根管治療の失敗の原因
今回は根管治療の失敗について書いていきたいと思います。根管治療の失敗に関連する主な要因は、根管系および歯根周囲領域における微生物感染の持続です。
根管治療が必要となる根尖性歯周炎は細菌感染が起こらない限り成立しません。
レントゲン写真で過去の根管治療について評価する機会が歯科医師には多いのですが、基本的にレントゲン写真で得られる情報から、歯の内部にどの程度微生物感染が起こっているかどうかは判別できません。
またレントゲン写真上で不十分な根管充填の所見があることが根管治療が失敗となっている証拠とはなりません。これは歯科医師の間でもしばしば誤解されます。
しかし、最高の技術水準で根管治療を行ったにも関わらず、失敗に終わったケースも散見されます。
これはどういったことが原因となっているのでしょうか。
一つは器具や洗浄液が届かない部位に細菌感染が起きている場合です。
歯根の中を走行している根管は”根管系”と表記されることもあることから、複雑に走行しています。レントゲンやCT画像で検出できないほど細かく存在しています。
このように通法の根管治療のみでは除去しきれない細菌がいること、根管治療で100%の細菌感染の除去は不可能ということを知っておくことが重要となります。
2つめは根管の外の感染です。
根管は根尖孔と呼ばれる歯根の先端から周囲の組織と交通しています。通常は歯根周囲組織には免疫応答があるので細菌が容易に感染できる状況ではないのですが、長期的な感染の持続など様々な要因が重なると、歯根の表面などの根尖孔外に細菌感染が生じてしまいます。
これも一つ目と同様に通法の根管治療では細菌の除去が不可能となります。
これらが予想された場合、次の一手となるのが外科的根管治療となります。
この記事で重要となるのは根管治療によって治らない原因を推察できるかどうかです。
過去の根管治療が不十分であることが予想される場合は再根管治療を行うことが提案されます。
しかし、何度も根管治療を行うことは根管形態の破壊を招く可能性もあり、気軽に行うものではありません。根管形態の破壊は通法の根管治療で清掃できない部分の領域を増やすことを意味しています。
そのようなリスクを回避する上でも初回の根管治療から専門医による根管治療が推奨されます。
初回の根管治療と再根管治療の成功率を比べてみると、やはり初回の根管治療の成功率の方が高いことから、根管治療は再治療をやればやるほど成功率が下がることを認知しなければなりません。
根管治療が必要と提案された際はなるべく早い機会に歯内療法専門医による診察や治療を受けることをお勧めいたします。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2023年01月11日 13:30