倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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根の先の膿が全身に悪影響を及ぼす!?

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口の中の慢性感染症が様々な全身疾患の引き金となることが知られています。
慢性感染症とはまさに虫歯菌や口の中の常在菌により根管が細菌感染することによって生じる根の先の膿(根尖性歯周炎)もそれの一つなのです。
いわゆる歯が原因で生じる感染は歯性病巣感染と呼ばれ、それは原発巣の細菌の毒素や細胞が放出する炎症性サイトカインなどの影響により二次感染が起こってしまうと考えられています。


 
根尖性歯周疾患は全身に及ぼす影響として挙げられるものは、
皮膚疾患
 ・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
 ・肉芽腫性口唇炎
糸球体腎炎
関節炎

などがあります。
 
その中でも、掌蹠膿疱症の病因は不明とされていますが、病巣感染の関与が示唆されており、根管治療の有効性が報告されています。
私も過去に掌蹠膿疱症を有する患者さんの根管治療を行った経験がありますが、完治まではいかないまでも少し楽になったとのお言葉を頂いたことがありました。
 
このように口腔内の感染症による慢性炎症が全身疾患へ影響を及ぼしているケースもあります。
口の中の慢性炎症に症状がなくても将来的に何らかの形で全身疾患と関わりが出てきてしまう恐れもあります。
”口の中すべての慢性炎症を治療する”というのは現実的ではないのかもしれませんが、慢性炎症を引き起こしやすい根管治療を初回治療の時点でしっかりと専門医による治療で精密に行っておくことが重要と考えます。
 
我々、根管治療専門医を含む歯内療法専門医は現在ある感染による炎症を治療するのを目的にするだけでなく、将来的な感染防止を見据えて根管治療をしております。
 
今回の記事のように全身へ影響が出る恐れがあるのはかなり先になるかもしれませんが、その時に今回の記事が頭の片隅に残っており、口の中の慢性感染症を疑うことができれば幸いです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月16日 13:30

何回根管治療すれば良いのか

悪い所があり歯科医院を受診し、一回で治療が終了するのは嬉しいことですよね。
 
何度も何度も治療に通っているのに、”今日の治療で何をしていたのか分からない”という方もいらっしゃるかと思います。
特に、根管治療は時間がかかる治療というイメージが一般的となっております。
小さい歯の中にある、更に細かい”根管”を治療しているので、どうしても時間がかかってしまう場合や、患者さん自身の症状とは関係なく治療が長引いている事もあります。
 
しかし、根管治療は決して時間が必ずかかる治療ではありません。適切に診査、診断を下し、適切に治療をすれば、気が遠くなるほど時間がかかる治療ではないのです。
 
歯内療法領域においては、根管治療を一回の治療で終えてしまう一回法”と複数回根管治療を行う複数回法”どちらが良いのかという議論が出ることから、根管治療は実際一回で終了することもあるのです。
 
一回法の根管治療とは、主に神経を取る初回の根管治療の際に最も多く用いられています。
神経を取って、根管を綺麗にし、根管充填まで連続して一回の治療で行う術式です。

長所:治療の合間の仮の蓋をしている間に根管内が感染する機会がないこと
短所:治療の刺激による術後の痛みのコントロールが難しいこと


 
次に再治療の場合の一回法の根管治療についてです。
被せ物や土台が入っていればそれを除去して、根管にアプローチできるようにし、根管治療を進めていく術式です。
上の神経を取る治療と違う部分は既存に充填されている材料を取る作業があることです。

長所:治療の合間の仮の蓋をしている間に根管内が感染する機会がないこと
短所:治療の刺激による術後の痛みをコントロールが難しいこと、感染している根管内の消毒が不十分になってしまう場合がある

 
どちらも長所は、治療の合間の感染リスクの低減であり、治療が早く終わることですが、短所として挙げたことの方が重要となります。
 
根管治療は術後に痛みを伴うことが多く、それは以前の記事でも紹介しています。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/blog_articles/1638926464.html
 
根の先の周りに炎症がある場合は、術後に炎症が急性化を起こして激しく痛んだり、腫れたりする場合もあります。
また、再治療の場合は根管内が感染している事が多く、治療のみの消毒だけでと比べて、治療の合間に根管内に薬を入れて消毒している場合の方が細菌数が少なくなったという報告もあります。
 
