ガイド付き歯内療法 ~石灰化した根管への有用性~
ガイド付き歯内療法とは、術前に撮像したCT画像を基に3Dモデルを作成し、根管までスムーズに到達することが出来るガイドを作成し、根管治療を行うことを言います。
根管までの切削量を少なくし、石灰化した根管の場合は穿孔などを防ぐことを期待されています。
また、ガイドを使用することで経験の浅い術者でも安全かつ迅速に治療ができることがいくつかの報告で示されています。
しかし、全てのケースで上手くいくとは限りません。
ガイド付き歯内療法はそのような手法があるという程度にしか報告が少なく、現状一般的な治療とは言えません。
成功したという報告は多く散見されますが、安全性と制限に関する情報が不足しています。
これは歯科に限らず医療全体に言えることですが、どんなに素晴らしい技術でも安全性が確実に担保できない治療は一般診療まで落とし込むことは出来ません。
また、海外での報告は多いですが、日本での報告はほとんど見ることはありません。
これはガイドを使用して行うが故に十分な開口量を有することが関係していると考えています。
欧米人に代表する海外の方は日本人に比べて顎が大きく、開口量が十分に取れる傾向にあります。
日本人の場合、開口量が十分に取れずガイドを使用すると器具が噛み合っている歯に干渉する可能性が高いです。
ガイドを使用していなくても理想的な角度で根管治療のための窩洞形成を行えるケースは圧倒的に少ないです。
日本における根管治療の成功率の低さはこれが関係していると私は考えています。
しかし、それを嘆いていても環境は変わらないので、その中でベストを尽くす必要があります。
また、ガイドを作成する際の3Dモデルの精度にも注意が必要です。
それが僅かにズレている場合でも、とても小さい根管にとっては大きな逸脱となり、致命的となってしまうケースもあります。
石灰化によりレントゲン画像やCT画像上で根管がまったく確認できない場合、3Dモデル作成の失敗の可能性が高くなります。
現状、理論だけ聞くと素晴らしい内容の技術でも実際に使用してみると問題点が数多く抽出されます。
それをアップデートしていき問題なく使用できる日がくることを期待しています。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年09月05日 13:10