歯根嚢胞 ~膿とは違う病態~
今回は歯根嚢胞の事について書いていきたいと思います。レントゲン写真やCT画像などで根尖の先に黒い影(透過像)を認める場合、根管内の感染が原因で根の周囲の骨を溶かし膿が溜まっていると判断することが多いです。
しかし、それが本当に膿かどうかは組織学的な検査をしないと確定診断はできません。
癌で言うと生検みたいと事です。
根尖部の透過像については組織学的に根尖膿瘍や歯根肉芽腫の場合が多く、それは通法の根管治療によって改善できることがほとんどです。
根管の形態や細菌の状態によっては通法の根管治療のみでは治癒せずに外科的な根管治療が必要になるケースもあります。
しかし、どちらも共通して言えることは根尖膿瘍や歯根肉芽腫に関しては原因の多くは根管内の細菌の感染によるものなので、それに対する処置を行います。
歯根嚢胞とは、組織学的には裏装上皮層、肉芽組織層、線維性結合組織層の三層構造からなります。嚢胞腔内には各種浸出液、剥離上皮、コレステリン結晶を認めます。裏装上皮は非角化重層扁平上皮であることが多いです。
治療法としては”摘出”となりますが、上皮層を取り残したりすると再発が多いと言われています。
歯根嚢胞に関しては、治療の第一選択は外科的摘出となります。
しかし、術前の所見からではそれが膿なのか腫瘍なのかは確定診断できません。
治療法としてはどちらも区別せずにまずは通法の根管治療を行い、それでも治癒しない場合に外科的根管治療を行います。
摘出した病変部を病理検査に出して、結果的に歯根嚢胞であったと分かるケースの方が多いのです。
難治性のケースの場合、歯根嚢胞である可能性が高いと説明を受ける方がそれなりにいらっしゃいますが、だからと言って治療の手順に大きな違いはありません。
通法の根管治療を精密にしっかり行われていることを前提に外科的根管治療に移行していきます。
そのような状況判断はやはり歯内療法専門医でないとハッキリしないことが多いのです。
歯根嚢胞の可能性があると説明を受けた方もまずは専門医による診査・診断を行った上で治療法をご相談することをお勧め致します。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年06月01日 13:40