倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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2023年5月の記事:ブログ

根管治療による歯の耐久性の変化  ~神経を取ると歯が脆くなる?~

今回は根管治療を行うことによる歯の耐久性について書いていきたいと思います。
昔から歯の神経(歯髄)を取ると歯が脆くなるとまことしやかに語られていますが、これは間違いです。
結論から言うと、歯髄を除去すると歯が脆くなるのではなく、歯髄を除去する為に噛む面(咬合面)から根管にアプローチするための穴を開けることによって歯の耐久性が低下します。
以前の考えの元なる研究は、抜歯となった歯を調査したところ根管治療を行っていた歯が多かったために、そのような考えが広まったと考えられます。
 
ここで、一つの研究を紹介したいと思います。
根管治療を行う上で、根管にアプローチをするためには根管の入り口(根管口)を直線的に明示できるようにすることと教わりますし、これは実際正しいです。
しかし、近年海外では最低限度の切削で根管にアプローチをするConservative access cavity(CAC)という考えがあります。
利点としては切削量が少なくなるので、歯の耐久性の低下を極力防ぐことが出来るとのことです。
今回の研究はこのCACと通常行われる方法(Traditional access cavity(TAC))とを異なるNiTiファイルを用いて根管形成を行い、その後の破壊耐性を調べた調査となります。
TACにて根管形成した群では破壊時垂直荷重は①16.41kg②21.60kgで水平荷重では①13.13kg②17.28kgでした。対してCACにて根管形成した群の破壊時垂直荷重は①17.19kg②14.84kgで水平荷重は①13.75kg②11.87kgでした。
この結果よりCACにて根管治療の窩洞形成を行った方が歯の耐久性を低下させないことが分かります。
 
このことから全ての症例でCACを用いた方がいいのかと問われたらそれは否です。
CACは破壊耐性に対する面では優れている治療法ではありますが、感染の除去という面では脇が甘くなってしまいます。
これらを研究している実験では何も処置されていない歯を用いて研究されており、実際の診療場面では歯に虫歯があったり、既に被せ物を装着しているケースの方が圧倒的に多いです。
CACを目指すが故に感染の取り残しをして感染の除去を疎かにしてしまう方が、将来的な歯の耐久性が低下してしまいます。
CACのような方法もあり、それが歯の破壊耐性を従来の方法より高めることは知識として知っておき、そこからいかに感染や歯髄の取り残しを防ぐかを検討することが根管治療の成功率を高め、歯の生存率を高めるのに重要だと思います。
 
難しい症例だから歯内療法専門医による根管治療が必要というのもありますが、しかし単純な治療に見えて考えなければならないことは意外に多いというものです。
根管治療が必要だと診断された歯の治療に際しては、歯内療法専門医による治療を検討ください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2023年05月29日 13:40

歯の長期的な保存  ~長期的に歯を保存する為には~

今回は根管治療後の歯の長期的な成功率や生存率を調査した研究について紹介したいと思います。
ベルギーの歯科大学で1990年から2016年の間に一人の歯科医師によって歯内療法を受けた患者の歯について調査した研究です。
総数としては1,545人の患者が含まれており、その内1,063人が初回の治療で、1,437人が再治療であった。同一の患者で複数の歯で歯内療法を受けているのでこのような割合となっています。
0~25年の範囲で追跡調査を行い、完全なデータ収集は56.4%で達成されたとのことです。
25年もの長期にわたり治療した歯の経過を追えることは極めて稀で、この研究の重要性が理解できます。
 
結果として、治療成功は5年後に約85%、20年後に約60%とほぼ直線的に減少し、歯の保存に関しては、5年後に約90%、20年後に約50%となったとのことです。
また、根管治療した歯が失われる原因として、
51% 修復不可能な歯の破折
14% 補綴物(被せ物)の理由による
12% 歯内療法上の理由による
11% 歯周病の理由で
6%  修復不可能な虫歯の進行
との調査結果が得られました。
 
このことから、歯内療法にとって切っても切り離せないのが歯の破折ということが分かります。
術前、術中はもちろんのこと、術後長期にわたって歯の保存に関して影響を与えます。
また、補綴物や歯周病、虫歯といった要因により歯を失うことも示されています。
 
この調査研究から、歯の治療が成功して一度完了したからといって、その後のメインテナンスが疎かになると歯を失うリスクが上がることが読み取れます。
歯は自然治癒しない身体の構造の一つです。
また、失えば二度と元には戻りません。
その事を踏まえて日々の清掃やプロフェッショナルによる定期的なメインテナンスをしっかり行っていくことが大切なのです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
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2023年05月26日 13:40

Dr. Trabinejadセミナー

PANA4457

今回は私が受講したセミナーについて書いていきたいと思います。

以前も紹介致しましたが、私はMTA(Mineral trioxide aggregate )という材料をテーマに論文を書き海外の歯内療法系の雑誌に掲載されました。

今回受講したセミナーは、そのMTAの生みの親でもあるTrabinejad先生が講師を務められました。

自分の論文のテーマとなった材料を開発された先生のセミナーでしたのでとても楽しみにしておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で来日できず申し込みをしてから4年越しの開催となりました。

今回のセミナーはMTAがメインではなく外科的歯内療法についてのセミナーでしたが、その外科的歯内療法にももちろんMTAは使用されます。

自分が教わった手技とは違う部分もあり、とても勉強になりました。

しかし、手技は多少違う部分はあれど、抑えるべきポイントや目指す方向性は一緒でしたので、改めて歯内療法という分野の面白みを再確認できたセミナーでした
Trabinejad先生にも論文の題材としてMTAをテーマに使わせていただいた事、またMTAを使用する者としてMTAの数多くの科学的裏付けの一端を担えた事への感謝を申し上げることが出来ました。

今回のセミナーで得たものを日々の診療に落とし込み患者さんの利益になれば幸いです。

倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
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2023年05月22日 13:40

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