外科的根管治療を受けた歯の生存率 ~スウェーデンにおける研究~
今回は外科的根管治療を受けた歯の生存率についての研究を紹介したいと思います。外科的根管治療は通法の根管治療で治癒しない場合や、根尖周囲に問題がある場合、根尖へのアプローチが困難な場合、患者さんの希望など様々な理由により選択されます。
今回紹介する研究はスウェーデンの社会保険庁のデータベースを検索して一年間にスウェーデンで行われた外科的根管治療全ての歯を同定したと記載されています。
そこから最長12年間データベースを追跡して外科的根管治療が行われた歯の生存率を調査しています。
この論文における生存率とは口の中に残存している事を指していますので、口の中に残っているか、抜歯されたかの2択です。
今回対象となった歯は5622本でその内55%が女性でした。また、外科的根管治療が行われた際の平均年齢は60.5歳でした。
結果として、5622本の歯のうち、1915本(34.1%)が抜歯されたと報告されています。
観察機関中に5622人中776人(13.8%)が死亡したそうです。
この研究の欠点として、データベースの結果のみ調査をしていることから、臨床データやレントゲン画像を調査出来ない点です。
外科的根管治療が行われた歯の術前がどのような状態であったのか、抜歯に至った理由等は不明のままです。
また、スウェーデンのシステムの事までは分かりませんが、一般臨床歯科医師と歯内療法専門医が混在しているデータであると推察できます。
また、外科的根管治療を受けている平均年齢があまりにも高い(60.5歳)のも気になる点です。
筆者は、その理由としてスウェーデン国民の口腔健康状態が比較的良好であると考えているため、根管治療ひいては外科的根管治療が後年になってから行われた為であろうと述べています。
したがって、若年層を追跡調査した研究を行った場合との比較研究の解釈には注意が必要と述べています。
加えて、13.8%の人が歯を残したまま死亡していることから、外科的根管治療によって、晩年に必要となったかもしれない補綴物の交換やインプラント治療といった高価な治療を回避できたと述べています。
今回の研究における外科的根管治療後10数年の歯の生存率は約75%でした。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がございましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2023年09月28日 13:40