯髄炎とは“炎症状態にある歯髄が元の健全な状態に戻ることができる範囲内である”ということです。逆に歯髄の保存が不可能となる状態のことを“不可逆性歯髄炎”と言います。不可逆性歯髄炎の場合は歯髄除去療法が適応となります。
 
④について、経過観察が確実に行えない場合、歯髄が失活してしまったり、症状が出てしまった際に迅速に対応することが難しくなります。無症状のまま病状が進行してしまう可能性も高いことから、長いと半年から1年ほどは定期的に状態の確認をすることが大切となります。
 
術前に歯髄保存ができる可能性が高い条件としては、
①強い自発痛(何もしないでもズキズキ痛む状態)がない
②長い誘発痛ではない(一度シミてからそれが1分以上持続するような痛み)
となります。
逆に上記のような症状が術前にある場合は歯髄保存が困難となる不可逆性歯髄の状態と判断されます。
 
術中の歯髄の状態によっても術後の予知性がある程度予測できます。
①歯髄からの出欠が軽度であり、圧迫止血により止血できる
②歯髄組織の状態に異常がない
③虫歯を全て取り除いても歯髄に大きな支障がない
などが挙げられます。
 
①について、歯髄組織は血管も含んでいることから露出することによって多少出血を生じます。炎症が強い場合、その出血の止血が困難となり歯髄の保存が不可能となります。逆に止血がしっかりと行えれば歯髄保存の可能性はかなり高まります。
 
②について、炎症が強い場合の歯髄組織からは止血ができないほどの出血が続きます。逆に歯髄の生活力が低い場合(歯髄が死にかけている)は歯髄の色が白っぽく見えたり、更に歯髄があるはずのスペースに歯髄が存在せずスカスカな状態が観察されます。このような状態の場合も歯髄保存は不可能となります。
 
③について、虫歯を全て取り除いた際に、歯髄をカバーできる健康な歯質がないと歯髄の保存は不可能となります。
 
術中にも以上のような点を注意しながら歯髄保存を試みていきます。
 
歯髄の状態を正確に把握するためには細胞レベルでの観察が必要となりますが、それは実際の診療中には不可能なので、様々なポイントを押さえながら進めていきます。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
歯髄保存治療を行う上でも大切になってくるのが、ラバーダム防湿をしっかり行い、マイクロスコープを使用して虫歯をしっかり取り除き、歯髄の状態をよく観察することです。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
2021年11月22日 10:16

歯髄保存について

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今回からは歯髄保存治療の事について書いていきたいと思います。
 
歯髄保存治療とは、教科書的には歯髄鎮痛消炎療法”覆髄法”とに分けられます。
そもそも歯髄に対する処置が必要となる原因はいくつかに分類されます。
①虫歯などが原因による細菌学的原因
②顔をぶつけた際に生じた外傷、歯科治療による機械的刺激や温度的刺激による物理的原因
③歯科材料中の化学物質などによる化学的原因
が挙げられます。
 
その中でも最も多いのが虫歯による細菌学的原因です。
虫歯が歯の神経(歯髄)に達している場合はもちろんのこと、歯髄に近接していたり、あるいは近接していなくても歯の内部構造を通じて歯髄へ影響を及ぼしていることがあります。
そのような場合に歯髄保存治療が適用となります。

また、我々が患者様にご相談されることで一番多いのが、「受診した歯科医院で症状がなくても歯の神経を取る必要があると言われたけど取る必要があるか」です。
歯髄を残せるのであれば歯科医師も無暗に歯髄除去を行いたいとは思っていないのです。では、なぜそのように説明を受けるのか?
それは、歯髄の状態を治療中に把握するのが難しいからです。虫歯が歯髄に近接している場合、歯髄内でも目に見えない炎症反応が起こっています。それは細胞レベルでのことなので臨床的に判断するのは難しいのです。
その見積もりを甘くしてしまうと術後に症状が出てしまったり、感染している歯髄を取り残すことで根の先の周りに膿ができてしまったりしてしまいます。
 
