倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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歯髄診断  ~神経が生きているか死んでいるか~

今回は神経が死んでいるのか生きているのかを知る為のテストである歯髄診について書いていきたいと思います。
 
歯の神経が生きているか死んでいるかは根管治療を行う上で重要なことで、神経が死んでいる(失活)状態であれば根管治療が必要となります。
逆に神経が生きている(生活)状態であれば、他の原因を考えなくてはなりません。
 
歯髄の状態を評価するために使用される方法は、非侵襲的で、客観的で、痛みがなく、信頼性が高く、再現性があり、標準化されており、簡単医実行でき、安価である必要があります。一般臨床において最も採用されている試験は、熱試験や電気試験などの歯髄感受性試験です。
ただし、これらの試験は歯髄の感受性(その刺激を感じられるかどうか)の試験であるので、歯髄が真に生きているかどうかを評価するために必要な”歯髄の血液供給状態”に関する直接的な情報は得られません。
歯髄の生活反応の有無を知るためのスクリーニング検査みたいなものなのです。
しかし臨床において、これらは治療介入の判断材料となります。
 
これらの試験は患者さんの年齢によって信頼度が変わってくることに注意が必要です。
幼若永久歯(歯根が完成しきっていない歯)の場合、その信頼性は低くなり、逆に歯髄腔が狭窄している事が多い高齢者の場合も、熱・電気刺激による反応は鈍くなります。
 
その歯の過去の治療歴や外傷の既往の有無、患者さんの年齢、性別、性格など様々なことを考慮して検査する必要があります。
そのため、一般の歯科医院では採用されていない場合もあります。
もちろん、根管治療が必要そうな全ての方に行うべき検査ではなく、必要と判断された場合のみ行う検査です。
 
術前に根管治療が必要な状態かどうか、それによって根管治療を行うことで症状の改善が期待できるか知ることはとても重要です。
歯髄保存治療を行ってても歯髄が失活していれば、その治療は無駄になってしまいます。
歯内療法専門医はこれらの情報を整理して術前の診断を下していきます。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2022年06月03日 13:00

伝達麻酔  ~安全な麻酔~

今回は引き続き伝達麻酔のことについて書いていきたいと思います。
 
従来の歯科で用いられている麻酔は浸潤麻酔と呼ばれ抹消の神経に対する麻酔なのに対して、伝達麻酔とはそれよりも中枢側の神経を麻酔する方法です。
中枢側の神経を麻酔することで、それよりも抹消の神経も麻酔されるので、通常の浸潤麻酔では効果が得られにくい部位に対しても、しっかりと麻酔効果が得られるのが最大の利点です。
しかし、従来の伝達麻酔は神経のかなり近くに針を挿入するため、神経損傷による神経麻痺や周囲の大きな血管を傷つけてしまうリスクもあります。
その為、あまりポピュラーには用いられない手法なのです。
 
当院が採用している伝達麻酔は”近位伝達麻酔”と呼ばれる手法で、従来の伝達麻酔よりも針の刺入点を抹消側にすることで神経損傷や血管損傷のリスクを下げることが出来ます。
 
具体的に書くと、側頭筋と内側翼突筋の間には翼突下顎隙と呼ばれる隙間があります。その隙間に麻酔液を満たすことで、大元の神経への麻酔効果を得ることを目的とします。
もちろん、お口の中からこの隙間は見えないので当たりを付けて針を刺入しますが、少し逸れたとしても筋肉に麻酔されるので、神経損傷や血管損傷のリスクはありません。
また、再度麻酔を追加する際も、一回目の麻酔で周囲の組織は麻酔されているので痛みもないことが利点の一つです。
 
歯科で麻酔を効かせることは安心して治療を受けられるだけでなく、よりスピーディーに治療を進める上でも非常に重要となります。
 
従来の浸潤麻酔で効果が十分得られる際には伝達麻酔は行いませんが、麻酔効果が得られにくい部位の治療の際はオプションとして持っておくと武器になります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年03月30日 13:30