一回法で根管治療が終われれば体感的には良いかもしれませんが、歯や周囲の組織にとっては逆に悪い方向に反応してしまうケースもあります。
 
治療が早い、短期間で終わるに越したことはありませんが、必ずしもそれが治療の良し悪しを決定しているとは思わないでください。
 
当院では、治療の期間の概算は初回の診査、診断の際に概算はお伝えできると思います。
根管治療によって反応がなく時間がかかりそうな場合は他の代替案や次の一手となる治療の可能性を必ず説明してから治療にあたっております。

まずはご相談ください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2021年12月15日 13:00

歯の痛み ~その痛みは本当に歯が原因か?~

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日本では歯医者を受診する動機で最も多いのが歯痛を自覚してと言われております。
歯科医師は痛みを訴える患者さんに対して、様々な診査、検査を行い、その原因を探索していきます。
しかし、稀に原因となる異常所見がないにも関わらず歯が痛い、違和感があるといった症状を訴える患者さんもいらっしゃいます。
それは治療中であったり、治療後でも同様です。
 


歯科領域の痛みの種類に関しては、以前に記事にしておりますのでそちらを参照ください。  
簡単に分けると、
・歯科的原因がある痛み(歯原性疼痛)
・歯や歯の周囲の痛みの原因が特定できない痛み(非歯原性疼痛)

があります。
 
今回は非歯原性疼痛の症状について記します。
あくまでも目安となります。
 
・局所麻酔をしても改善しない痛み
・チクチク・疼くような痛み・違和感と表現することが多い
・痛みを訴える周囲組織に痛みを発するような処置や疾患の既往がない
・レントゲン診査やその他の診察で異常所見がない
・口の中の決まった部位ではなく、他の部位にも表れる
・頭痛と関係していることがある
・精神的なストレスを感じることが多い


細かく挙げるとさらに多くありますが、主要な所としてはこのあたりだと思います。
 
歯や口の中に痛みや違和感があると”歯科”を受診することが多いですが、非歯原性疼痛が原因の痛みは歯科では改善せず、場合によっては悪化する恐れもあります。
しかし、痛みがある部位が歯や周囲組織に異常があるかどうかは患者さんには分からないと思うので、受診するのは”歯科”で構いません。
その歯科医院で原因が特定できない痛みと説明を受けた場合は、”口腔顔面痛の専門医”を受診することをお勧めします。”ペインクリニック”とも呼ばれています。
口腔顔面痛の専門医あるいはペインクリニックと連携をしている歯科医院もありますので、その場合は紹介状を作成してもらい、受診しましょう。
当院ももちろん連携を取っておりますので、ご安心ください。
 
今回の記事で押さえておいてもらいたいポイントとしては、

口の中に感じる痛みや違和感の原因は歯や歯周組織以外の場合がある
その際はその領域に特化した専門医を受診する

の二点です。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を実施しております。歯内療法専門医とは広い意味で根管治療専門医のことです。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月13日 13:08

変色歯の漂白について

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今回は変色歯の漂白について書いていきたいと思います。
 
変色歯とは外から見て変色している歯のことを言いますが、その原因は大きく二通りに分けられます。
外因性”内因性”です。
 
外因性とは外からの影響が原因で歯が変色していることを指し、例えば、虫歯・咬耗・摩耗・タバコ、お茶、コーヒーなどによる色素沈着・口腔清掃不良などが原因として挙げられます。
内因性とは身体の内部の影響が原因で歯が変色していることを指し、例えば、加齢・歯の神経が死んでしまった・胎児期などの薬物の影響などが挙げられます。
 
今回は歯内療法専門医が関わることの多い、歯の神経が死んでしまい歯に変色が起きた際の漂白について書いていきます。
 
一般的なホワイトニングは歯の外側から薬剤によって歯を漂白しますが、我々が行う漂白は神経が死んでしまったことが原因なので、まずは通法の根管治療を行います。その後、根管充填まで終了させた後、歯の内部から薬剤を用いて漂白を行います。
 
