歯根周囲の膿の拡がり ~日々のストレスの影響は?~
今回は根尖病変による骨吸収について書いていきたいと思います。歯髄(歯の神経)が失活すると歯髄内の免疫細胞等の防御機構が働かなくなる関係で根管内が感染を起こします。
これは以前の治療で歯の神経を取った歯も同様です。
根管内が細菌感染を起こすと、その反応として歯根周囲の骨が吸収され膿が溜まる状態となります。
そのような状況の場合、治療法としては根管治療と抜歯が選択肢として挙げられます。
今回はこのように根尖病変による骨吸収が日々のストレスによって影響を生じるかどうかを研究した報告を簡単に紹介したいと思います。
この研究はヒトではなく、ラットを用いたIn Vivoの研究となります。
ラットの歯に根尖病変を誘発させ、母体分離によってラットに日々のストレスを与えました。
これらは対照群とそれぞれ比較されました。
結果としては、根尖病変を誘発させたのみの群と比較して、根尖病変を誘発させ日々のストレスを与えられた群は有意に炎症性浸潤の強度が大きく、骨吸収の大きさも有意に大きかったと述べています。
このことから根尖病変を有している歯に対しては、日々のストレスが骨吸収の大きさに関係していることが推察されます。
生体はストレスを感じると細胞レベルで影響が出てきます。それは自分では気づかないレベルの影響です。
日々の生活をストレスなく過ごすことは困難かと思われます。
根尖病変は無症状の内に生じて、無症状の内に進行していることが多いです。
したがって、定期的な歯科医院による検診が重要となります。
ご自身のお口の中の状態を知っているのと知らないのとでは大きな違いがあります。
レントゲン写真で根尖病変を認めても無症状の為、経過観察とする場合もありますが、時間が経ってから根尖病変の拡大を認める場合は治療介入をするべきかどうかの相談をする必要があります。
定期的な検診はお近くの通いやすい歯科医院をお勧め致しますが、根管治療が必要な場合は歯内療法専門医による治療をお勧め致します。そうすることでご自身の歯を長く持たせられる可能性が高まると考えております。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年11月04日 13:00