根管洗浄 ~なにで消毒しているのか~
今回も根管洗浄について書いていきたいと思います。根管洗浄とは根管治療の一連の流れの一つで、機械的清掃によって根管内を清掃した際に出る削りカスや機械的清掃では触れられない部分を消毒したりしています。
ラバーダム防湿をせずに根管治療を受けた方は極稀に口の中に辛い感じの液体が流れ込んできた経験はありませんか?
これが根管内を洗浄している消毒薬の一つである次亜塩素酸ナトリウム溶液と呼ばれるものです。
根管洗浄している消毒薬が口の中に流れ込んでしまうことは本来ならあってはならないことです。なので、根管治療の際は根管内に口の中の細菌を入れないことも勿論のこと、根管内で使用している器具や消毒薬が口の中に行かないようにする為にもラバーダム防湿をすることは必須なのです。
上で紹介した次亜塩素酸ナトリウム溶液とは塩素系の消毒薬です。台所で使用されている方もいらっしゃるかと思いますが、ハイターも同じ塩素系の消毒薬です。
次亜塩素酸ナトリウム溶液は、強力な抗菌作用と抗ウイルス作用を有していることから、最も効果的な根管洗浄剤として長い間使用されております。
次亜塩素酸ナトリウム溶液は有機質溶解作用を有していることから、細菌や歯髄の残渣(神経の残りカス)などを溶かすイメージです。
しかし、この次亜塩素酸ナトリウム溶液は化学的安定性に劣るため、根管内に満たしているだけではその効力はすぐに失われてしまいます。
その為、根管洗浄の際は絶えず新しい次亜塩素酸ナトリウム溶液を根管内に流入し続けないと意味がありません。
この根管洗浄は機械的清掃と同じくらい重要である為、それにかける時間も必要となります。しかし、根管洗浄をしっかり行うことを理解していてもどの程度洗浄すればいいのか理解している歯科医師も少ないのも現実です。もちろん、明確に”どの程度やれば大丈夫”というガイドラインがある訳ではないので難しいところではあります。
そういった際には様々な論文を検索して自分なりに根管洗浄のガイドラインを設定することが望ましいですが、歯科医療全般を行っている一般の歯科医師では一分野の細かい所まで網羅するのは現実的には厳しいです。
網羅しきれない分野に関しては専門医に依頼することが一般的になりつつあります。
もちろん、患者さんが歯科に対する知識が高い方の場合は自分から関連した専門医を見つけられる場合もあります。
根管治療を受ける際は歯内療法専門医による治療があるということを頭の片隅に置いておいていただけると幸いです。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年05月09日 13:30