ここで重要となるのが、歯が死んでしまった際の変色の原因です。歯の神経とは歯髄と呼ばれますが、歯髄には血管組織も存在しており、歯髄組織が死んでしまうと血管組織も死んでしまいます。その死んでしまった血管組織の血液成分が内部沈着を起こして歯が変色してしまいます。
ここからがポイントで、変色を起こしている歯の根管治療を行う際は死んでいる歯髄組織を徹底的に除去する必要があります。また、変色が強い象牙質も削除していく必要があります。ここでもマイクロスコープを使用して拡大視野下で処置を行うことによって肉眼では見落としてしまう僅かな歯髄組織の残渣も取り残すことなく除去していけます。
 
その後、通法の根管治療を進めていき、根管内を緊密に封鎖していきます。歯根部の象牙質はここで使用する漂白の薬剤に対し弱い側面があるために、なるべく歯根部の象牙質に薬剤が浸透しないように最終的な材料で封鎖を行います。
薬剤を歯の内部に注入し、仮の蓋をして1週間程度薬剤を作用させます。歯の内部に注入した薬剤は必要に応じて複数回交換を行います。
最終的に漂白効果が得られた段階で、その部分は最終的な材料で封鎖していきます。
 
このように歯の内部を漂白するにしても、しっかりと根管治療がされていないと後戻りの原因にもなってしまいます。
神経が死んでしまった歯の漂白に関しても歯内療法専門医の受診をお勧めします。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。もちろん、歯の漂白も行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月10日 13:40

外科的根管治療について

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今回は外科的根管治療の適応などについて書いていきたいと思います。
 
外科的根管治療とは歯肉を切開、剥離して根尖に直接アプローチをする方法です。
通法の根管治療は歯の上から根管にアプローチをします。根管治療自体は専門医がしっかりと治療を行えば成功率の高い治療法ではありますが、全て完璧に治る訳ではありません。
根管の解剖学的な複雑性や、細菌の種類による抵抗性の違い、細菌感染の程度などによって通法の根管治療だけでは治療に反応しないケースもあるのです。
このような場合、歯内療法専門医は通法の根管治療による限界を理解しているため、何回も何回も何カ月も場合によっては何年も同じ根管治療を継続はしません。
しかし、通法の根管治療で治らないケース全てに外科的根管治療が適応になる訳ではなく、外科的に介入して治癒に向かえるケースを選択する必要があります。
 
簡単に適応症をまとめてみます。
①治療によって反応しない歯肉にできた膿の出口(瘻孔)
②治療によって改善しない炎症性の疼痛
③通法の根管治療ではアプローチできない箇所に問題がある根管
④被せ物や土台の芯棒の除去が困難あるいは除去することによって歯根に重篤なダメージを与えてしまうことが予想される場合
などが挙げられます。
 
また、非適応症としては
①被せ物と歯の隙間が開いているような歯冠側からの漏洩が疑われる場合
②患者様の同意が得られない場合
③根管上部の汚染が進んでいることが予想される場合
④疼痛の原因が歯以外の非歯原性疼痛や神経障害性疼痛の場合
などが挙げられます。
 
外科的根管治療の成功率は90%を超えるとの報告もあり予知性の高い治療法ではありますが、それは歯内療法専門医が適応、非適応をしっかりと見極めているからなのです。
また、外科的に治療する際もマイクロスコープやそれ専用の器具の使用は不可欠であり、古くから行われていた根尖に対する外科処置は成功率が50-60%と言われています。
 
外科的根管治療の成功率は高いですが、いきなり外科的な治療を選択するか、まずは通法の根管治療をしっかりとやってみるかは、術者側と患者様側との相談が必要となります。
当院では同意が得られない治療については無理に進めることはありません。しっかりとその治療法に対するメリット・デメリットを理解できるよう説明に努めております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月09日 13:20

根管治療術直後の痛みについて

今回は治療後に生じる痛みについて書いていきたいと思います。
 
根管治療をした後に治療をしたのに痛みが出たり、腫れが生じた経験がある方もいらっしゃるかと思います。
根管治療後に痛みが出たことがある割合として論文による報告が多数あります。

軽微なものを含めると70%ほどの方が根管治療後に痛みを感じており、その内の25%の方は鎮痛剤の服用を必要としています。
根管治療後の痛みのピークの多くは12時間以内で、ほとんどは1~2日ほどで治まります。長い方だと1週間程度痛みが続くこともあります。
痛みの原因は、根管治療によって根の周りの骨や歯肉に与えられた刺激による急性炎症と考えられています。