伝達麻酔   ~神経の大元に麻酔をする~

今回は前回の続きで麻酔の話を書いていきたいと思います。
 
通常、歯科で行う麻酔は注射の麻酔(浸潤麻酔)をしています。浸潤麻酔は麻酔針を歯肉に刺し麻酔液を骨に浸透させていきます。歯肉に対する麻酔も同様です。
歯肉に対しては直接麻酔液が流入しているので麻酔効果は間違いないですが、歯に対する麻酔は骨を浸透させるので歯根の位置や骨の厚みによっては麻酔が効きづらい場合が多々あります。
大部分の歯根は頬側に位置しているので頬側に麻酔を打つことで効果が得られますが、下の奥歯(大臼歯)は歯根の先端が骨内の中央から舌側に位置していることが多く、その分骨が厚いので効きづらいことが多いのです。
下の親知らずの一つ手前の歯(下顎第二大臼歯)に関しては、骨の厚みが他の歯と比べて2倍以上ありますので余計に効きづらいのです。
量を多めにしても骨内を浸透するには時間がかかるため、また一度痛みを感じると麻酔効果は得られにくいことから、いくら麻酔を足しても治療中の痛みが取れない経験がある方もいるかと思います。
そのような事を事前に回避するためには伝達麻酔を行う必要があります。
浸潤麻酔が神経の抹消に対する麻酔に対して、伝達麻酔は浸潤麻酔より中枢の神経への麻酔を目的としています。
中枢の神経へ麻酔効果が得られれば、抹消の神経が麻酔が効きづらい位置にあったとしても問題ありません。
 
歯科医師が伝達麻酔を習うのは一般的には下顎孔伝達麻酔という方法です。詳しい方法は割愛しますが、この伝達麻酔にはリスクがあります。麻酔効果を得るための神経に直接刺してしまうと神経麻痺が起こったり、周囲にある大きな血管に麻酔液が流入してしまうと急激に血中濃度が上がってしまい中毒になったり血管損傷のリスクがあります。このようなリスクがあるために下顎孔伝達麻酔は敬遠されがちな麻酔手技となっています。
 
近年(約20年前ですが)、新たな伝達麻酔の方法が発表され当院ではその方法を採用しております。
それは“近位伝達麻酔”と呼ばれる方法です。麻酔効果を目指す神経は下顎孔伝達麻酔と同様ですが、麻酔針を挿入する位置がより抹消側なので近位という用語が付属します。
詳しい方法については後に書いていきたいと思います。
 
当院では、歯内療法専門医の処置時の麻酔に関しては特に気を使っております。根管治療は痛みを伴う処置になることが多いため嫌われがちな治療ですが、しっかりと麻酔効果が得られた状態で治療が出来れば患者さんは安心して治療に望めますし、我々も治療中に余計な気を使わずに治療を進めることができるため、とても効率的なのです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年03月23日 13:30

麻酔について  ~痛みを極力感じさせない為には~

今回は歯科の治療において切っても切り離せない“麻酔”について書いていきたいと思います。
歯科の麻酔というとブスっと注射をしていくイメージがあるかと思いますが、注射の麻酔をする前にやることや、実際に刺す位置によって痛みの感じ方は変わってきます。
針を刺す前に表面麻酔を行うことで針が刺さった際の痛みを軽減することが出来ますが、麻酔液が組織内に入っていく際の違和感や痛みは表面麻酔では消すことは出来ません。
なので、表面麻酔をしても意味がないと思っている歯科医師も少なからずいますが、表面麻酔の方法をしっかりと実践することで刺さる際の痛みは極力感じさせないことが出来ます。
 
具体的には、表面麻酔を行う粘膜をしっかりと乾燥させること、これをしないと唾液で表面麻酔の効果も一緒に流れてしまいます。二つ目はしっかりと作用時間を置くこと、粘膜にしっかり麻酔の作用が浸潤するまでは時間を測り待つことが大事です。
 
表面麻酔をした後は注射の麻酔(浸潤麻酔)を行っていきます。刺す位置は表面麻酔を行った位置かつ歯肉と頬の粘膜の移行部に打ちます。粘膜の下に可動性があり、麻酔液が入っていく際の痛みが感じにくい場所だからです。歯肉とその下にある骨はそこに比べると強力にくっ付いているので、その部分に麻酔液が入ると痛みを感じやすいのです。歯肉頬移行部に麻酔を行った後は周囲も麻酔の作用が出てきますので、必要に応じて麻酔を追加していきます。
 
