倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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根管充填(CWCT法)について

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前回は根管充填の方法の一つである側方加圧根管充填について書いていきました。
側方加圧根管充填は根尖付近のガッタパーチャポイントの位置決めや緊密な充填が比較的容易なため、世界中で標準的に使用されている根管充填方法です。
しかし、根管の形態は様々であり、その全てを側方加圧根管充填法でカバーするのは限界があります。そこで今回は別の根管充填方法について書いていきたいと思います。
 
CWCT法(Continuous Wave of Condensation Technique)
側方加圧根管充填法は側方に力を伝えることで緊密な封鎖を目指した根管充填法に対して、このCWCT法は垂直方向に力を加えて根管充填を行います。広義では垂直加圧根管充填法のカテゴリーに加わっていますが、世界的に垂直加圧根管充填法として広まっているやり方は違う方法なので、この場では垂直加圧根管充填法とは書かず、CWCT法として記載したいと思います。
 
簡単に書くと、根尖部を先にガッタパーチャポイントで充填して、その上のスペースに軟化したガッタパーチャを充填する方法です。
 
少し詳しく書いていくと、まず根尖部の直径に適したガッタパーチャポイントを根管内に挿入し、根尖から3-5mm程度の位置で加熱したプラガーで切断します。その際、ガッタパーチャポイントは熱により軟化して根尖部の形態に適合が良くなります。その後、その上のスペースに軟化したガッタパーチャポイントを流し込んで緊密に充填していきます。
 
側方加圧根管充填法に比べてガッタパーチャと根管壁との隙間を埋めるシーラーの厚みを少なく出来ることが利点で、軟化したガッタパーチャを用いることで複雑な形態の根管でも緊密に充填を行うことが可能です。
 
デメリットとしては、垂直方向に力を加えるので根尖孔のサイズにしっかりと適したガッタパーチャポイントを用いないと根尖からガッタパーチャが突出してしまうリスクがあります。したがって、側方加圧根管充填法に比べると熟練度が必要となります。
 
側方加圧根管充填法とCWCT法はデータ的には根管充填法を変えることに予後への影響はないとはされています。しかし、それぞれの充填法の特性を理解し、形態の異なる根管へ適切に選択することで予知性を高めることが出来ると思っております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月16日 13:00

根管充填(側方加圧根管充填)について

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前回は根管充填を行う目的や充填材料について書かせていただきました。
今回は根管充填を行う方法について書いていきたいと思います。
 
根管充填は根管治療によってキレイにした根管を緊密に封鎖”することによって今後の感染を防ぐ意味合いがあります。いかに複雑な形態をした根管を緊密に充填できるかが予後の鍵となります。
今回は当院で採用している根管充填方法についていくつか記載したいと思います。
 
①側方加圧根管充填
根管形成が終了した根管にメインとなる根管充填材料であるガッタパーチャポイントを挿入します。これは根尖の直径によってサイズを選択します。これだけでは根管とガッタパーチャポイントの間には隙間が多く存在している状態です。
ここから、その隙間を埋める”アクセサリーポイント”と呼ばれるガッタパーチャポイントを挿入していきます。ここでその隙間目掛けて”スプレッダー”と呼ばれる器具を挿入しアクセサリーポイントを挿入する明確なスペースを作ります。スプレッダーを挿入することでメインポイントが根管に側方に押し当てられ加圧されることから”側方加圧”という名称がついています。
この作業を繰り返していきスプレッダーが挿入できなくなったら根管口から出ている余剰なガッタパーチャを熱した器具で切断します。
切断した後は”プラガー”と呼ばれる器具で垂直方向に加圧を行います。

根管口でピッタリと余剰なガッタパーチャを切断することで窩洞内をコア(土台)材料で封鎖する時に確実な接着操作が可能となります。ここを疎かにしてしまうと接着が甘くなり二次感染の恐れが出てきてしまいます。
この作業を根管の数だけ行っていきます。

私が考える側方加圧根管充填法のポイントは、スプレッダーを確実に根管の空いているスペースに挿入し、アクセサリーポイントをスプレッダーで形成したスペースに挿入することです。ここでも肉眼で作業をしていると余剰なガッタパーチャが増えるごとに根管口が見えづらくなりますので、マイクロスコープ下での作業は必須となります。
今回は根管充填法の一つである側方加圧根管充填法について書いていきました。次は違う根管充填法について書いていきたいと思います。
 