刺激の種類として、ファイルと呼ばれる根管内を清掃する器具による機械的な刺激や、根管内を消毒する消毒薬による化学的刺激があります。
 
根管治療後の痛みに影響を与える要因として挙げられるのが、
①性別、年齢
②歯髄の状態
③術前疼痛の有無
などがあり、更に細かく挙げるとキリがないくらいです。
 
術前に痛みがある場合は術後も痛みを生じる可能性が高いことから、根管治療を行う際は緊急時を除いて、生じている炎症をある程度抑えてから治療を進めた方が術後の影響が少ないのです。
 
根管治療は痛みを伴う処置になることが多く、歯内療法専門医による根管治療は麻酔をしてから行うことが大半です。
再根管治療の際や、明らかに神経が死んでしまっていることが判断できる際は麻酔をしないで根管治療を行うこともありますが、根の先の根管内に神経がしぶとく残っていたり、根管内への刺激によって周囲の骨や歯肉に痛みを感じる場合もあること、また術中に感じる疼痛は術後にも残存することがある為、当院では根管治療時には麻酔をしっかり行うことがほとんどです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月08日 13:21

細菌の感染経路について

今回は細菌の感染経路について書いていきたいと思います。
 
エナメル質などの硬い組織によって護られている象牙質や歯髄、根管がなぜ細菌による感染を起こしてしまうのか。
虫歯によってエナメル質が破壊され象牙質に侵入し、細菌刺激によって歯髄が感染し、歯髄が失活し(神経が死んでしまう)細菌の侵入をより深部まで許してしまう。
歯をぶつけたり、日々の嚙み合わせによってエナメル質に亀裂が生じ、細菌などの侵入を許してしまう。
食事などによる咬耗や歯ブラシなどによる摩耗によってエナメル質が削られ、象牙質が口の中に露出することによって細菌などの侵入を許してしまう。
などが挙げられます。
これらは歯冠側からの感染と呼ばれています。
要は歯の上からの感染です。
 
もちろん経路はこれだけではありません。
上から感染するということは下からも感染するのです。
これを根尖部、根側部、分岐部方向からの感染と言います。
歯冠側はエナメル質によって通常は保護されていますが、歯根部分にはエナメル質はなくセメント質や歯根膜といった組織はありますが、歯根部の象牙質から容易に感染が進行してしまいます。
歯周病の進行によって歯周ポケットが深くなり、それに伴い歯根部が露出することによって根管側枝や根尖分岐、根尖孔などの開口部から歯髄へ上行性(逆行性)に感染してしまうことが原因としては多いです。
 
次は、下からの感染と似ていますが、隣在歯からの感染もあります。
根の周りの病変が拡大し、隣の歯の根尖に到達すると、周囲の環境や組織の破壊により歯髄が失活してしまい、上行性感染を引き起こしてしまいます。
 
他は、顎骨内の腫瘍や嚢胞、親知らずなどの埋伏歯などが原因で感染が引き起こされるケースもあります。
 
今回は歯根部への感染経路について書いていきました。
これによってエナメル質がいかに大事な存在であり、また、根尖病変を放置すると周囲の歯の歯根へ悪影響を及ぼしたり、歯周病を放置することで根管内にまで感染が及んでしまうことがイメージ出来たと思います。
 
歯周病などと根尖病変が併発している場合は根管治療のみ、歯周病治療のみをやっても治癒することはありません。
どちらも適切に、適切な順番で治療することが重要となります。
当院では歯内療法専門医による根管治療に加え、歯周病治療が必要な場合には院長の方で対応する場合と、歯周病専門医にご依頼し対応する場合があります。
ご自身では分からないことがあるかと思いますので、そのような場合は治療を開始する前にしっかりと説明し、理解・納得された上で治療を進めてまいります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月07日 13:30

