倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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歯科用CTの有用性  ~根管治療を行う上で必須か?~

今回は歯科用CTについて、特に歯内療法の領域で最も一般的に用いられるCBCT(Cone Beam Computed Tomography)の有用性について書いていきたいと思います。
 
近年の歯内療法における三種の神器の一つとしてCBCTの存在が挙げられます。
従来のレントゲン写真だと三次元の身体の構造を二次元に投影している関係で、正確な診査や診断が困難な場合が数多くありました。
CBCTは三次元的に画像検査ができるので、歯根の形態や根管の形態、検出、数の同定、病変の拡がり、周囲構造物との位置関係、骨の厚さの診査などの精度が格段に上がります。
術前に歯や根管、病変の拡がり、周囲構造物との位置関係を正確に診査できることで、治療計画の立案もレントゲン写真のみで行うよりもよりスピーディーになります。
また、保存が不可能な歯の状態を一早く検出できるので、無駄な治療介入による費用や時間の削減にも寄与します。
 
根管治療を専門としている身からすれば、術前にその歯の状態をより正確に知れることはなによりも重要と考えます。
しかし、CBCTが根管治療の結果に直接影響を与えるわけではないので、そこは注意が必要です。
さらに、ある論文では歯科医はその使用法に精通し、その治療にあったCBCTの診方についてトレーニングを積む必要があると述べています。
 
根管治療を行う前の術前の診査・診断はとても重要なウエイトを占めています。
根管治療についてのお悩みは歯内療法専門医へご相談ください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2022年10月20日 13:10

歯髄炎に対する処置  ~神経を全て取る必要があるか?~

今回は歯髄炎に対する処置について興味深い論文が発表されたので、書いていきたいと思います。
 
歯髄(歯の神経)が炎症を起こした場合の治療法の選択肢は”抜歯”か”根管治療”かの2つの選択肢しかありません。
近年、歯髄保存の観点から様々な術式による治療が検討されてきましたが、この研究は歯髄切断療法と根管治療を比較しているので、歯髄切断療法について簡単に書いていきます。
 
歯髄切断療法とは、炎症や感染が生じた部分の歯髄のみを除去して、炎症反応の少ない歯髄を温存する術式です。
これは歯髄と直接接触する材料がMTAであることが前提で研究されているケースが多いです。
考え方としては歯髄保存治療と似ており、歯髄の除去範囲が多いと”歯髄切断療法”と言われたりします。
この研究では炎症のある歯髄に対して、根管治療あるいは歯髄切断療法を行った場合の術後7日における疼痛に違いはなかったと結論付けています。
患者さん的には、痛みが取れればどちらでも良いと思うかもしれません。私が患者でもそう思うと思います。
しかし、切断し覆髄した歯髄の反応はやってみないと分からない点が数多くあります。
我々が最も危惧している事として歯髄の狭窄、根管の閉塞が挙げられます。
その場の症状はおさまって良いのですが、将来的に歯髄が失活(歯の神経が死んでしまう)し根管治療が必要となった場合、その治療の難易度は上記の二つが重なると跳ね上がってしまいます。
根管を探索していく過程で歯の穿孔が起きてしまった場合、最悪抜歯も選択肢の一つとして浮上してきます。
もちろん歯内療法専門医による根管治療の場合、このリスクはかなり下げることができると考えます。
 
その場の症状を取り快適に生活できる手助けをするのは勿論大事ですが、将来的な事も考えて治療法をよく選択する必要があるということです。
正直、現段階では歯髄切断療法を歯髄炎の際の治療法の一つのオプションとするにはエビデンスが不足しているのが現状です。
 
歯髄の炎症が起こり、根管治療が必要となった際は歯内療法専門医による治療をお勧め致します。
その歯にとって初めての根管治療が最後の根管治療になるよう最大限努力して参ります。
 
