歯根周囲の炎症反応について
今回は歯根周囲の炎症反応について書いていきたいと思います。レントゲン写真を撮ると根の周囲に黒い影があり、根の周りや先が膿んでいると説明を受けた方もいるかと思います。
一般的に膿とは炎症反応による産物なので、レントゲン写真の黒い影の大きさで現在の炎症の程度を測ることは出来ません。
しかし、レントゲン写真で黒い影が見えている状態ということは治療直後でない限りは、歯が感染しており、歯根周囲に炎症反応が生じているというサインになるので、治療が必要な状態と言えます。
その状態のことを教科書的な診断名で言うと”根尖性歯周炎”と言います。
書いて字のごとく、”根の先の歯の周りの炎症”のことを指しています。神経を取った歯が痛むはずがないと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、この場合、炎症反応が生じて痛んでいるのは歯ではなく周囲の骨や歯肉といった組織なのです。
根の周囲の組織に様々な刺激が加わると、生体は局所で処理しようと反応し、防御機構として炎症・免疫反応を起こします。病変部には様々な炎症・免疫系の細胞が集まり、刺激の持続に応じて骨の中に広がり、骨を越えて歯肉や粘膜あるいは顔面の皮膚にまで到達するか、もしくは歯根周囲にある歯根膜という構造を通り、歯の上の方に達します。
根尖性歯周炎は”急性”と”慢性”とに分けられ、急性化したものでは、炎症の拡大が急速で、激しい痛みや腫れなどの自覚症状を伴います。慢性化したものでは、自覚症状がほとんどないか、あっても違和感程度でゆっくり病変が進行することが多いです。
今まで症状がなくてもレントゲン写真を撮って根の周りに黒い影がある場合、歯は感染しており、炎症反応があるということになります。
根管からの細菌の刺激によって炎症反応が生じますが、生体が防御するために必要な炎症反応のスペースを確保するために骨を吸収します。
根の周りに黒い影があるということは簡単に言うと、
①根管が感染しており
②炎症反応によって歯の周りの骨が溶かされ
③膿が溜まっている
状態と言えます。
以上の状態の際は、症状のあるなしで感染の程度は測ることはできないため、症状がなくても黒い影が大きく治癒が見込めない場合は”抜歯”をいきなり宣告されることもあるかもしれません。
歯内療法専門医による根管治療の場合、治療によって治癒が見込めるか、それ以外の原因によって治癒が見込めないのかを最初の診察の際に説明していきます。
もちろん、治療介入してから問題が見つかる場合もありますが、その可能性についても治療を始める前にしっかりとご説明いたします。
もろもろの可能性を考え、ご納得した上で治療はスタートとなりますので、お悩みの歯がある場合、最初はお気軽にご相談ください。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
いきなり治療を始めるのではなく、しっかりとご説明し、同意された上で治療スタートとなりますので、お悩みの歯がありましたら、お気軽にご相談ください。
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2021年12月06日 13:10