しかし、このように麻酔をしっかりと行ってもなお効きにくい場所があります。それが下の奥歯です。
具体的には親知らずの一つ手前の歯です。
下顎は奥にいくについれて骨が厚くなり麻酔が浸潤しにくくなります。また、他の部位の根の先は頬側に位置しているので頬側に麻酔を行うことで麻酔効果が得られますが、親知らずの一つ手前の歯は舌の側や骨の中心に根の先が位置していることが多いのです。その為、麻酔が効きづらいということが起きてしまいます。
当院ではその歯の神経に対する処置をする際は伝達麻酔という手法を用いて麻酔を行っております。
通常の浸潤麻酔は抹消の神経に対する麻酔ですが、伝達麻酔はそれよりも中枢側の神経に対する麻酔なので、麻酔効果は抜群です。
伝達麻酔にも種類がありますが、それについては後日詳しく記載したいと思います。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
当院では極力痛みを感じさせないよう最大限努力して診療しております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2022年03月18日 13:10

日本デンタルショー2022に参加してきました

先週の3/4~6にかけてパシフィコ横浜で開催されていた日本デンタルショー2022に参加してきました。
 
デンタルショーとは歯科用品を販売している企業さんが一同に会して行う展示会みたいなものです。
普段ですと、気になる機器や器具があった場合は個別に連絡を取り企業ショールームに展示を見に行くか、デモ機を持ってきていただき製品を試すのですが、気になる製品が多い場合はかなり面倒となります。
デンタルショーは気になる製品を一気に実際に手に取って見ることが出来るので、新しい発見などもあったりします。
新型コロナウイルス感染症の為、ここ数年は大きなデンタルショーが開催されていませんでした。
数年ぶりのデンタルショー開催ということで私共も参加してきました。
かなり広い会場ですので、気になる製品を全て見るとなると一日がかりとなってしまいます。
 
ここ最近は歯科業界でもデジタルの流れが来ており、口腔内スキャナーや院内IoT化の製品が多数展示してありました。
もちろん、根管治療用の製品の展示しており、チェックしてきました。
気になる製品を手に取って見ることが出来たので今後の診療に導入していきたいと思っております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年03月10日 13:10

神経を取った歯根の先には膿が溜まっている!?

今回は私の大学院の母校でもある東京医科歯科大学で2011年に発表されたデータを基に記事を書いていきたいと思います。
 
適切に神経を取り、適切に被せ物の治療をするとその成功率は80-90%程度と報告があります。
しかし、そのデータは海外の歯内療法専門医のデータなのです。
したがって、日本における一般の歯科医師が行った根管治療の成功率はそれよりも下がることが予想されます。
 
既に根管治療がされている歯を無作為に抽出してレントゲン写真を観察すると、上の前歯・上の奥歯(大臼歯)・下の奥歯(大臼歯)に関しては根の先に黒い影を認めた割合は7割近くあり、一番少ない下の前歯に関しても4割強だったと報告があります。
このデータを単純に解釈すると日本で既に根管治療をされている歯の4~7割は根の先に病変を認めているということです。
もちろん、治癒の形態として根の先に黒い影を有したままの状態になることもありますが、それでも根の先の病変の割合は高いと言わざるを得ません。
また、現在では材料の進歩や術者の技術の向上もあり、このデータが現在の歯科医師の力量だとは思いませんが、根管治療に関してはその治療の重要性があまり評価されない時代もありました。
理想的に言うと、根の先に病変がある歯の全てが治療を必要としている状況にはありますが、その全てを手あたり次第に治療介入してくのも現実的ではありません。
症状が出てきたら、周囲の組織に悪影響が出ることが予想されるときなど適切な時に治療介入していく他ありません。
 
一度、歯の神経を取ると現在の医療の水準ではそれは元には戻りません。
安易に神経を取らずに、神経を温存できる状態であれば極力神経は取らずに、そしてどうしても神経を取らざるを得ない状況であれば専門医に適切に治療をしてもらうことが重要となります。
 
根管治療や歯髄保存治療を行う場合は、歯内療法専門医に治療を受けるという選択肢を知っていただくことが私の目標です。
そうすることで、日本国民の口腔内の状態が今よりも良くなれば幸いです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年01月26日 13:00

歯の黒い部分は全て削る必要があるか?

