倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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根尖病変の有病率  ~自己免疫疾患を有していると~

今回は根尖病変の有病率について書いていきたいと思います。
 
根尖病変とは根の周囲に根管及び歯根象牙質が細菌に感染することにより、生体の免疫反応の結果として生じる根の周囲にできる膿のことです。
根尖病変はしばしば慢性炎症として存在しており、その大半は無症状の内に進行することが多いです。
生体の免疫反応によって炎症症状が抑え込めている状態は無症状であったり、症状が軽いことがありますが、疲れていたり体調が悪い時など免疫が落ちている時に、その慢性炎症は急性化しやすくなります。
そうすることで、痛みや腫れといった自覚症状が出現します。
術前に無症状であっても根管治療を介入することの刺激によっても炎症の急性化が起きることはあります。
これが治療をしたけれど、その日の治療が終わった後に痛みや腫れが出る原因であることが多いです。
 
このように根尖病変は生体の免疫と密接に関係していることが分かります。
そこで一つの研究を紹介致します。
自己免疫疾患患者の根尖病変有病率を調査した研究です。
ここで調査している自己免疫疾患とは炎症性腸疾患、関節リウマチ、乾癬です。
自己免疫疾患患者の2145本の歯と、全身性疾患のない患者2329本をレントゲン写真を用いて比較すると、根尖病変の有病率は自己免疫疾患患者で89.9%、全身性疾患のない患者で74.2%という結果でした。
統計学的に有意に自己免疫疾患患者の根尖病変有病率が高いという結果になっています。
その中でも関節リウマチ患者は根尖病変の影響を受けるリスクが最も高く、炎症性腸疾患患者はリスクが最も低かったという結果も出ています。
自己免疫疾患はしばしば投薬治療を受けている場合がありますが、投薬治療の有無に関わらず根尖病変の有病率は高かったという結果も出ていました。
 
このように根尖病変と免疫は密接に関連しており、切っても切り離せない関係です。
歯科医によって根管内および歯根象牙質の細菌を除去することで治癒に導くことを目指した治療が根管治療ですが、最終的に根尖病変を治癒させるのは患者さんご自身の免疫ということになります。
全身性疾患の有無は根尖病変の治癒に影響を与えることが多く、疾患の種類によっては治療法の選択に検討を要す場合もあります。
根尖病変が治癒しない、治療の成果が出てこない場合、単純に歯内の感染の除去が不十分なことが多いですが、このようなケースもあるということを覚えておいてください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2023年02月09日 13:30

根管形成について

今回は根管の形成について書いていきたいと思います。
 
歯の中に神経が通っていた管の部分を根管と呼びます。
根管治療とはその部分を治療することを指しています。
根管治療とは機械的に清掃する方法と化学的に清掃する方法を組み合わせて治療をしていきます。
今回はその機械的な清掃の部分に関係している根管形成について書いていきます。
 
根管の大きさは部位によっても異なってきますが、まだ誰も触れていない根管はとても細い状態のことが多いです。
その状態から最終的に根管内を緊密に充填できるように形を整え、また洗浄液が灌流するような適度な大きさに拡大していくことが必要となります。
理想的には根管内に挿入した器具が根管の壁を全て接触して機械的に清掃したいところですが、器具の形態と根管内の形態は一致しません。
その為、器具を順々に太くしていって根管を拡大していっても器具と根管が接触せずに手付かずの領域が存在します。
これは根管内に挿入する器具の大きさを太くしていけば太くしていくほど減少していきますが、その代償として歯根の厚さが薄くなっていってしまいます。
そうなることで術後の歯の耐久性が落ちてしまいます。
どのような器具を使いどのような形態に形成するのが絶対的な正解というのは現在のところ示されてはいませんが、歯根の厚さを出来る限り保ちながら、かつ根管内を機械的に清掃できる領域を増やすことを考えながら根管治療をしていく必要があり、それは歯の根管形態によって変えていくことが重要となります。
 