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2022年10月19日 13:30

外科的根管治療  ~マイクロスコープの必要性~

今回は外科的根管治療について書いていきたいと思います。
 
外科的根管治療とは、通法の根管治療で治療に対して反応が見られなかったり、補綴物の影響で通法の根管治療が困難であったり、根管内の状況により通法の根管治療では治癒が見込めない場合などに対して用いられます。
通法の根管治療は歯の上の方から治療をしていきますが、外科的根管治療は歯肉を切開剥離して直接根尖部に対してアプローチを行います。
直接根尖部にアプローチが出来るので、根尖周囲の病変の掻把や根尖部付近の根管あるいは側枝といった通法の根管治療では理想的に清掃しにくい部分を切除することで病変の治癒を目指す一方で、根管上部は外科的根管治療では触ることができないことがデメリットでもあります。
したがって、通法の根管治療を行い、それでも治癒しない場合に外科的根管治療を行うことが成功率を向上させるポイントの一つでもあります。
 
外科的根管治療は歯根端切除術を含む歯内療法領域の外科処置の総称ではありますが、ここでは歯根端切除術について書いていきます。
歯根端切除術は一昔前までは口腔外科が取り扱う領域でした。
しかし、従来の歯根端切除術では成功率は芳しくなく再発してしまうケースが散見されました。
1990年代に入り歯科用マイクロスコープを歯根端切除術に応用し始めたことをきっかけに歯内療法の領域でも歯根端切除術を取り扱うケースが増えてきました。
歯科用マイクロスコープを使用することで、根尖部の観察、切断歯根面の観察、歯根の切断角度などが適切に行えるようになり、成功率が向上しました。
従来の歯根端切除術とマイクロスコープを使用した歯根端切除術の成功率を比較した最も有名な研究が2010年に発表されていますが、この時点で従来の歯根端切除術の成功率が59%に対して、マイクロスコープを使用した歯根端切除術の成功率は94%であったと報告されています。
この94%という成功率はマイクロスコープを使用すれば誰でも達成できるということを意味してはいません。
適切な症例選択、適切なトレーニングを受けた術者といったいくつかの関門を通過したケースに対する成功率なのです。
 
歯内療法専門医が適切に診査・診断を行い、通法の根管治療をまず選択する必要があるのか、外科的根管治療が必要になりそうかどうかを判断し、ご相談することが重要となります。
まずは専門医にご相談ください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年10月05日 13:00

根管治療後の治癒  ~黒い影が残っている?~

今回は根管治療後の治癒について書いていきたいと思います。
 
根尖性歯周炎(歯根周囲の膿による炎症)の原因は根管内を含む歯の内部が細菌の感染することによって引き起こされ、炎症によって歯根周囲の骨が吸収され膿が溜まります。
根管治療の目的は、感染の除去と再感染の防止です。
感染を適切に除去できれば、個人の持つ治癒力によって骨が吸収された部分は骨が再生します。
骨が再生することによって根尖周囲の黒い影は消え、レントゲン写真で治癒したことが確認できます。
しかし、根管治療を行い根尖周囲の黒い影の明らかな縮小を認めても、少しだけ黒影が残存している状況をしばしば目にすることがあります。
これは単に完全に治癒に至っていない場合もありますが、他の考えられる可能性として瘢痕組織による治癒が起こっていることがあります。
瘢痕組織による治癒とは、火傷で出来た傷を思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。
皮膚は軽い傷や鋭利なものによる切り傷などは綺麗に修復されますが、火傷などによる損傷を受けると完全に元通りにはならず瘢痕組織による治癒形態をとります。
同じようなことが歯根周囲にも起こっている場合があります。
 
その場合、感染による慢性炎症の持続は起きていないので、更なる治療を加える必要はないと考えられます。
根管治療後の経過観察であれば推察することが出来ますが、かなり昔に根管治療をされており定期的なメインテナンス時のレントゲン写真で偶然発見された際は、現在感染による慢性炎症が起きているのか、瘢痕組織による治癒形態となっているのか判断することはとても難しいです。
小さいレントゲンの写真や歯科用CT、その歯に関する治療歴などを総合的に判断して、直ぐに根管治療の介入が必要な状況か、経過観察が妥当かはご相談によって決定いたします。
 