今回は虫歯について書いていきたいと思います。
 
皆さんは歯が黒くなったら、真っ先に虫歯を疑うのではないでしょうか?
もちろん、お茶やコーヒー、タバコなどによる着色でも歯の色は変化しますが、歯が黒い部分が虫歯ではないかと来院される方はそれなりにいらっしゃいます。
 
虫歯かどうかの検査としては、歯科医師による視診、レントゲン検査など、また必要あればそれ以外の検査を併用して虫歯かどうかを判断していきます。
歯が黒くなった部分が虫歯であっても歯を削る必要がない場合もあるのです。
 
我々が虫歯と診断して歯を削って治療するかどうかは虫歯の深さ(進行度)によって判断します。
・エナメル質に限局した初期虫歯
・象牙質まで達している虫歯
・歯髄まで達している虫歯
大まかにはこのように分類します。
 
歯を削るかどうか悩むケースはエナメル質に限局している虫歯で、一般的に初期虫歯と呼ばれる状態です。
日本歯科保存学会は虫歯治療のガイドラインを出しており、初期虫歯に関しては歯の清掃性がしっかりされている状況であればフッ素塗布を推奨しており、それにより虫歯の進行を止め、歯の再石灰化を促します。
しかし、歯にフッ素を塗布するにあたって、周囲の歯に汚れが付いていないことが前提となりますので、まずは歯科衛生士による歯磨き指導であったり、歯のクリーニングを徹底的に行います。
 
ご自身では見えない部分が初期虫歯となっている場合、気付かずにそのまま放置してしまうと虫歯はドンドン進行していき、歯を削る量が増えたり、最悪歯を抜く必要が出てきてしまいます。
 
歯科医院が定期的な検診を勧める理由としては初期虫歯を出来る限り早い段階で発見し、なるべく歯を削る量を減らしたいと考えているからなのです。
小さい虫歯であっても、虫歯がある所によっては健康な部分を削らないとアプローチできない場合があり、そのような治療を繰り返すことによって歯の神経を取る処置が必要になったり、最悪歯を抜かなければならない状態に近づいてしまいます。
 
当院は歯内療法専門医が根管治療や歯髄保存治療を行っておりますが、同時に日本歯科保存学会の認定医であり、日本顕微鏡歯科学会の認定医も取得しております。
歯を削るような治療の介入が必要ない場合にはそのようにご説明し、口腔清掃指導や歯のクリーニングを実施しております。
気になる歯があったり、お悩みの歯がありましたら、お気軽にご相談ください。
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2022年01月13日 13:10

歯髄保存の意義  ~なるべく歯の神経は残した方がいいのか~

歯の神経(歯髄)はなるべく残した方がいいと言われておりますが、なぜそのように言われているのかご存じでしょうか?

歯髄は”しみる”などの知覚神経としての役割だけでなく、歯の防御機構としての”免疫”の役割もあります。
具体的には、虫歯菌や歯周病菌などの刺激から重篤な感染、炎症となるのを防ぐ機能があるのです。
痛みの症状がなくても、歯髄は日々このような刺激から歯を守っており、その防御機構が破綻してしまうと、歯は容易に感染し炎症反応が出現します。
 
また、歯髄は日々の”噛む力”の刺激からも歯を守っているという報告があります。
歯の神経を取ってある歯(失活歯)と歯の神経が残っている歯(生活歯)を比べると、失活歯は生活歯より2倍以上の力を加えるまで痛みを感じなかったそうです。
歯髄が残っていることによって、噛む際に過度な力が歯に加わるのを防いでくれ、歯が割れてしまうのを回避する手助けをしてくれます。
食べ物を噛む以外にも人は”噛みしめ”や”歯ぎしり”を日々の生活で少なからず行っており、それが歯のダメージとなっています。
それらのダメージを歯髄が残っていることによって最小限にしようと力のコントロールに一役買っていることもあります。
 
まとめると、歯髄を残した方がよい理由として
・細菌などの刺激から歯を守ってくれて、感染や炎症が起こるのを防いでくれる。
・噛む際の力のコントロールをすることによって、歯に過度な力が加わり、歯が割れてしまうのを防いでくれる

などが挙げられます。
 
しかし、歯髄を取らざるを得ない状況で無理に歯髄を残すことによるデメリットも存在するので、歯髄保存ができるのかどうかは術前の診査が重要となります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では、歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年01月05日 13:15

歯髄を保存する ~後々になって問題になることがある!?~

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歯の神経(歯髄)を取らなければならない理由は、虫歯、歯の破折、歯髄が失活しているなど様々です。


しかし、一昔前だと虫歯が歯髄に近いような場合も予防的に歯髄の除去を行っていました。
それは、その時は良くても後々になって歯髄が失活し、感染し、根の先に膿(根尖性歯周炎)ができると悪い方向に徐々に進んでいってしまうことが多かったからです。

