根尖病変の大きさ ~病変の大きさによる違いとは~
今回は根尖病変の大きさについて書いていきたいと思います。根尖病変とは根管内の細菌感染によって生じた歯根周囲の病変です。
レントゲン写真やCT画像上では黒い影のように見えます。
根管治療とは、根管内の細菌の除去および再感染を防止することによって、根尖病変の治癒を目指す治療となります。
根尖病変が大きければ大きいほど歯根周囲の骨が吸収しているということになります。
一般的に大きいほど予後が悪いと考えられていますが、研究による裏付けを紹介致します。
非外科的な根管治療の治療結果に対処する研究で、根尖病変のサイズが2~6.5mmの範囲と2.5mm~13mmの範囲とを比較すると前者がより治癒しやすく、後者は病変が持続したと報告しています。
また、違う研究では病変のサイズが直径1~5mmの歯の根管治療の成功率は86.6%であり、病変のサイズが5mmを超える場合の成功率は78.2%と報告しています。
さらに別の研究では、病変のサイズが5mm以下の場合の成功率は88.2%、5~10mmの場合は72.7%、10mm以上の場合は54.5%と報告しています。
病変が大きくなると骨の外側にあたる皮質骨が吸収され骨が開窓された状態となります。
皮質骨が開窓している場合の成功率は66.7%、開窓していない場合は85%と報告しています。
これらの報告をみても根尖病変のサイズが大きいほど根管治療の成功率に影響を与えることが分かります。
さらに、根尖病変のサイズと根管内の細菌群数の研究も紹介致します。
病変のサイズが5mm以下の場合は細菌群11.7種、5~10mmの場合は16種、10mmを超える場合は約20種の細菌が確認されました。
細菌群数が多くなれば多くなるほど、様々な細菌に対する機械的清掃や化学的洗浄が必要となりますので、その分だけ治癒に影響を与えると考えられます。
これらの研究で病変のサイズが大きいほど根管治療の治癒に影響を与えるストーリーの一端が垣間見えます。
根尖病変のサイズが大きいからといって症状が激しく出現するわけではなく、無症状のケースも散見されます。
症状がないからといって、そのまま放置すると周囲の歯や骨、血管、神経、構造物にも悪影響を及ぼすことが予想されます。
ご自身での判断が不安な方は歯内療法専門医の受診をお勧め致します。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年08月05日 13:30