初回の根管治療から歯内療法専門医による根管治療を受ける方は少ないと思います。
多くの方は一度根管治療をした後の再治療の際に専門医に受診しています。
もちろん、その時点でも救える歯は救うことが出来ますが、初回の根管治療や何回も根管治療を繰り返している時点で元々の根管の形態が破壊されている場合があります。
元々の根管形態が破壊されていると、既に部分的に歯根の厚さが薄くなっていたり、もう既に穴が開いてしまっていたり(歯の穿孔)、器具が理想的に根の先まで到達できなかったり、治癒を目指す上で障害となります。
 
再治療のような難しい状態の際はもちろんですが、初回の根管治療の際も歯内療法専門医による根管治療という選択肢を覚えておいていただけると幸いです。
 
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2023年01月16日 13:30

根管治療の失敗の原因

今回は根管治療の失敗について書いていきたいと思います。
 
根管治療の失敗に関連する主な要因は、根管系および歯根周囲領域における微生物感染の持続です。
根管治療が必要となる根尖性歯周炎は細菌感染が起こらない限り成立しません。
レントゲン写真で過去の根管治療について評価する機会が歯科医師には多いのですが、基本的にレントゲン写真で得られる情報から、歯の内部にどの程度微生物感染が起こっているかどうかは判別できません。
またレントゲン写真上で不十分な根管充填の所見があることが根管治療が失敗となっている証拠とはなりません。これは歯科医師の間でもしばしば誤解されます。
しかし、最高の技術水準で根管治療を行ったにも関わらず、失敗に終わったケースも散見されます。
これはどういったことが原因となっているのでしょうか。
 
一つは器具や洗浄液が届かない部位に細菌感染が起きている場合です。
歯根の中を走行している根管は”根管系”と表記されることもあることから、複雑に走行しています。レントゲンやCT画像で検出できないほど細かく存在しています。
このように通法の根管治療のみでは除去しきれない細菌がいること、根管治療で100%の細菌感染の除去は不可能ということを知っておくことが重要となります。
 
2つめは根管の外の感染です。
根管は根尖孔と呼ばれる歯根の先端から周囲の組織と交通しています。通常は歯根周囲組織には免疫応答があるので細菌が容易に感染できる状況ではないのですが、長期的な感染の持続など様々な要因が重なると、歯根の表面などの根尖孔外に細菌感染が生じてしまいます。
これも一つ目と同様に通法の根管治療では細菌の除去が不可能となります。
 
これらが予想された場合、次の一手となるのが外科的根管治療となります。
 
この記事で重要となるのは根管治療によって治らない原因を推察できるかどうかです。
過去の根管治療が不十分であることが予想される場合は再根管治療を行うことが提案されます。
しかし、何度も根管治療を行うことは根管形態の破壊を招く可能性もあり、気軽に行うものではありません。根管形態の破壊は通法の根管治療で清掃できない部分の領域を増やすことを意味しています。
そのようなリスクを回避する上でも初回の根管治療から専門医による根管治療が推奨されます。
初回の根管治療と再根管治療の成功率を比べてみると、やはり初回の根管治療の成功率の方が高いことから、根管治療は再治療をやればやるほど成功率が下がることを認知しなければなりません。
根管治療が必要と提案された際はなるべく早い機会に歯内療法専門医による診察や治療を受けることをお勧めいたします。
 
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2023年01月11日 13:30

タバコと根管治療の関係  ~喫煙は影響を及ぼすのか?~

今回はタバコと根管治療の関係について書いていきたいと思います。
 
根管治療を必要とする歯内感染は歯の周囲の骨の免疫反応によって悪化したり治癒に向かったりします。それはいくつかの局所的および全身的な素因の影響を受けます。
喫煙は血液供給を減らし、抹消への栄養素や酸素の到着を制限することにより、歯根周囲組織に影響を与える可能性が示唆されています。
したがって、歯髄(歯の神経)や歯根周囲組織は細菌感染による破壊を制限する能力が低いことが推察されます。
また、様々な免疫応答も制限を受ける為、治療後の治癒および修復に対して悪影響を及ぼします。
しかし、喫煙者の根尖性歯周炎(根の先の膿)に対する炎症反応を調査した研究では一貫性がない結果が多数散見されます。
ここで、それらの論文をまとめて分析した研究を紹介したいと思います。
 