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画像は”エンドドンティクス 第5版 P154より抜粋
 
2021年11月15日 20:30

根管充填について

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今回は根管充填について書いていきたいと思います。
 
根管充填とは清掃した後の根管を詰めることを言います。最終的なお薬を詰めますと説明を受ける場合もあるかと思いますが、厳密に言うと詰めるのは薬ではなく充填剤となります。
 
根管充填の目的は根管形成によって形成された根管内のスペースを緊密に封鎖することによって二次感染を防ぐことです。詰める材料は”ガッタパーチャ”と呼ばれる規格化された形態の樹脂の材料です。しかし、それだけでは複雑な根管形態を緊密に充填することは難しいので、”シーラー”と呼ばれる補助剤のようなものを合わせて使用します。このシーラーに薬効成分がある場合もありますが、あくまで補助的な意味合いとなります。
 
根管の状態によってはガッタパーチャを使用した根管充填では網羅できないケースも存在します。代表的なケースは根尖の大きさ(根尖孔のサイズ)が大きい場合です。我々が目指す根尖孔のサイズは約0.35mm程度となります。しかし、再治療を何回もしていたり、元から根尖孔のサイズが大きい場合があり、そのような場合はガッタパーチャによる根管充填では根尖の封鎖性が確保できないという報告もあります。根管充填できない訳ではないのですが、予後に影響を及ぼす一つの要因となり得ます。根尖孔のサイズが大きいケースに我々が選択する根管充填材の一つがMTA(Mineral trioxide aggrregate)と呼ばれる特殊なセメント材料です。MTAについての詳しい説明は今後していきたいと思います。
MTAは規格化された形態の材料ではないので、封鎖性を確保するために根尖のサイズや形態に影響は受けません。
 
一言に根管充填と言っても様々な材料があり、それをどのようなケースで使い分けるかが重要となります。根管充填は根管治療の一つの区切りとなるので、予後に直結すると言っても過言ではありません。充填する材料の特性を理解し、使い分けするケースを見極める必要があります。
今回は根管充填の目的、充填材の種類について書いていきました。次回は根管充填の方法について書いていこうと思います。
 
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2021年11月12日 10:46

根管乾燥について

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前回は根管洗浄について書かせていただきました。
根管治療を行う際は洗浄剤を使用して治療中は常に湿潤状態で治療していくことが多くなります。しかし、最終的に根管内を封鎖する根管充填の際に湿潤の状態では詰める材料の本来の効力を発揮させることは難しくなります。それにより根管内の封鎖力が下がり細菌等が侵入するリスクが高くなります。
 
一般的な虫歯の治療や詰め物、被せ物の治療でもよくエアー(空気)を当てられることがあるかと思います。口の中でならエアーを勢いよく当てることにより乾燥状態を一時的に作り出すことが出来ますが、根管内でそれをやると危険が伴います。
根尖(根の先)には骨であったり、病変(膿)であったり様々な組織が存在します。そこは生体内となります。生体内に向けて勢いよくエアーを噴射することによってその空気が生体内に侵入し”隙”と呼ばれる身体の中のスペースに留まる可能性があります。そうなってしまうと治療後に顔がパンパンに腫れたり、赤くなってしまいます。これを”気腫”と言います。
時間が経てば消退していき大事になることは少ないですが、起こさないに越したことはありません。なので、根管を封鎖していない状態では根管内に向けてエアーを噴射することは絶対にしません。それでは、どのように根管内を乾燥させるのでしょうか。
 
一昔前だと”ブローチ”と呼ばれる器具を用いて根管内を乾燥させていました。簡単に言うと器具の先端についている細い針金のような部分にワッテを巻き付けて逆円錐の形になるよう手で整えて根管内に挿入することによって根管内を乾燥させます。私が大学の学生実習で学んだ時はまだこの方法で根管内を乾燥すると教わっていました。しかし、私はこの方法を採用しておりません。なぜなら、グローブをしているとはいえ手で形を整えているので不衛生であるのと、毎回作る形が均一ではなく全てが根管にフィットさせることが難しいからです。根管内を乾燥させる際は根尖までしっかりと乾燥させることが大切です。なので、現在根管を乾燥させる際に使用している道具は”ペーパーポイント”です。これは根管内に付与させる形態に近い形を作り販売されています。また滅菌処理も行うことができ衛生的でもあります。種類も豊富で根尖部の大きさ、根管のテーパー(傾き)によって分けられています。ペーパーポイントを使用することによって、根管内に無駄な細菌を送り込むことなく、根尖部まで適切に乾燥させることが可能となります。
 
