倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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歯の痛みと関連痛について

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今回は歯内療法の領域では付いて回る痛み”について書いていきたいと思います。
 
歯科を受診しようと思うきっかけは痛みなどの症状が出て思い立つことが多いと思いますが、私たちはまずその痛みの原因について診査を行います。
問診・視診・触診・レントゲン診査等を行い、原因となる異常所見があるかどうか調べます。
そこで明らかな原因が特定できたら、その部分に対する治療を開始していきます。
しかし、診査を一通り行っても原因が特定できない場合もあります。そのような時に闇雲に治療介入をしてしまうと痛みが取れず、不必要に歯を侵襲することとなります。
 
痛みの分類分けを教科書的に行うと、
①侵害受容性疼痛
②神経障害性疼痛
③心因性疼痛
のように分けられます。
 
この中でも①の侵害受容性疼痛が歯科に占める割合は最も多く、簡単に言うと炎症や刺激による痛みです。
 
また、歯科の痛みは
①歯の痛み
②その他の口腔顔面痛(orofacial pain)
とに分けられます。
 
それぞれの痛みの由来によって
①歯原性疼痛(歯科的原因による痛み)
②非歯原性疼痛(歯や歯の周囲の痛みの原因が特定できない痛み)
のように分けられます。
 
②の非歯原性疼痛は、歯科以外の全身疾患や頭部疾患が原因で歯に痛みを生じる“関連痛”もあります
 
例を挙げると、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患・消化器疾患・甲状腺疾患・片頭痛や群発頭痛などの神経血管疾患・帯状疱疹などのウイルス感染症・糖尿病などの内分泌疾患・癌などの悪性腫瘍・上顎洞炎・筋・筋膜性疼痛症候群・顎関節症・三叉神経痛などがあります。
このように全身の疾患と歯の痛みと誤解するような関連痛がリンクする場合もあるので、最初の問診の際に現在治療中の全身疾患の有無を確認する必要があります。
 
また、このような関連痛は歯科の治療では改善することはなく、現在生じている痛みについてその可能性を示唆できる知識を有していることが大事となります。
最初に述べたように闇雲に歯科治療を介入してしまうと神経を取ったり、歯を抜いても痛みが取れないなんてことも起きかねません。
いくつもの可能性を考慮して診察、治療を行っていくことが原因不明な痛みに対する対処法となります。
 
歯科治療によって改善が見込めない痛みについてはペインクリニックなどの専門医、歯科以外の疾患による痛みが予想される際は医科の専門医と連携をして診察にあたることもあります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年11月29日 16:14

MTAの炎症抑制効果について

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前回までは歯内治療用材料として幅広く使用されているMTA(Mineral trioxcide aggregate)について書いていきました。
今回は私が東京医科歯科大学で研究していたMTAの炎症抑制効果について書いていきたいと思います。
 
今までの論文による報告でMTAの特性として
①優れた硬組織誘導能
②良好な生体親和性
③良好な封鎖性
④親水性
などが挙げられます。
 
しかし、歯髄保存治療で使用される場面では、本来生体内にある歯髄が生体外に露出し、また虫歯などによる細菌刺激や外界から様々な刺激を受けている状況が多く、歯髄はその時点で炎症反応が生じています。
歯髄は歯という硬い組織に囲まれているので、ひとたび炎症反応が生じると不可逆的に進行しやすい環境にあります。他の組織が炎症反応を生じると内圧が亢進し”腫れ”という症状が出ますが、歯髄は硬い組織に囲まれているので腫れることができないのです。その為、痛みが他の組織より出やすく、またその炎症反応を除去するには歯髄を除去するほか方法がなくなってしまいます。
 
MTAを使用した歯髄保存治療は良好な結果を示している報告が多く存在し、実際に診療にあたっていてもそれを実感することが出来ます。
その為、MTAには貼付した部位に対する炎症抑制効果があるのではないかと仮説を立てて研究をスタートしました。
 
私が研究した内容は炎症反応に関与することが多いマクロファージ”という細胞を主に使用しています。マクロファージは細菌による刺激や外界からの刺激を受けるとそれに反応し、周囲の細胞にそのことを伝える抗原提示細胞としての役割があります。マクロファージに対して炎症反応を抑制する効果があるのなら周囲の細胞へ刺激を受けているということを伝える反応を抑えられるのではないかと考えました。
 