この研究では数多くの喫煙と根管治療の関係に関する論文の中から選択基準に一致した15件の研究について調べています。
この15件の研究のうち、10件がタバコの喫煙と根尖病変および根管治療の有病率の高さの関連性を報告していました。
血縁者は非喫煙者と比較して、それらの可能性が2倍高まることが示されました。
しかし、これらの結果はそれぞれの研究の方法などの不均一性によりエビデンスレベルは中程度であると述べています。
 
喫煙は口から行うことがほとんどなので、口腔内の組織はその影響をダイレクトに受けることが予想されます。
根尖性歯周炎の他に歯周病への悪影響は以前から知られており、歯科の治療を受ける上でタバコとの関係性は切っても切り離せない事項の一つです。
喫煙を行っていると選択できない治療法も出てきてしまうため、それらを治療オプションとして取り入れる際は、それを機に禁煙するのも一案だと思われます。
 
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2023年01月06日 13:30

虫歯について

2022年、今年最後の記事は虫歯について書いていきたいと思います。
 
虫歯は一般的な疾患ですが、予防可能な病気です。最近の疫学的データは世界的な有病率が過去25年間高いままであることを報告しています。
 
虫歯は微生物のバイオフィルムによって誘発される疾患であり、発酵性炭水化物の食事供給によって促進・維持されます。微生物のバイオフィルムが停滞している領域でエナメル質を脱灰して虫歯となります。エナメル質の脱灰が進行すると象牙質に細菌が侵入し加速度的に虫歯は進行して内部で拡がっていきます。
健全な状態であれば、エナメル質と象牙質の石灰化した殻が歯髄(歯の神経)を自然に保護しますが、未治療の虫歯は深い病変に進行し、歯髄の炎症反応を誘発し、歯髄の壊死、膿瘍と続き最終的には歯の喪失に至る可能性があります。
実験動物モデルを用いた研究で、歯髄が虫歯によって露出する前から細菌産生産物が象牙質を通って歯髄炎を誘発することが報告されています。
エナメル質の内層の象牙質は多孔質であるため、象牙質に侵入した虫歯があると歯髄炎を誘発するリスクが発生してしまいます。また、象牙質で虫歯は横方向にも拡がっていく為、脆くなったエナメル質が欠損して歯がある日突然欠けたなんて事が起きてしまいます。
エナメル質が欠けるほど象牙質内で虫歯が拡がっている場合、その多くは既に歯髄に近接しているか到達していることがほとんどなのです。
虫歯によって歯が欠けた場合、歯の神経を取るかどうかの瀬戸際にあると思ってください。
そうならない為には、定期的に歯科医院に通い検診やクリーニングを受けることが必要なのです。
ご自身で口の中を見た時に歯が黒くなっている場合、虫歯の可能性を疑うかと思いますが、重要なのは治療介入が必要な虫歯かどうかです。これはガイドラインによって示されているので今後紹介していきたいと思います。
治療介入が必要なく経過観察となった虫歯の管理をしていく上で、これまでと同じように歯磨きをしていてもその進行は抑制できない場合が多いです。最初に書いた通り、歯に微生物のバイオフィルムが形成された部分からエナメル質の脱灰が始まる為、虫歯が出来るということはその部分の清掃が不十分ということだからです。
歯科医師あるいは歯科衛生士によるブラッシング指導や歯磨き指導を受け、デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯ブラシ以外の補助器具を使用していく必要があります。
 
歯内療法専門医は深い虫歯の治療や根管治療が専門領域ではありますが、これに至る前に予防できるに越したことはないと思っております。
口の中の状態を出来るだけ気にかけてあげることが、ご自身の歯で食べ物を長い間食べ続けられることに繋がり、それにより生活の質を落とすことなく人生を過ごすことが出来ます。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
 
