外科的根管治療 ~再根管治療とどっちがいいの?~
今回も外科的根管治療について書いていきたいと思います。2021年に報告された論文では、根管治療を行い根管充填されている歯の根尖性歯周炎の有病率は39%に達すると述べています。
根尖性歯周炎の原因には、不十分な洗浄、器具操作、根管系の不完全な封鎖などが挙げられ、その他にも歯の解剖学的要因によって生じることがあります。
治癒に導けない歯内療法は、非外科的な再根管治療と外科的な根管治療によって対処することができます。
さらに非外科的根管治療でも治癒に導けない場合、外科的根管治療を検討することとなります。
しかし、非外科的な再根管治療と外科的な根管治療のどちらを最初に選択するかの議論は続いています。
ここではそれを比較検討する為に、1848件の論文から適切な論文を5つ選択して検討した研究を紹介いたします。
非外科的再根管治療を対照群、外科的根管治療を実験群と呼びます。
対照群(18.31%)と比較して実験群(7.1%)ではさらなる治療介入の必要性が少ないことが観察されました。
また実験群(82.9%)と対象群(71.7%)の歯の大部分は根尖周囲の病変の完全な治癒または部分的な治癒を示しました。
レントゲン写真による術後の評価では対照群(69.5%)と比較して、実験群(84.3%)でより良い結果を示しましたが、CBCTで分析を行った研究では対照群(96%)の方が実験群(75%)よりより良い結果を示しました。
これらを報告した著者は論文間の不均一性やバイアスが高いため、定量分析は出来なかったと述べています。
このように様々な論文を紐解き比較検討していくことで、治療の確固たるガイドラインが作られていきますが、現状では再治療を行うにあたり、非外科的再根管治療と外科的根管治療どちらが最初に行う治療法として適切かは判断できません。
その時の歯の状態によってどちらも正解の場合もあれば、どちらかを選ばざるをえない場合もあります。
治療法の選択にはそれぞれメリット・デメリットが必ず存在しますので、歯内療法専門医とよく相談して選択することをお勧め致します。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年07月15日 13:00