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2021年11月09日 20:00

根管洗浄について

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前回まではファイルを使用した根管内の機械的清掃について書かせていただきました。

根管内の清掃に関して、”機械的清掃””化学的清掃”を併用することが基本となっております。
イメージとしては機械的清掃によって根管内の汚れている所や感染している歯質を物理的に削除していきます。しかし、ファイルを用いた機械的清掃では根管内の全ての部分を清掃することは不可能なのです。ファイルが根管内を触っている範囲は根管内の約7割ほどだという報告もあります。その残りの+αを洗浄剤を用いて化学的に清掃していきます。

根管内を洗浄するタイミングは機械的に清掃を行った後に徹底的に行いますが、それと並行して大切なのが、ファイルを用いた機械的清掃時に根管洗浄を併用することです。

根管内を切削することで切削片が出ます。それを無視して根管形成を進めていくと、その切削片によって根管が根詰まりを起こしてしまい、根尖まで通した通り道が塞がってしまう恐れがあります。基本的には一つのファイルを用いた後は根管内を洗浄する必要があります。機械的清掃時に根管洗浄を併用するもう一つのメリットは根管形成時に根管内の細菌数を減らすことが出来ることです。もし根管内に細菌や感染歯質、感染物質が多い状態でファイル操作を行うと根尖からそれらのカスなどが逸出してしまうリスクが高まり、根管治療後に必要以上に痛みや腫れが出現するリスクとなります。
上記のことを起こさないように注意しながら根管形成時にも根管洗浄を併用していきます。

根管形成後は仕上げの根管洗浄を行っていきます。先程記述した根管から出た切削片は根管を消毒する洗浄剤では取り除くことは出来ません。根管内に使用する消毒液は有機質溶解作用を有していますが、根管の切削片は無機質となります。なので、根管内の切削片を取り除く為に無機質溶解作用のある洗浄剤を使用します。これを一定時間、一定量使用することによって根管内の目に見えない切削片を取り除きます。それらを取り除いた後に有機質溶解作用のある洗浄剤を使用して仕上げの消毒を行っていきます。
ここでも効率良く洗浄効果を高める為に様々な機器を使用します。根管内の状態によって使用する機器を使い分けることで、どんな根管でもしっかりと根管洗浄することが出来ます。

今回は根管洗浄の概念について簡単に書かせていただきました。
 
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2021年11月08日 21:50

NiTiファイルについて(3)

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前回はNiTiファイルの破折について書かせていただきました。
NiTiファイルに限らず、根管内に入れる金属製のファイルは根管内で破折するリスクが付き物です。その可能性を事前に患者様に説明することで後々のトラブル防止に努めることが大切です。
 
今回はNiTiファイルの種類について書いていきたいと思います。
NiTiファイルの特性としては、超弾性形状記憶・電動ロータリーを使用することによる切削性の向上などがあります。
近年のNiTiファイルの流行としては、NiTiファイルに熱処理を加えて柔軟性を挙げることで破折リスクを下げたり、湾曲が強い根管への使用を比較的容易にするなど各メーカーは工夫を凝らしております。熱処理を加えたNiTiファイルは熱処理の温度によって刃部の色が変化します。メーカーによって色が違う場合が多いですが、色々な色が付いているNiTiファイルを見るのは楽しいものがあります。

また、超弾性・形状記憶の特性から”プレカーブ”と呼ばれるファイルの先数mmを曲げて使用する手法が取れなかったのですが、最近ではそれも可能になってきております。プレカーブをファイルに付与することによって、湾曲が強い根管の探索に有利になったり、”レッジ”と呼ばれる本来の方向とは逸脱している場合にも本来の根管にファイルを挿入することが可能となり根管治療の幅が広がっているのを感じます。
それはファイルの種類を増やせば全て可能になるわけではなく、NiTiファイルを装着する電動ロータリーの機能に依存する部分もあります。

一本のファイルで全ての根管に対応できれば楽なのですが、なかなか難しいのが現実です。それゆえ歯内療法専門医は数種類のファイルを根管ごとに適切に選び使用していくことが求められます。また、選んだファイルをどのような動かし方をするのかも重要となります。新しいファイルが出た際は根管を模したプラスチック製の模型で使用感を確認します。慣れないファイルをいきなり患者様に使用する事は予期せぬアクシデントにも繋がります。
このように歯内療法のみに特化することによって、日々世界における歯内療法の最先端を追いかけ、自身の治療手技のアップデートをしていくことが可能になります。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2021年11月05日 10:46