歯根周囲の炎症反応について

今回は歯根周囲の炎症反応について書いていきたいと思います。
 
レントゲン写真を撮ると根の周囲に黒い影があり、根の周りや先が膿んでいると説明を受けた方もいるかと思います。
一般的に膿とは炎症反応による産物なので、レントゲン写真の黒い影の大きさで現在の炎症の程度を測ることは出来ません。
しかし、レントゲン写真で黒い影が見えている状態ということは治療直後でない限りは、歯が感染しており、歯根周囲に炎症反応が生じているというサインになるので、治療が必要な状態と言えます。
その状態のことを教科書的な診断名で言うと”根尖性歯周炎”と言います。
書いて字のごとく、”根の先の歯の周りの炎症”のことを指しています。神経を取った歯が痛むはずがないと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、この場合、炎症反応が生じて痛んでいるのは歯ではなく周囲の骨や歯肉といった組織なのです。
 
根の周囲の組織に様々な刺激が加わると、生体は局所で処理しようと反応し、防御機構として炎症・免疫反応を起こします。病変部には様々な炎症・免疫系の細胞が集まり、刺激の持続に応じて骨の中に広がり、骨を越えて歯肉や粘膜あるいは顔面の皮膚にまで到達するか、もしくは歯根周囲にある歯根膜という構造を通り、歯の上の方に達します。
根尖性歯周炎は”急性”と”慢性”とに分けられ、急性化したものでは、炎症の拡大が急速で、激しい痛みや腫れなどの自覚症状を伴います。慢性化したものでは、自覚症状がほとんどないか、あっても違和感程度でゆっくり病変が進行することが多いです。
今まで症状がなくてもレントゲン写真を撮って根の周りに黒い影がある場合、歯は感染しており、炎症反応があるということになります。
 
根管からの細菌の刺激によって炎症反応が生じますが、生体が防御するために必要な炎症反応のスペースを確保するために骨を吸収します。
 
根の周りに黒い影があるということは簡単に言うと、
根管が感染しており
②炎症反応によって歯の周りの骨が溶かされ
③膿が溜まっている
状態と言えます。
以上の状態の際は、症状のあるなしで感染の程度は測ることはできないため、症状がなくても黒い影が大きく治癒が見込めない場合は”抜歯”をいきなり宣告されることもあるかもしれません。
 
歯内療法専門医による根管治療の場合、治療によって治癒が見込めるか、それ以外の原因によって治癒が見込めないのかを最初の診察の際に説明していきます。
もちろん、治療介入してから問題が見つかる場合もありますが、その可能性についても治療を始める前にしっかりとご説明いたします。
もろもろの可能性を考え、ご納得した上で治療はスタートとなりますので、お悩みの歯がある場合、最初はお気軽にご相談ください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
いきなり治療を始めるのではなく、しっかりとご説明し、同意された上で治療スタートとなりますので、お悩みの歯がありましたら、お気軽にご相談ください。

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2021年12月06日 13:10

なぜ歯が感染するのか

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今回は硬組織に覆われている歯がなぜ感染を起こし、痛みや腫れを引き起こすのか書いていきたいと思います。
 
虫歯などを引き起こす細菌が歯を溶かして虫歯となることは知っての通りだと思います。
それらの細菌の栄養素となる食べカスなどが歯に長く付着していると虫歯が進行してしまいます。
逆にごく初期の虫歯であれば、口の中の清掃をしっかりすることで細菌の栄養素を断つことによって虫歯の進行は抑制することが出来ます。
しかし、ごく初期の虫歯の場合は症状がないことが多いため気が付かず、穴が開いたり、症状が出た時には虫歯がかなり進行していることが多いです。
歯のクリーニングを目的とした定期的なメインテナンスも重要ですが、虫歯を初期で発見することによってその進行を抑制することもとても大事なのです。何も症状がなくても何年も歯科医院に行っていない方は、歯科医院の受診をお勧めします。
 
話を戻します。
虫歯が進行し、細菌が歯髄(歯の神経)に到達すると、生きている神経は侵入した細菌に対して炎症反応を起こして抵抗するため、深部まで細菌が侵入することは少ないです。
しかし、いったん歯の神経が無症状のうちに死んでしまうと、免疫系の防御機構が働かなくなるため、細菌は歯の中で増殖を繰り返し、根管の壁の中にある象牙細管と呼ばれる部分まで深く侵入してしまいます。
この状態になると感染根管と定義されます。
感染根管への治療は感染根管治療(=根管治療)が適用となります。
 