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2022年12月28日 13:19

根管の隙間の洗浄  ~器具が届かない場所~

今回は根管洗浄を更に深堀した部分について書いていきたいと思います。
 
根管洗浄とは化学的清掃とも呼ばれ、切削器具を用いた機械的清掃だけでは除去しきれない細菌や感染歯質の除去を目的として行われます。
歯根の中にある根管が感染することで根の先に膿が溜まります。根管治療の目的の一つはその部分の感染の除去です。
根管は根の先まで一直線に通っているイメージがありますが、実際は歯根の中を複雑に走行しています。
歯根の中で複雑に走行している根管系を完璧に清掃することは不可能ですので、除去しきれない部分に関しては根管充填によって封じ込めを行い感染の拡がりを防ぎます。
この除去しきれない感染部分をより少なくすることで治癒の可能性が高まります。
除去しきれない部分の一つとして根管と根管の間を繋いでいる部分がよく挙げられます。
それは特に奥歯に多く見られ、大臼歯2本で85%程度存在するという報告があり、それが存在する部分は根の先から3-6mmが最も頻繁に認められると報告しています。
根の先に行けば行くほどマイクロスコープを使用していたとしても見えない部分が出てきます。その見えない部分にこのような隙間は存在します。
なので、全ての根管にこのような隙間が存在することを前提として根管洗浄を行うことが重要となります。
 
従来の根管洗浄の方法は、洗浄針がついたシリンジを用いた洗浄方法です。最近ではこのシリンジ洗浄に加えて様々な方法を用いてプラスで根管洗浄を行います。
根管洗浄の肝は洗浄液をどこまで根管系に行き届けられるかにかかっています。
ある報告ではシリンジ洗浄だけでは根尖1/3の洗浄は不十分と報告しています。その為、洗浄液をより根尖付近まで、より根管と根管との間に浸透させることを目的として補助的な機器がしばしば用いられます。
最近では超音波機器による洗浄が広く知られていますが、更に根管内の洗浄効率を上げるために音波で作動する灌漑装置やレーザーを用いた根管洗浄が紹介されています。
 
これらの機器が具体的にどのようにシリンジ洗浄とは異なるか次の記事で論文を交えて紹介したいと思います。
 
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2022年12月22日 13:30

根管治療に関する情報収集  ~適切な情報を収集できているか?~

根管治療が必要と歯科医院で言われた方はそれをすんなりと受け入れるか、根管治療とはどのような治療なのか自分なりに調べるかに分かれるかと思います。
病院で自分に疾患があり治療が必要と言われたら、どのような疾患なのか?どのような治療が適切なのか?などを調べることは自然な事です。
病名が付いている疾患に関しては病名を検索することでどのような疾患なのか調べることができます。専門用語で書かれている場合もあれば、一般の方でも分かりやすいように嚙み砕いて説明している場合もあるかと思います。
ここで興味深い研究を一つ紹介致します。
根管治療のリスクに関する患者情報源としてYouTubeを使用することの評価をした研究です。
検索の仕方は人それぞれですが、検索の一つのツールとしてYouTubeを使用している方もいらっしゃるかと思います。私もスポーツのトレーニング方法や料理のレシピなどはYouTubeを使用して調べたりもしています。
YouTubeの投稿は誰にでも出来ることで、情報としてバランスの取れた偏りがないものなのかどうか怪しい投稿もあります。
この研究では根管治療のリスクに関する動画の内、バランスの取れた偏りのない情報を提供しているものは42%の動画しか達成していないと報告しています。
ここでは動画投稿元を規制機関、臨床医、非臨床医、ニュース・メディア、その他に分類しています。
その内、最もバランスの取れた偏りのない情報を提供していた投稿元は規制機関でした。
情報の質としては優れたものを提供している規制機関ですが、上記の投稿元の内”視聴回数とインタラクションが最も少なかった動画”も規制機関による動画でした。
規制機関が作成することで情報の質としては高いかもしれないが、その動画は退屈で視聴者の興味を引くような仕様にはなっていないかもしれないと推察しています。
YouTubeの中にある莫大な量の動画から、視聴回数が少ない動画を引き当てることの難しさはお分かりかと思います。
逆にセンセーショナルなタイトルや、視聴意欲を煽る強い言葉を使ったタイトルなどは視聴者の目を引き動画再生回数は上昇します。
そうすることで正しい情報が広まらないことを報告者は懸念しています。
対策として大学や専門機関が正しい情報を数多く投稿することを提案していますが、これも中々難しいことだと思います。
歯内療法専門医が根管治療に特化した歯科医師であるのと同じように、動画作成に特化した方が作成した動画に対抗できるという考えは私がいつも言っている事と矛盾してしまいます。
そのような動画を作成する際は専門の機関を頼ることも必要だと考えます。
 