最初は主に一つの細胞を使用しての実験を行い、その効果を検証していきます。
そのことを”In Vitro”の研究と言います。直訳すると試験管内で完結する研究のことです。
そこで結果を出して次の段階の”In Vivo”の研究、すなわち生体内での研究に移行します。
 
MTAによるマクロファージに対する炎症抑制効果を確認した後に、In Vivoの研究では実験用のラットを使用してMTAの炎症抑制効果を観察します。
ここでは人の歯髄保存治療と同じような環境を作ることが重要となります。
実際にラット歯髄を露髄させ、MTAによる直接覆髄を行いました。その後期間を置き、実際に歯髄内の細胞はどのような反応を起こしているのか観察していきます。
炎症反応を観察するにはその歯を抜いて歯髄を取り出し研究用の顕微鏡で観察する必要があります。なので実験の為に人の歯を使用することは出来ません。
診療中の歯髄の炎症反応の程度を測ることが出来ないのもその為です。
 
私の研究ではIn Vivoの実験においてもMTAは炎症を抑制させる効果のある物質の発現に寄与していることが分かりました。
 
このように、その材料にどのような効果があるのか検証するにはいくつものステップを踏んで検証する必要があります。
過去にどのような報告がされているのか、最新の報告はどのような結果となっているのか、日々アップデートが必要となります。
実際の診療で使用する材料はメーカーの指示に従うだけでなく、第三者の目からみてどのような効果があるのか検証している論文を調べることはとても重要なことなのです。
 
歯内療法専門医は歯内療法に関する過去、最新の論文をベースとして治療方法を作り上げていきます。それは一度決めたら不変的なものではなく、状況によって治療法も変えていく必要があります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月26日 13:00

MTAについて

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前回、歯髄保存治療に使用されることの多いMTA(Mineral trioxcide aggregateという材料について書いていきました。
 
MTAに関しては歯髄保存治療のみだけではなく、根管治療を含めた歯内療法の分野全般で使う機会がある材料であり、今回はその使いどころについて書いていきたいと思います。
 
日本の保険制度においてMTAが使える場面は直接覆髄のみとなります。直接覆髄とは歯髄保存治療の範囲内の術式です。
しかし、元々MTAという材料はアメリカのロマリンダ大学のTorabinejad先生によって歯内療法材料として開発されました。穿孔”と言って何らかの原因によって歯に穴が開いた際の封鎖用に用いられ、その後歯内療法の分野においてその適用範囲を拡大していきました。
 
現在、歯内療法におけるMTAの使用場面は以下の通りです。
①露髄部への直接覆髄
②歯髄断髄への覆髄
③根尖封鎖
④穿孔封鎖
⑤再生歯内療法時への適用

 
①については歯髄保存治療の際に用いられますが、②の歯髄断髄とは一部の歯髄を除去し残りの歯髄を保存する際に適用となります。この時も露出して外界と交通している歯髄面にMTAを貼付します。①と②を合わせて歯髄覆髄材料としての用途となります。
 
③について、根尖の直径のサイズが大き過ぎる場合、根管充填材料として最もスタンダードであるガッタパーチャを使用した根管充填ではその封鎖性が根尖のサイズが大きくなるにつれて劣ってくるとの報告があります。封鎖性が良くないと将来的に再感染のリスクが上がり再発する恐れが出てきます。根尖のサイズが大きくなってしまう原因としては複数回にわたる根管治療であったり、元々の解剖学的な形態と様々です。
そのような場合に根尖を封鎖する目的でMTAを使用します。
 
④について、穿孔を発見した際は一昔前だとプラスチックのような材料であるレジン系の材料で封鎖をするのが一般的でした。しかし、前回もお話ししたように歯科材料の多くは細かい意味で生体親和性に劣るので、穿孔部の先にある粘膜組織や骨組織などに対する炎症反応により予後があまり良くありませんでした。予後が悪い場合は抜歯も視野に入れざるをえませんでしたが、穿孔部にMTAを用いることで炎症反応が起きにくく、かつ封鎖性も良好な為、予知性をある程度は担保できるようになりました。
 
