歯髄診断 ~全身疾患が与える影響は?~
今回も歯髄診断について書いていきたいと思います。歯髄の生死を判定する上で必要な検査である歯髄診断ですが、それは歯髄の感覚神経の反応をみる感受性試験です。
この歯髄の感受性試験は全身疾患の影響を受ける可能性があることが示されています。
例えば、高血圧の方は、電気歯髄検査に対する歯髄反応を誘発するためにより高い電流が必要であり、副甲状腺機能亢進症の方は、そうでない方と比較して歯髄からの反応を得るために最大2倍の電流を必要とする場合があることが報告されています。
また、糖尿病は、歯髄の代謝変化を誘発するだけでなく、感覚構造と血管構造の両方に影響を与える可能性があることが報告されています。
ここで一つの報告を紹介します。
2型糖尿病患者とそうでない人を比較して歯髄感受性試験に対する歯髄の反応を評価する研究です。
ここでの歯髄感受性試験はCold Test、Electric Pulp Testの2種類です。
結果として、冷温および電気歯髄検査に対して、2型糖尿病の方はそうでない方と比較して有意な差はありませんでした。
しかし、45歳を超える糖尿病の方は冷温検査に対する反応が有意に低下したとされています。
この研究では、2型糖尿病の方とそうでない方を比較しても診断に影響を与えるほどの反応の違いは認めませんでした。
このことから、2型糖尿病であるかないかは歯髄診断にそこまで影響を及ぼさないことが示唆されていますが、歯髄診断は最初に言ったように歯髄の感受性試験であることから患者さんの主観による検査方法なので、どうしても統一性がない検査となってしまいます。
検査で出た結果は一つの指標として判断してその他の情報も含めて診断を下すことが重要であると考えます。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年06月20日 13:40