医療情報を検索する際はその提供元がどのような機関なのか、どのような人物なのかを精査した上で検索して正しい情報を得られるよう注意してください。
 
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2022年12月21日 13:10

歯の生存率  ~歯の残りの量が大事~

今回は歯の生存率の中でも残存歯質の量の重要性について書いていきたいと思います。
 
根管治療が必要な歯の大部分は構造的に損なわれていることが多いです。
ある研究では、根管治療が開始された歯の83%が以前に治療をしてある歯で、さらにその71.3%の歯は歯冠の1/3以上に相当する歯質の喪失が見られたと報告しています。
違う研究では、根管治療後の歯の残存量が30%未満の臼歯(奥歯)の抜歯率は12.5%、30%以上残っている歯は3.5%と報告しており、残存歯質が30%未満の歯は30%以上残存歯質がある歯より約3倍も将来的な抜歯率が高くなることが分かっています。
 
しっかりとした被せ物を装着する上で歯肉より上に出ている歯の量が問題となりますが、1回目の治療では問題なく治療を終了できたとしても、将来的に根の先に膿が溜まったり、被せ物と残っている歯の間に虫歯が出来た場合はそこから更に残存歯質量は低下してしまいます。
歯の治療を何度も繰り返すということはその分だけ歯を残すことが難しくなる負のサイクルに乗ってしまっていることを意味します。
初回の根管治療の質が疎かだったり、感染の取り残しが顕著の場合はそのリスクは格段に上がってしまいます。
 
虫歯や歯周病は個人の口の中の環境や日々のブラッシングを含む口の中の清掃度合いによってセルフケアが可能ですが、根管内の感染の進行に関してはセルフケアで予防することはほぼ不可能です。
したがって、初回の根管治療こそ歯内医療法専門医による治療が必要となります。
マイクロスコープを使用して歯質の削除を最低限に留め、根管内の感染や再感染の防止を精密に行うことで将来的な再治療を防ぎ歯の生存率が高まります。
 
根管治療が必要と診断された際は、歯内療法専門医による治療があることを頭の片隅に留めておいていただければ幸いです。
 
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2022年12月14日 13:50

筋・筋膜性疼痛  ~歯が痛いように感じる?~

今回も前回と引き続き筋・筋膜性疼痛症候群について書いていきたいと思います。
 
筋・筋膜性疼痛症候群は、急性または慢性の局所的な筋原性疼痛およびこわばりを引き起こす南部組織の炎症状態のことです。
筋・筋膜性疼痛症候群とその歯と関連している咀嚼性筋・筋膜性疼痛症候群は、筋靭帯痛として診断できます。
 
筋・筋膜性疼痛症候群の生涯有病率は一般集団で25~85%の範囲であり、30~50歳の女性に多くみられると報告されています。
痛みの専門外来であるペインクリニック患者の最大90%、顎関節症患者の50%以上が咀嚼性筋・筋膜性疼痛症候群を呈しているという報告もあります。
 
歯の問題と並行して出現する場合もあれば、他の疾患と並行して出現する場合もあるので、見逃されやすく適切な診断が困難なことが多いのです。
咀嚼性筋・筋膜性疼痛症候群は歯を叩いたり、咬み合わせたりした際の感受性試験で陽性となる事が多いのです。
このことから極稀に必要でないにも関わらず歯内治療の介入を受けるケースも見られます。
歯が痛いから歯科を受診して歯に異常所見がなくても、とりあえず歯の神経を取る歯内治療を受けたけれども症状が取れないという結果になります。
 