⑤については、またの機会に詳しく説明していきたいと思います。
 
以上のように歯内療法材料としてのMTAの適用範囲は多岐に渡りますが、保険診療で認められた使用方法はほんのごく一部なのです。
保険診療の範囲内だと治せる見込みがある歯を見捨てざるをえない状況が多くなってしまいます。このように保険診療ではカバーしきれない材料や器具を使用していくことが多いので、歯内療法専門医による治療は保険外となってしまうことが多いのです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
歯内療法専門医は一本の歯を残す為にありとあらゆる可能性を模索して診療にあたっております。逆に治る見込みがない歯に関しては初診時に詳しくご説明して無理に治療には進まないことがあります。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月25日 15:44

根管貼薬剤について

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今回は根管貼薬剤について書いていきたいと思います。
 
根管貼薬とは、根管治療の合間に根管内へ作用させる暫間的な薬のことで、その目的は
①根管治療期間中の細菌増殖抑制
②細菌の侵入防止

となります。
 
一昔前までは根管内の残留細菌の殺菌と消毒を目的に行われておりましたが、近年ではその目的も上記のものへの移り変わってきております。その一つの要因となっているのが、長年使用されてきていた根管貼薬剤が骨や歯肉、神経などの歯根の周囲組織へ悪影響を及ぼしている可能性が出てきたからです。
 
歯医者さんの独特な匂いと言ったら分かる方もいらっしゃるかと思いますが、まさにあの独特な匂いの正体が根管貼薬剤の匂いだったのです。
確かに細菌に対する消毒効果は強いのですが、逆を言えば殺菌・消毒作用が強いということは周囲の組織に対する為害性も高いということなのです。また、その際に用いられていた貼薬材は揮発性を有しているものもあり、それがここ10年ほどで見直されてきています。
 
現在、最も一般的に使用されている根管貼薬剤は水酸化カルシウム系の製剤”です。今では国内の歯科大学ほぼ全てがこの貼薬剤を用いると教育しております。水酸化カルシウム系の貼薬剤は細菌使い始められた訳ではなく、約100年前から使用されおり、安全な根管貼薬剤として広く用いられていました。
 
この貼薬剤の特徴は
①高いpHによる殺菌作用、有機質溶解作用
②硬組織形成誘導能
③止血、浸出液停止作用
などがあります。
 
実際に根管に貼薬する際は、ペーストタイプの材料を用いて根管内を水酸化カルシウムペーストで満たします。根管内の全ての部位にこのペーストが接触し殺菌効果や有機質溶解効果を得ることを目指しています。また、ペーストタイプなので根管外からの細菌の侵入を防ぐ効果もあります。仮に仮封材から細菌が漏洩しても貼薬剤を置いていることによって感染の進行を防ぐことが出来ます。
当院でも勿論、この水酸化カルシウム系の根管貼薬剤を使用しております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月18日 13:00

仮封について

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今回は治療の合間に口の中と根管とを繋ぐ窩洞部分を暫間的に塞ぐ仮封”について書いていきたいと思います。
 
仮封=仮の蓋です。どんな歯科治療も1回で終わることが出来れば理想的ではありますが、時間の制約があったり、症状が治まるのを待ったり、材料が固まるのを待ったりと中々1回で治療を終えるのは難しい場合が多いです。
そんな時に穴が開いていたり、形作った窩洞を暫間的に封鎖しておくのが仮封です。
今回は根管治療中の仮封について記載していきます。
 
根管治療中の仮封の目的は
①根管への細菌の侵入を防ぎ、二次感染を防止する
②根管内に貼薬したお薬の効果を発揮・持続させる。
③噛んだ時の衝撃が根管に直接及ばないようにする
などがあります。
 
根管治療中に使用する仮封材で最も多く使用されているのが”水硬性仮封材”と呼ばれる材料です。歯科の材料は水分があると効果阻害や接着阻害を起こすものが多いですが、この材料は名前の通り水分によって硬まる材料なのです。しかし、他の材料と比べると硬化スピードが遅い為、十分に硬化する前に衝撃を与えると凹んだり、完全に取れてしまったりしてしまいます。また硬化後の硬さも比較的柔らかいので、食事の内容や歯の部位によっては次の治療までにかなりすり減ってしまうこともあります。
硬化の目安は30分ほどで0.5mm程度の深さまで硬化すると言われており、6時間で1.5~2.0mm程度に達します。したがって仮封をした後のお食事は30分~1時間程度控えていただくようお伝えしております。
 