NiTiファイルについて(2)

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前回はニッケルチタン(NiTi)ファイルの利点について書かせていただきました。
 
NiTiファイルを使用することにより、根管形態や診療時間的にもスムーズに根管形成が行うことができ、形成した根管形態に合った根管充填材料であるガッタパーチャポイントを使用することにより緊密な根管充填を可能にしてくれます。
 
しかし、そんなNiTiファイルも良いことづくめではありません。使用することによるデメリットも存在します。今回はそのデメリットについて書いていきたいと思います。
 
最も重大なデメリットは何と言ってもNiTiファイルが根管内で突然破折することです。根管内でファイルが破折すること自体はステンレス製のファイルを使用していても起き得る事柄ですが、ステンレス製のファイルの場合はその兆候がファイルの形状を見ることによってある程度予測できます。しかし、NiTiファイルの場合は超弾性や形状記憶といった特性の為、その事前の兆候が出ないまま根管内で使用すると突然破折してしまいます。破折が起きるメカニズムとしては周期疲労やねじれ破折が大部分を締めます。根管内でファイルが破折する可能性があることは治療前に患者様に説明をする必要があります。根管内でファイルが破折しても多くの歯科医院では使用するファイルは滅菌処理しているはずですので悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられており、予後に差はないとする論文の報告もあります。なので必要以上に心配する必要はありませんが、除去出来るのであれば除去するに越したことはありません。除去する難易度としては”根管のどこで折れているのか”、”折れて残っているファイルの長さはどのくらいか”によって変わってきます。簡単に除去できる時は数秒で除去できますが、除去が難しい状況の場合もあります。除去することに専念しすぎてしまうと根管内で穿孔(変な所に穴を開けてしまうこと)を起こしたり、根管形態を破壊してしまうリスクがあります。そこを見極めつつ除去が困難な状況の場合は、そのことを患者様に説明を行い、それに対する対応策や今後の方針を相談します。
治療前にしっかりとした治療方針の説明や治療中に起こりえる事柄を細かくはなりますが、一つ一つ説明をしていくことが重要となります。なんの説明を受けていない状態で突然上記のようなことを告げられるとビックリされるかと思います。起こりうる可能性がゼロでない限りは事前に説明を致します。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。治療前にはしっかりとした説明を行い、患者様自身もご納得された上で治療を開始しております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年11月04日 17:39

NiTiファイルについて

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前回はステンレス製のファイルについて書かせていただきました。

今回はニッケルチタン(以下NiTi)製のファイルについて買いていきたいと思います。
 

ニッケルチタン(NiTi)と聞けば知っている方もいらっしゃるかと思いますが、ニッケル(Ni)とチタン(Ti)を合わせた合金で、その特性は超弾性と形状記憶です。ニッケルチタン(NiTi)のその特性によりNiTiファイルはステンレス製のファイルと比較して、根管形成している際に根管の方向性を逸脱しにくく追従性が向上しております。
 

NiTiファイルはそれ単体だと切削性はステンレス製のファイルより劣るのですが、電動のロータリーに付けて使用することによって切削性を補っております。電動ロータリーは以前までは時計回り、反時計回りにしか動きませんでしたが、ロータリーの進化により様々な動きを与えることが出来る様になっております。その為、根管の形態に合わせて動かし方の設定を変えることによって、根管に合わせたオーダーメイドの根管治療を行うことが出来るようになりました。
 

もちろん、NiTiファイルが全てをカバーできる訳ではないので、手用で用いるステンレス製のファイルと組み合わせて使用しております。

NiTiファイルの優れている点は上に記述した超弾性、形状記憶、電動ロータリーを使用することによる切削性の向上ですが、デメリットも存在します。

それは次の機会に説明したいと思います。
 

豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行なっております。

様々な患者様の歯の根管形態にも幅広く対応する為に、数多くのNiTiファイルも用意しております。

お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。

2021年11月02日 11:33

ファイルについて

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前回は根管形成をする目的について書かせていただきました。
今回は実際に根管形成をする器具や注意点について書いていきたいと思います。
 