咀嚼性筋・筋膜性疼痛症候群は、そもそも口の開け閉めに主に作用している顔の筋肉である咀嚼筋に問題となる疾患がある場合、顎関節のように関連している周囲の組織に問題がある場合、または他の問題(例えば噛み合わせの異常など)に続発する可能性があります。
咀嚼筋の一部分を押して疼痛を感じる点をトリガーポイントと言い、筋・筋膜に炎症があるのかどうかの一つの指標となります。
筋肉や筋膜の問題であることから、整体で腰や脚、腕などを押してもらうと特別痛みを感じたポイントがある方もいらっしゃるかと思いますが、それとほぼ同じです。
一時的に良くなっても日々の生活習慣と関連して再び症状が顔をみせることもしばしばあります。
 
このような顔面の疼痛に関しては、口腔顔面痛専門医や歯科のペインクリニックが範疇となります。
周囲の歯に問題が見られる場合にはまずは歯の治療をしてしっかりと治すことを先行して、それでも痛みや違和感の症状が残存する場合は上記の専門医に診てもらう流れとなります。
特に歯内療法の分野において関連が強い分野であるので、術前の診査・診断を適切に行うことであらゆる可能性を患者さんと共有することが出来ます。
先行して歯内治療が必要な状況であるならば、歯内療法専門医による診査を受け専門医による治療を受けることをお勧めいたします。
 
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2022年12月08日 13:00

痛みの関連について  ~歯の痛み?筋肉の痛み?~

今回は痛みについて書いていきたいと思います。
歯の痛みは最も一般的な口腔顔面痛の愁訴です。
歯の痛みの原因は様々で実際に歯が痛んでいる事もあれば、歯の周囲の組織が炎症を起こして痛みが出ている事もあります。
これらは総称して歯原性の疼痛と分類されます。
歯原性疼痛を紹介するということは非歯原性疼痛もあるということです。
実際、歯内療法専門医の診療所に来院する症例の約7%は非歯原性疼痛による関連痛と報告されています。
また、根管治療後にも持続する疼痛の53%~62%は非歯原性の関連痛であると報告されています。
さらに調べてみると、この非歯原性疼痛の80%が筋膜性疼痛症候群によるものであることが報告されています。
 
筋膜性疼痛症候群とは、急性または慢性の局所的な筋原性疼痛およびこわばりを引き起こす軟部組織の炎症状態と定義されています。
ざっくり言うと”筋肉に関連した痛み”ということです。
口の周りには複数の筋肉が存在し、口を開けたり閉めたり噛みしめを担う筋肉もあります。
この顔面の筋肉の痛みを歯の痛みと誤認してしまうことが多くあります。
もちろん実際に歯が原因で痛みがあり、それと筋肉の痛みが複合しているケースも多々あります。
しかし、歯を治療して異常所見がなくなっても持続する痛みに関しては非歯原性疼痛の可能性が高くなります。
 
歯内療法専門医は歯の神経に関する治療を行っている関係で痛みを取ってくれるスペシャリストと思っている方がいらっしゃいます。これは一般の歯科医師でも同じことを思っている場合があります。
しかし、歯内療法専門医は歯の内部の感染の除去やそれによる炎症を治癒させる事を本分としています。
その先に結果として歯が原因となっている痛みが取れるという仕組みです。
上記で書いているような非歯原性疼痛に関しても、あまり知られていませんが口腔顔面痛専門医という先生が存在します。
しかし、患者さん自身は歯の痛みを自覚しても、歯以外の痛みの可能性を考慮していきなり口腔顔面痛専門医を受診することはあまり現実的ではないかと思います。
その際は歯科医院を受診してしっかりと診査診断を行った上で、歯が関係ないことが考えられる痛みに対しては歯科医院から口腔顔面痛専門医の先生に紹介するのが確実です。
もちろん、歯が原因の痛みと歯以外が原因の痛みが複雑に絡み合っていることもありますので歯の治療が必要な状態ならば歯科治療を先行して行います。
ここでは歯をしっかりと治癒に導くことがその後の診療・治療にも影響を及ぼしますので、根管治療が必要な歯科治療に関しては歯内療法専門医による治療をお勧めいたします。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
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2022年12月07日 13:30

倉本歯科医院

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倉本ビル2階

TEL 03-3590-0418
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