仮封材というくらいなので、あくまで暫間的な封鎖となります。半年や1年に渡る長期間仮封材のまま放置してしまうと仮封材が取れてしまったり、細菌が侵入して感染が進行してしまいます。
私の経験で根管治療を開始して仮封を行ってから治療の途中で1年ほど来院が途絶えてしまった際は、次に拝見した時には根管内もむし歯で侵されており歯の保存が不可能になってしまったケースもありました。治療途中の歯は構造的にも脆い場合や、感染に対する抵抗性が低い場合が多いです。体調悪化やお引越しなどのやむを得ない場合もあるかと思いますが、ご自身の歯を守る上でも歯科医院での治療は途中で長期間中断しないよう注意してください。
 
また、仮封材の厚みも重要となります。
最低でも3~5mmほどの厚みは必要と報告されております。それよりも薄い場合は安易に取れてしまったり、短期間であっても細菌の侵入を招いてしまいます。
仮封材の厚みを確保する上で重要となるのが、歯の残りの量です。
歯の残りの量が少ないと仮封材の厚みが確保できない場合があります。
その際、それを補うのがラバーダム防湿の回でも記載した”隔壁”と呼ばれるものです。
歯の量が少ない部分に隔壁を補うことによって結果的に仮封材の厚みを確保することが可能となります。隔壁はラバーダム防湿を行う際に必要となるだけでなく、仮封を行う際にも重要となります。
 
このように治療の合間の為に行う仮封であっても、これだけの事に注意を払って治療に当たらせていただいております。
仮封材はお気をつけいただいていても取れる時には取れてしまうケースもありますので、その際はお早めにご連絡ください。
 
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2021年11月17日 23:27

根管充填(CWCT法)について

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前回は根管充填の方法の一つである側方加圧根管充填について書いていきました。
側方加圧根管充填は根尖付近のガッタパーチャポイントの位置決めや緊密な充填が比較的容易なため、世界中で標準的に使用されている根管充填方法です。
しかし、根管の形態は様々であり、その全てを側方加圧根管充填法でカバーするのは限界があります。そこで今回は別の根管充填方法について書いていきたいと思います。
 
CWCT法(Continuous Wave of Condensation Technique)
側方加圧根管充填法は側方に力を伝えることで緊密な封鎖を目指した根管充填法に対して、このCWCT法は垂直方向に力を加えて根管充填を行います。広義では垂直加圧根管充填法のカテゴリーに加わっていますが、世界的に垂直加圧根管充填法として広まっているやり方は違う方法なので、この場では垂直加圧根管充填法とは書かず、CWCT法として記載したいと思います。
 
簡単に書くと、根尖部を先にガッタパーチャポイントで充填して、その上のスペースに軟化したガッタパーチャを充填する方法です。
 
少し詳しく書いていくと、まず根尖部の直径に適したガッタパーチャポイントを根管内に挿入し、根尖から3-5mm程度の位置で加熱したプラガーで切断します。その際、ガッタパーチャポイントは熱により軟化して根尖部の形態に適合が良くなります。その後、その上のスペースに軟化したガッタパーチャポイントを流し込んで緊密に充填していきます。
 
側方加圧根管充填法に比べてガッタパーチャと根管壁との隙間を埋めるシーラーの厚みを少なく出来ることが利点で、軟化したガッタパーチャを用いることで複雑な形態の根管でも緊密に充填を行うことが可能です。
 
デメリットとしては、垂直方向に力を加えるので根尖孔のサイズにしっかりと適したガッタパーチャポイントを用いないと根尖からガッタパーチャが突出してしまうリスクがあります。したがって、側方加圧根管充填法に比べると熟練度が必要となります。
 
側方加圧根管充填法とCWCT法はデータ的には根管充填法を変えることに予後への影響はないとはされています。しかし、それぞれの充填法の特性を理解し、形態の異なる根管へ適切に選択することで予知性を高めることが出来ると思っております。
 
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お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月16日 13:00

根管充填(側方加圧根管充填)について

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前回は根管充填を行う目的や充填材料について書かせていただきました。
今回は根管充填を行う方法について書いていきたいと思います。
 
根管充填は根管治療によってキレイにした根管を緊密に封鎖”することによって今後の感染を防ぐ意味合いがあります。いかに複雑な形態をした根管を緊密に充填できるかが予後の鍵となります。
今回は当院で採用している根管充填方法についていくつか記載したいと思います。
 