感染根管は生体の防御反応が起こらない歯の中という領域では、自然治癒はしません。
このような場合、感染根管に存在する感染域を歯科医師が徹底的に取り除き、根管を消毒して無害な状態とし、最後に緊密に根管を充填(封鎖)することで二次感染を防ぐことが原則となります。
その後、治癒経過は歯の周囲組織に存在する免疫系によって進んでいきます。
 
まとめると、歯が生きている内は歯の神経の中にいる細胞による免疫によって細菌の侵入はある程度防ぐことが出来ます。しかし、細菌の攻撃によって歯の神経が死んでしまうと免疫の細胞まで死んでしまうので、免疫による防御は働かなくなり、細菌の侵入を歯の深部まで用意に許してしまいます。
そのような状態になると自然治癒はしませんので、歯科医師による根管治療が必要となります。
 
この一連の流れは無症状で進行することが多く、気付いた時には歯の感染がかなり進んでいることも少なくはありません。無症状であっても根の周囲に悪影響を及ぼす可能性がある場合は治療を勧めることもあります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
また、保険診療の範囲内での定期的なメインテナンスも実施しております。
お悩みの歯や、今の口の中の状況が気になった方は、是非ご相談ください。

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2021年12月02日 13:00

感染制御の重要性

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今回は歯内療法における感染制御の重要性について書いていきたいと思います。
 
歯内療法に携わる者であれば誰でも知っている論文があります。
1965年にKakehashiらが報告したThe effects of surgical exposures of dental pulps in germ-free and conventional laboratory ratsという論文です。
この論文は通常飼育のラット(実験用のネズミ)と比較して無菌飼育のラットにおける違いを、ラットの歯を露髄させ、それに起因する病理学的変化を観察することを目的としています。
通常飼育の場合、口の中には様々な細菌が存在しています。それが生体外に内は恒常性が維持され問題は起きませんが、生体内に侵入し恒常性が損なわれることによって”感染”を起こし炎症反応が生じます。
しかし、無菌飼育のラットの歯を露髄され神経を露出させても歯髄内に感染および炎症反応は生じず、生体防御反応により歯髄はデンティンブリッジと言われる硬組織によって保護されたという内容です。
この論文の重要な所は、歯内療法領域における疾患が細菌によって感染することによって炎症反応が生じ、症状が出現することを世界で初めて報告した所です。

それまでは、なぜ炎症反応が生じているのか推測はされていたのでしょうが、ハッキリと判明していませんでした。
中世ヨーロッパでは歯の中に悪魔が潜んでおり、その悪魔によって歯痛が引き起こされることを示唆させるイラストがあったくらいです。
1965年というと人類の歴史からするとかなり最近の出来事ですよね。
 
人間が生きていく上で無菌状態の中で生活することは不可能です。なので、虫歯などによって歯に感染を引き起こしてしまった場合は、その歯を治療する際に二次感染をどれだけさせないかが重要となってきます。
治療する度に細菌の量を減らすどころか、細菌の量を増やしてしまうのは本末転倒です。
 
歯内療法領域の、特に根管治療においては治療中の口の中の細菌などを根管内に侵入させない為にはラバーダム防湿”を行って治療します。このブログでも何回か書いているラバーダム防湿です。
しかし、数年前まであったラバーダム防湿の保険点数が診療項目から削除されてしまうほど、日本ではラバーダム防湿の重要性は軽く見られております。
実際に私が根管治療をする前にラバーダム防湿についても説明を行っていますが、初めて聞いた言われる患者さんがほとんどなのです。
マイクロスコープを使用したり、歯科用CTを併用したり、最新のNiTiファイルを使用したとしても、このラバーダム防湿を行っていなければ全てが無駄になってしまいかねません。
歯の状態によってはラバーダムを装着するのが困難な歯もあります。それは根管治療の全準備として、このブログでも書きました”隔壁”を作ったり、様々な種類のラバーダムシートを固定する為の”クランプ”と呼ばれる器具を用意することによって克服できます。
逆にどうやってもラバーダム防湿を装着することが困難な歯は、その場限りの治療は出来ても、予知性を担保できないので保存不可能と診断されます。
 
このように治療中の感染制御に対する姿勢が、根管治療の予後に影響を及ぼすと言っても過言ではありません。
このことを常に意識して歯内療法専門医は根管治療、歯髄保存治療を行っております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

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2021年12月01日 15:15

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