根管形成はファイルという細い器具を用いて行っていきますが、種類としては”ステンレス製のファイル””ニッケルチタン(NiTi)製のファイル”とがあります。

今回はその中のステンレス製のファイルについて細かく書いていきます。ステンレス製のファイルは昔からある器具で主に手用で器具操作を行います。ステンレスなので強い力で曲げると曲がった状態が維持され、弱い力で曲げると元の形に戻ろうとする力が働きます。根管に挿入する際に注意することは、ほとんどの根管は湾曲しているので太いステンレス製のファイルで器具操作を繰り返すと根管が直線化してしまい本来の根管の方向とは逸脱してしまう恐れがあります。なので、ステンレス製のファイルを用いて何回も何回も繰り返し根管治療を行うと根管の本来の形態が壊され治療成績の低下に繋がります。
ステンレス製のファイルは手用での操作となるので、根管内での器具の動かし方も重要となります。簡単に言うとネジのような形態をしているので、右回りに回すと根管内に入っていく力がかかります。左回りに回すと根管から出ていく力がかかります。大学の学生実習で初めて器具操作を行うと学生はひたすらに右に回し続ける印象があります。それは早く根の先(根尖)に器具を到達させたいという気持ちがそうさせるのだと推察されます。右に回し続けると確かに早く進むのですが、その代償に本来の根管とは違う方向に進めてしまったり、切削片により根詰まりしてしまったり、ファイルが折れてしまったりと様々な良くない事が起こってしまいます。なので、簡単に言うと右左と交互に優しい力で器具操作を行う方法が安心です。実際に根管への追従性を高める器具操作方法はまだあるのですが、それは割愛いたします。
根管の状態によっても器具操作の方法や力加減は考える必要があり、こればかりは経験が必要となります。細いファイルから太いファイルへ順々に使用していきますが、ここでも焦って太いファイルへの移行を早めてしまうと根詰まりを起こす可能性が高くなります。理想的には細いファイル→太いファイル→細いファイルのように根尖までのアクセスを常に確認しながら器具操作を行うとアクシデントが少なくなります。常に根管の形態がどうなっているのか、どのような状況になっているのかイメージしながら治療を進めることが重要となります。なので、根管治療は他の歯科治療よりも時間がどうしてもかかってしまいます。1回の治療時間を削ってしまうと、逆に通院回数が増えたり、なかなか治療が進行しない要因となります。

豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を実施しております。その際は1回の治療時間を適切に設け、その中で密度の濃い根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
 
2021年10月29日 14:59

なぜ根管形成が必要なのか

今回は根管治療において最も重要な事の一つである根管形成について書いていきたいと思います。
根管形成、根管拡大、根管の機械的清掃と色々呼び方はありますが、今回は根管形成という単語を使用して書いていきます。前回では細いファイルを使用して根尖までの通路を作ることについて触れましたが、今回はその続きになります。
 
なぜ、根管形成が必要かというと理由はいくつかあります。

一つ目の理由は細いファイルを通しただけでは根管内はキレイになりません。細いファイルで頑張って根管内を通していきますが、根管内の全ての箇所が細いファイルより細い訳ではなく、細い箇所もあれば太い箇所もあります。なので、理想的にはファイルで根管内の壁を全て触るよう器具操作していきますが、現実的には数十%ほどはファイルが触れられない箇所が存在します。ファイル操作による根管内の清掃のことを機械的清掃と言います。機械的清掃では掃除しきれない部分に対しては洗浄剤(消毒薬)を用いて化学的に清掃を行います。

二つ目の理由は細い根管の状態のままだと洗浄剤が根管内に行き渡らないで洗浄出来ない箇所が出てきてしまいます。その為にも根管を洗浄剤が環流しやすい形態や大きさにする必要があります。大きさは大きければ大きいほど洗浄剤は環流しやすく消毒しやすいのですが、根管を必要以上に大きくしてしまうと歯根の厚みが薄くなったり、歯根の根管以外の部分に穴が開いてしまったり(穿孔)、根尖の位置がズレてしまう(トランスポーテーション)など消毒をする以上の弊害が出てしまいます。現状ではそのバランスを取りつつ、歯の状態を考えつつ根管形成を行っております。

三つ目の理由は根管充填をスムーズに行う為です。根管は最終的に根管内を材料で充填してスペースを埋めていきます。その既存の材料を詰めていく為にもある程度規格化された形態や詰めていく為の大きさが必要となります。最終的には根管充填をどのようにするかで根管形成の目標は変わってくると考えております。
 
今回は根管形成の概念について書いていきました。次は具体的にどのような器具を用いて行っているか書いていこうと思います。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
2021年10月28日 13:09

倉本歯科医院

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