①側方加圧根管充填
根管形成が終了した根管にメインとなる根管充填材料であるガッタパーチャポイントを挿入します。これは根尖の直径によってサイズを選択します。これだけでは根管とガッタパーチャポイントの間には隙間が多く存在している状態です。
ここから、その隙間を埋める”アクセサリーポイント”と呼ばれるガッタパーチャポイントを挿入していきます。ここでその隙間目掛けて”スプレッダー”と呼ばれる器具を挿入しアクセサリーポイントを挿入する明確なスペースを作ります。スプレッダーを挿入することでメインポイントが根管に側方に押し当てられ加圧されることから”側方加圧”という名称がついています。
この作業を繰り返していきスプレッダーが挿入できなくなったら根管口から出ている余剰なガッタパーチャを熱した器具で切断します。
切断した後は”プラガー”と呼ばれる器具で垂直方向に加圧を行います。

根管口でピッタリと余剰なガッタパーチャを切断することで窩洞内をコア(土台)材料で封鎖する時に確実な接着操作が可能となります。ここを疎かにしてしまうと接着が甘くなり二次感染の恐れが出てきてしまいます。
この作業を根管の数だけ行っていきます。

私が考える側方加圧根管充填法のポイントは、スプレッダーを確実に根管の空いているスペースに挿入し、アクセサリーポイントをスプレッダーで形成したスペースに挿入することです。ここでも肉眼で作業をしていると余剰なガッタパーチャが増えるごとに根管口が見えづらくなりますので、マイクロスコープ下での作業は必須となります。
今回は根管充填法の一つである側方加圧根管充填法について書いていきました。次は違う根管充填法について書いていきたいと思います。
 
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画像は”エンドドンティクス 第5版 P154より抜粋
 
2021年11月15日 20:30

根管充填について

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今回は根管充填について書いていきたいと思います。
 
根管充填とは清掃した後の根管を詰めることを言います。最終的なお薬を詰めますと説明を受ける場合もあるかと思いますが、厳密に言うと詰めるのは薬ではなく充填剤となります。
 
根管充填の目的は根管形成によって形成された根管内のスペースを緊密に封鎖することによって二次感染を防ぐことです。詰める材料は”ガッタパーチャ”と呼ばれる規格化された形態の樹脂の材料です。しかし、それだけでは複雑な根管形態を緊密に充填することは難しいので、”シーラー”と呼ばれる補助剤のようなものを合わせて使用します。このシーラーに薬効成分がある場合もありますが、あくまで補助的な意味合いとなります。
 
根管の状態によってはガッタパーチャを使用した根管充填では網羅できないケースも存在します。代表的なケースは根尖の大きさ(根尖孔のサイズ)が大きい場合です。我々が目指す根尖孔のサイズは約0.35mm程度となります。しかし、再治療を何回もしていたり、元から根尖孔のサイズが大きい場合があり、そのような場合はガッタパーチャによる根管充填では根尖の封鎖性が確保できないという報告もあります。根管充填できない訳ではないのですが、予後に影響を及ぼす一つの要因となり得ます。根尖孔のサイズが大きいケースに我々が選択する根管充填材の一つがMTA(Mineral trioxide aggrregate)と呼ばれる特殊なセメント材料です。MTAについての詳しい説明は今後していきたいと思います。
MTAは規格化された形態の材料ではないので、封鎖性を確保するために根尖のサイズや形態に影響は受けません。
 
一言に根管充填と言っても様々な材料があり、それをどのようなケースで使い分けるかが重要となります。根管充填は根管治療の一つの区切りとなるので、予後に直結すると言っても過言ではありません。充填する材料の特性を理解し、使い分けするケースを見極める必要があります。
今回は根管充填の目的、充填材の種類について書いていきました。次回は根管充填の方法について書いていこうと思います。
 
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2021年11月12日 10:46

根管乾燥について

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前回は根管洗浄について書かせていただきました。
根管治療を行う際は洗浄剤を使用して治療中は常に湿潤状態で治療していくことが多くなります。しかし、最終的に根管内を封鎖する根管充填の際に湿潤の状態では詰める材料の本来の効力を発揮させることは難しくなります。それにより根管内の封鎖力が下がり細菌等が侵入するリスクが高くなります。
 
