根管治療後の治癒 ~黒い影が残っている?~
今回は根管治療後の治癒について書いていきたいと思います。根尖性歯周炎(歯根周囲の膿による炎症)の原因は根管内を含む歯の内部が細菌の感染することによって引き起こされ、炎症によって歯根周囲の骨が吸収され膿が溜まります。
根管治療の目的は、感染の除去と再感染の防止です。
感染を適切に除去できれば、個人の持つ治癒力によって骨が吸収された部分は骨が再生します。
骨が再生することによって根尖周囲の黒い影は消え、レントゲン写真で治癒したことが確認できます。
しかし、根管治療を行い根尖周囲の黒い影の明らかな縮小を認めても、少しだけ黒影が残存している状況をしばしば目にすることがあります。
これは単に完全に治癒に至っていない場合もありますが、他の考えられる可能性として瘢痕組織による治癒が起こっていることがあります。
瘢痕組織による治癒とは、火傷で出来た傷を思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。
皮膚は軽い傷や鋭利なものによる切り傷などは綺麗に修復されますが、火傷などによる損傷を受けると完全に元通りにはならず瘢痕組織による治癒形態をとります。
同じようなことが歯根周囲にも起こっている場合があります。
その場合、感染による慢性炎症の持続は起きていないので、更なる治療を加える必要はないと考えられます。
根管治療後の経過観察であれば推察することが出来ますが、かなり昔に根管治療をされており定期的なメインテナンス時のレントゲン写真で偶然発見された際は、現在感染による慢性炎症が起きているのか、瘢痕組織による治癒形態となっているのか判断することはとても難しいです。
小さいレントゲンの写真や歯科用CT、その歯に関する治療歴などを総合的に判断して、直ぐに根管治療の介入が必要な状況か、経過観察が妥当かはご相談によって決定いたします。
症状がなくても感染による慢性炎症が持続している事もありますので、無症状で偶然歯根周囲の黒い影が発見された際は歯内療法専門医の診察をお勧め致します。
ご心配な事がありましたら、ご相談ください。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年09月30日 13:40