それでは、我々のような歯内療法専門医はなぜ歯髄保存治療を率先して行っているのか。
それは、術前の症状や歯の状態、レントゲン写真、CT画像、術中の歯の状態あるいは歯髄の状態をマイクロスコープで観察することで、ある程度の予知性が判断できるからです。
これは個人個人の経験を頼る場合もありますが、多くは論文的な裏打ちを元に判断しています。
それにより、高い確率での歯髄保存を可能にしております。その詳しい内容については今後書いていきたいと思います。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月19日 12:55

ラバーダム防湿について(2)

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今回は再びラバーダム防湿について書かせていただきます。
1回目では書ききれなかった重要なことをまとめていきたいと思います。
 
ラバーダムについては何回か根管治療を受けたことのある患者さんに対しても最初に説明を致しますが、ラバーダムについて知っている患者さんはとても少なく、それを付けて治療を受けた記憶のある患者さんもとても少ないのが現状です。
 
”一般の歯科医師”と”歯内療法の専門学会に所属する歯科医師”を対象にアンケートを実施したところ、”一般の歯科医師”において根管治療時にラバーダムを必ずすると回答した割合は約10%でした。それに対して”歯内療法の専門学会に所属する歯科医師”において根管治療時にラバーダムを必ずすると回答した割合は約50%でした。この結果を見ても分かるように根管治療時にラバーダム防湿を必ずする割合はかなり少ないのが現状です。
日本では、このブログでも1回目で説明させていただいた”再治療”の割合がとても多く、被せ物(クラウン)やその下に付いている土台(コア)を取り除くと、歯肉より上に出ている歯の残りの量が少ないことがとても多いのです。その状態ではラバーダムを装着することが出来ないので、”隔壁”と呼ばれる歯に囲いを作ってラバーダムを装着し治療を行っていきます。この隔壁を必ず作る歯科医師の割合は30~60%程度と報告されています。
 
私は根管治療を精密に行うことは重要なのは間違いないのですが、その根管治療を行う前準備に関してもとても重要だと考えています。この前準備を疎かにすると治療中にラバーダムの隙間から唾液が侵入したり、治療の合間にする仮の詰め物が取れたりと色々不都合なことが多く発生します。
結果的に治療回数が伸びてしまったり、なかなか症状や歯の状態が改善しない事態に陥ってしまいます。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院での歯内療法専門医による根管治療では、隔壁やラバーダム防湿をしっかりと行った環境で根管治療を実施しております。
根管治療についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、是非ご相談ください。
2021年10月15日 20:47

マイクロスコープについて

マイクロスコープ
今回は歯内療法だけではなく、歯科治療を精密に行う上では必須の器具、マイクロスコープ”について話していきたいと思います。
マイクロスコープとは歯科用顕微鏡のことを指します。歯科の分野でマイクロスコープが使用され始めてから約30年、今までは歯内療法の分野に限られた使用方法でしたが、現在では歯科の分野においても幅広く活用されるようになってきました。
元々、医科の分野では100年ほど前から使用されており、現在では耳鼻咽喉科、眼科、脳神経外科など様々な分野で用いられております。しかし、手術室での使用が大半であり患者さんがマイクロスコープを目にする機会は少なく、さらに、手術時の映像を見ることもほとんどないと思います。
数年前まで歯科におけるマイクロスコープ導入医院の割合は数%でしたが、現在ではかなり普及してきているのを実感いたします。
 
歯科でマイクロスコープを使用する利点は大きく3つあると言われています。

一つ目は拡大
顕微鏡というくらいですから拡大して診ることができ、最大で約20倍近く拡大することが出来ます。一昔前だと状況の確認に使用する程度でしたが、現在ではマイクロスコープの機能も向上したことにより、見ながら診療することができます。これにより不必要な部分を削ることがなくなり、また肉眼では見えない細かい部分の見落としなどもなくなります。