最近では歯内療法専門医が過去の論文のデータを元にした術前診査ラバーダム防湿などによる術中の感染制御マイクロスコープを使用し歯髄状態の診断を行い、また、歯髄に貼付する歯科材料の進歩などにより、歯髄を無暗に除去せずになるべく温存する流れになっております。
 
もちろん、歯髄を保存できれば保存するに越したことはありませんが、歯髄保存を導入してから数十年経ち問題点もいくつか挙がってきております。
 
最も多く遭遇するケースは歯髄腔、根管の狭窄”です。
 
歯髄は外部からの刺激によって、その周囲から石灰化を起こしていきます。この石灰化は歯髄保存を行った際には治癒に有利に働くのですが、将来的に問題が起きてしまい根管治療を必要とする際は障害物となってしまうのです。
歯髄保存を担当した歯内療法専門医が継続してその歯を診ることが出来れば問題となることも少ないとは思うのですが、専門医でない歯科医師が歯髄腔、根管が狭窄した根管治療をやろうとすると難易度が高くなってしまい、理想的に治療できないケースも出てきてしまう可能性もあります。
そうならない為にも、根管治療が必要と言われた際には歯内療法専門医による根管治療や歯髄保存治療があることを頭の片隅に留めておいていただきたいと思います。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2021年12月22日 13:30

感染制御の重要性

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今回は歯内療法における感染制御の重要性について書いていきたいと思います。
 
歯内療法に携わる者であれば誰でも知っている論文があります。
1965年にKakehashiらが報告したThe effects of surgical exposures of dental pulps in germ-free and conventional laboratory ratsという論文です。
この論文は通常飼育のラット(実験用のネズミ)と比較して無菌飼育のラットにおける違いを、ラットの歯を露髄させ、それに起因する病理学的変化を観察することを目的としています。
通常飼育の場合、口の中には様々な細菌が存在しています。それが生体外に内は恒常性が維持され問題は起きませんが、生体内に侵入し恒常性が損なわれることによって”感染”を起こし炎症反応が生じます。
しかし、無菌飼育のラットの歯を露髄され神経を露出させても歯髄内に感染および炎症反応は生じず、生体防御反応により歯髄はデンティンブリッジと言われる硬組織によって保護されたという内容です。
この論文の重要な所は、歯内療法領域における疾患が細菌によって感染することによって炎症反応が生じ、症状が出現することを世界で初めて報告した所です。

それまでは、なぜ炎症反応が生じているのか推測はされていたのでしょうが、ハッキリと判明していませんでした。
中世ヨーロッパでは歯の中に悪魔が潜んでおり、その悪魔によって歯痛が引き起こされることを示唆させるイラストがあったくらいです。
1965年というと人類の歴史からするとかなり最近の出来事ですよね。
 
人間が生きていく上で無菌状態の中で生活することは不可能です。なので、虫歯などによって歯に感染を引き起こしてしまった場合は、その歯を治療する際に二次感染をどれだけさせないかが重要となってきます。
治療する度に細菌の量を減らすどころか、細菌の量を増やしてしまうのは本末転倒です。
 
歯内療法領域の、特に根管治療においては治療中の口の中の細菌などを根管内に侵入させない為にはラバーダム防湿”を行って治療します。このブログでも何回か書いているラバーダム防湿です。
しかし、数年前まであったラバーダム防湿の保険点数が診療項目から削除されてしまうほど、日本ではラバーダム防湿の重要性は軽く見られております。
実際に私が根管治療をする前にラバーダム防湿についても説明を行っていますが、初めて聞いた言われる患者さんがほとんどなのです。
マイクロスコープを使用したり、歯科用CTを併用したり、最新のNiTiファイルを使用したとしても、このラバーダム防湿を行っていなければ全てが無駄になってしまいかねません。
歯の状態によってはラバーダムを装着するのが困難な歯もあります。それは根管治療の全準備として、このブログでも書きました”隔壁”を作ったり、様々な種類のラバーダムシートを固定する為の”クランプ”と呼ばれる器具を用意することによって克服できます。
逆にどうやってもラバーダム防湿を装着することが困難な歯は、その場限りの治療は出来ても、予知性を担保できないので保存不可能と診断されます。
 
このように治療中の感染制御に対する姿勢が、根管治療の予後に影響を及ぼすと言っても過言ではありません。
このことを常に意識して歯内療法専門医は根管治療、歯髄保存治療を行っております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月01日 15:15

倉本歯科医院

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