一般的な虫歯の治療や詰め物、被せ物の治療でもよくエアー(空気)を当てられることがあるかと思います。口の中でならエアーを勢いよく当てることにより乾燥状態を一時的に作り出すことが出来ますが、根管内でそれをやると危険が伴います。
根尖(根の先)には骨であったり、病変(膿)であったり様々な組織が存在します。そこは生体内となります。生体内に向けて勢いよくエアーを噴射することによってその空気が生体内に侵入し”隙”と呼ばれる身体の中のスペースに留まる可能性があります。そうなってしまうと治療後に顔がパンパンに腫れたり、赤くなってしまいます。これを”気腫”と言います。
時間が経てば消退していき大事になることは少ないですが、起こさないに越したことはありません。なので、根管を封鎖していない状態では根管内に向けてエアーを噴射することは絶対にしません。それでは、どのように根管内を乾燥させるのでしょうか。
 
一昔前だと”ブローチ”と呼ばれる器具を用いて根管内を乾燥させていました。簡単に言うと器具の先端についている細い針金のような部分にワッテを巻き付けて逆円錐の形になるよう手で整えて根管内に挿入することによって根管内を乾燥させます。私が大学の学生実習で学んだ時はまだこの方法で根管内を乾燥すると教わっていました。しかし、私はこの方法を採用しておりません。なぜなら、グローブをしているとはいえ手で形を整えているので不衛生であるのと、毎回作る形が均一ではなく全てが根管にフィットさせることが難しいからです。根管内を乾燥させる際は根尖までしっかりと乾燥させることが大切です。なので、現在根管を乾燥させる際に使用している道具は”ペーパーポイント”です。これは根管内に付与させる形態に近い形を作り販売されています。また滅菌処理も行うことができ衛生的でもあります。種類も豊富で根尖部の大きさ、根管のテーパー(傾き)によって分けられています。ペーパーポイントを使用することによって、根管内に無駄な細菌を送り込むことなく、根尖部まで適切に乾燥させることが可能となります。
 
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2021年11月09日 20:00

根管洗浄について

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前回まではファイルを使用した根管内の機械的清掃について書かせていただきました。

根管内の清掃に関して、”機械的清掃””化学的清掃”を併用することが基本となっております。
イメージとしては機械的清掃によって根管内の汚れている所や感染している歯質を物理的に削除していきます。しかし、ファイルを用いた機械的清掃では根管内の全ての部分を清掃することは不可能なのです。ファイルが根管内を触っている範囲は根管内の約7割ほどだという報告もあります。その残りの+αを洗浄剤を用いて化学的に清掃していきます。

根管内を洗浄するタイミングは機械的に清掃を行った後に徹底的に行いますが、それと並行して大切なのが、ファイルを用いた機械的清掃時に根管洗浄を併用することです。

根管内を切削することで切削片が出ます。それを無視して根管形成を進めていくと、その切削片によって根管が根詰まりを起こしてしまい、根尖まで通した通り道が塞がってしまう恐れがあります。基本的には一つのファイルを用いた後は根管内を洗浄する必要があります。機械的清掃時に根管洗浄を併用するもう一つのメリットは根管形成時に根管内の細菌数を減らすことが出来ることです。もし根管内に細菌や感染歯質、感染物質が多い状態でファイル操作を行うと根尖からそれらのカスなどが逸出してしまうリスクが高まり、根管治療後に必要以上に痛みや腫れが出現するリスクとなります。
上記のことを起こさないように注意しながら根管形成時にも根管洗浄を併用していきます。

根管形成後は仕上げの根管洗浄を行っていきます。先程記述した根管から出た切削片は根管を消毒する洗浄剤では取り除くことは出来ません。根管内に使用する消毒液は有機質溶解作用を有していますが、根管の切削片は無機質となります。なので、根管内の切削片を取り除く為に無機質溶解作用のある洗浄剤を使用します。これを一定時間、一定量使用することによって根管内の目に見えない切削片を取り除きます。それらを取り除いた後に有機質溶解作用のある洗浄剤を使用して仕上げの消毒を行っていきます。
ここでも効率良く洗浄効果を高める為に様々な機器を使用します。根管内の状態によって使用する機器を使い分けることで、どんな根管でもしっかりと根管洗浄することが出来ます。

今回は根管洗浄の概念について簡単に書かせていただきました。
 
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2021年11月08日 21:50

倉本歯科医院

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東京都豊島区東池袋3-7-4
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FAX 03-3590-0418

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