二つ目は照明です。
歯科では無影灯というライトを使用して口の中を照らして診察していますが、歯の細かい部分を観察するのはとても困難です。また、歯科医が使用している拡大鏡にライトが付いていることが多いですが、視線とズレてライトが付いていますので、診たい部分が見にくいことも多々あります。マイクロスコープでは物をみる対物レンズの部分から照明で照らしてくれているので、視線の先がライトで照らされ非常に観察しやすくなっています。

三つ目は記録です。
歯科治療ではどのように治療をしているのか説明を受けてもピンと来ない方が大半だと思います。我々の中ではイメージできることが、それらを見たこともない患者さんにとっては、丁寧に説明されても理解するのは難しいでしょう。マイクロスコープでは記録媒体を取り付けることによって診療中の記録を映像や画像として保存でき、それを用いて治療後に説明することが出来ます。ご自身の歯がどのような状態になっているのか、ご自身の目で見て理解することが出来ます。
かなり簡単ではありますが三つの利点を挙げさせていただきました。
 
マイクロスコープを所持しているだけでは診療の精度を向上させることは難しいです。きちんとその特性を理解し、診療に落とし込めるようになっていることが大切なのです。

豊島区池袋の倉本歯科医院の歯内療法専門医は診療を始めてからマイクロスコープと共に診療を詰め重ねてきており、日本顕微鏡歯科学会の認定医も取得しております。
精密な根管治療、歯科治療をご希望の際は是非ご相談ください。
2021年10月14日 14:18

ラバーダム防湿について

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根管治療で使う器具は大きいものから小さなものまで多々ありますが、これがないと根本的に治療にならないものがあります。
それがラバーダムです。
ラバーダムという単語を聞いた事がある方もいれば、聞いた事がない方もいると思います。
決して”最新の治療手技”という訳ではなく、約150年前から確立している手技なのです。
ゴムのシートに穴を開け、そこから治療する歯を出すことによって、口の中と治療する歯を隔離する為の道具です。
歯科は口の中にある歯を治療しているので、治療中の部位に唾液が曝露してしまうのはある程度仕方がないことです。
しかし、細菌感染に対する治療を行っている歯内療法に関しては、唾液中に存在する細菌に曝露されながら治療を行うことは本末転倒です。
私たちが歯内療法を最初に勉強する際、または学生などに指導する際には必ず伝えている事柄です。
 
ラバーダム防湿を行う利点は他にもあります。一つは“術野の確保”です。口の中での治療は頬っぺたや舌などが邪魔をして術野を確保するのが難しくなります。また小さなミラーを用いて治療を行っているのですが、呼気でミラーが曇ってしまい術野の観察が困難になる場合もあります。ラバーダム防湿を行うことで、頬っぺたや舌を圧排し、口の中から隔離することによって呼気による影響はほぼなくなります。もう一つは“治療用器具の誤飲誤嚥防止”です。根管治療で使用する器具は小さい器具が多く、どんなに気を付けていても何かの拍子に口の中に落としてしまう可能性がゼロではなく、落としてしまうと誤飲*1や誤嚥*2の恐れがあります。そうならない為にも口の中とラバーダムで隔離することによって、そのような事故を確実に防ぐことができます。
 
ラバーダム防湿は細菌感染と戦う歯内療法において最も大切な事であり、また治療中の術野の確保、医療事故等への防止にもなることから、当院では精密根管治療を行う全ての症例に対してラバーダム防湿を行っております。

豊島区池袋の倉本歯科医院では感染制御を徹底し、安心安全な歯科治療を提供しております。
根管治療が必要な歯以外でも歯でお悩みがある際は、是非ご相談ください。
もちろん、歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療についても受け付けておりますので、お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
*1:誤って飲み込んでしまい、食道・胃の方へ流れ込んでしまうこと
*2:誤って飲み込んでしまい、気管・肺の方へ流れ込んでしまうこと

 
2021年10月12日 15:03

倉本歯科医院

〒170-0013
東京都豊島区東池袋3-7-4
倉本ビル2階

TEL 03-3590-0418
FAX 03-3590-0418

9:30〜13:00
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休診:土・日・祝日

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