歯の生存率 ~歯の残りの量が大事~
今回は歯の生存率の中でも残存歯質の量の重要性について書いていきたいと思います。根管治療が必要な歯の大部分は構造的に損なわれていることが多いです。
ある研究では、根管治療が開始された歯の83%が以前に治療をしてある歯で、さらにその71.3%の歯は歯冠の1/3以上に相当する歯質の喪失が見られたと報告しています。
違う研究では、根管治療後の歯の残存量が30%未満の臼歯(奥歯)の抜歯率は12.5%、30%以上残っている歯は3.5%と報告しており、残存歯質が30%未満の歯は30%以上残存歯質がある歯より約3倍も将来的な抜歯率が高くなることが分かっています。
しっかりとした被せ物を装着する上で歯肉より上に出ている歯の量が問題となりますが、1回目の治療では問題なく治療を終了できたとしても、将来的に根の先に膿が溜まったり、被せ物と残っている歯の間に虫歯が出来た場合はそこから更に残存歯質量は低下してしまいます。
歯の治療を何度も繰り返すということはその分だけ歯を残すことが難しくなる負のサイクルに乗ってしまっていることを意味します。
初回の根管治療の質が疎かだったり、感染の取り残しが顕著の場合はそのリスクは格段に上がってしまいます。
虫歯や歯周病は個人の口の中の環境や日々のブラッシングを含む口の中の清掃度合いによってセルフケアが可能ですが、根管内の感染の進行に関してはセルフケアで予防することはほぼ不可能です。
したがって、初回の根管治療こそ歯内医療法専門医による治療が必要となります。
マイクロスコープを使用して歯質の削除を最低限に留め、根管内の感染や再感染の防止を精密に行うことで将来的な再治療を防ぎ歯の生存率が高まります。
根管治療が必要と診断された際は、歯内療法専門医による治療があることを頭の片隅に留めておいていただければ幸いです。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年12月14日 13:50