根管洗浄 ~レーザーを用いた洗浄液の最適な濃度は~
今回もレーザーを用いた根管洗浄について書いていきます。歯内療法の領域で最も一般的に用いられる根管洗浄剤は次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)です。
効果は抗菌性と組織溶解能力です。
根管洗浄はこのような洗浄液を根管内の隅々まで行き届かせることが理想とされていますが、現実的にそれは難しいです。
そこで根管内に洗浄液を満たした状態でレーザー(Er:YAG)を使用すると、レーザーによって誘発された大きな蒸気泡が膨張して破裂し、根管系でアコースティックストリーミングを引き起こします。
コップの中に水を入れて音叉を鳴らして水の中に入れると水が揺れるのを見たことがあるかと思いますが、それに似たような現象です。
このようなシステムをPIPS(Photon-induced photoacoustic streaming)と呼びます。
根管洗浄剤は用いる濃度によっても効果は変わってきます。
しかし、レーザーを用いたPIPSとNaOClとの相互作用に関する研究はまで不足している状態です。
そこで一つの研究を紹介します。
NaOClの濃度が、PIPSによるキャビテーション効果と流体力学にどのような影響を与えるかを調べた研究です。
結果として、NaOClはPIPSによって生理食塩水と比較して有意に強いキャビテーション効果を示しました。具体的には、レーザーにより誘起された気泡の数とその振動時間が長い点においてです。
また、濃度の異なったNaOClによる流体速度の違いについての結果は、1%、2.5%NaOClが実験群の中で早く、濃度が高まるにつれて遅くなっていきました。
以上のことからレーザーを用いたPIPSによる根管洗浄時には、1%、2.5%あたりの濃度のNaOClを使用することで効果が発揮されることが示唆されました。
現状、レーザーを用いた根管洗浄は当院では行っておりませんが、導入した際はこのような研究を参考に治療プロトコルを決定していきます。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年07月04日 13:30