症状がなくても感染による慢性炎症が持続している事もありますので、無症状で偶然歯根周囲の黒い影が発見された際は歯内療法専門医の診察をお勧め致します。
ご心配な事がありましたら、ご相談ください。
 
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2022年09月30日 13:40

根管治療後の土台  ~土台に芯棒を組み込む意味とは~

今回は根管治療後の土台のことについて書いていきたいと思います。
 
根管充填後はすみやかにアクセス窩洞を封鎖し細菌の流入のリスクを減らす努力をすることが重要となります。
その際、元々の歯の残りが少なくなっている場合は土台の材料で欠損部分を補修することが求められます。
歯の残りが少なくなっている場合、土台と歯の長期的な接着は不利に働くことが知られています。
口の中に存在している歯は咬合によって力がかかることから、土台の維持を求めるためにポストと呼ばれる土台に組み込まれる芯棒を設置します。
ポストは歯根の強度を上げたり、歯の残りが少ないことを補う効果はないことを知る必要があります。
また、ポストを設置するために過度に歯根を削ることは避け、根管充填材を除去したスペースにポストを受動的に設置することが求められます。
ポストを設置するスペースがないほど根管上部の幅が狭い場合、それは根管治療が不十分となっている可能性があります。
過度に削りすぎるのは避けるべきですが、削らなすぎることで感染の取り残し等が発生し、再治療が必要もしくは抜歯適応となるリスクがあることを知っておく必要があります。
 
ある研究では、ポスト設置後の歯の生存率の改善がないことを報告しています。これらの調査ではポストの有無ではなく、残存する歯の構造が歯の生存を左右すると主張しています。
 
また、ファイバーポストと従来の金属ポストなどに代表される材質の違いに関して、歯の生存率に影響を与えるという確固たる臨床的証拠はありません。
しかし、金属ポストはその特性上、歯根を削って設置スペースを確保することが求められる関係やメタルフリーの考えから最近では臨床場面であまり見かけなくなってきています。
 
ポストを設置したり、特定の材料を使用したからといって、歯の生存率を格段に上げる術はありません。
根管治療後の歯の生存率は、根管治療の質や根管治療後の修復の質で変化します。
どちらかが疎かになっても残っている歯に影響を与えることは避けられません。
 
その事を理解して治療にあたることが歯を残す上で重要な事柄となります。
 
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2022年09月28日 13:20

妊娠期の根管治療(2)  ~歯科麻酔について~

今回も妊娠期の根管治療について書いていきたいと思います。
 
妊娠中の歯科治療は様々な事を考慮する必要があります。
前回書いたレントゲン撮影も診断をする上で必要な検査ですが、治療をするにあたり歯科麻酔はなくてはならない治療手段です。
根管治療を含む歯内治療を行う上で、処置中の痛みの感覚制御はとても大切な事柄です。
もっとも一般的な方法は局所麻酔薬の仕様ですが、それが胎児にどのように影響があるのか知ることが重要となります。
 
最初に提示する報告は、妊娠中の歯科治療と局所麻酔薬の使用が、胎児の異常のリスクの増加と関連していることを示すデータがないということです。
しかし、妊婦への局所麻酔薬の使用によって、胎盤関門を通過し、注射後数分で胎児に到達し、直接移動するという報告もあります。
一般的な歯科用局所麻酔薬には、その麻酔効果を患部に留めておくことを目的の一つとして血管収縮薬が添加されており、それにより妊婦の全身へ巡るスピードが遅くなることで、胎児への移行もゆっくりとなり安全マージンも増加すると報告があります。
 
ただし、妊娠初期に対する麻酔薬の使用は慎重になる必要があります。
器官形成期である妊娠4~7週の頃や、口周りの器官が発達する8~15週頃は原則的に控えた方が望ましいと言われています。
ただし、緊急性が高い場合は歯科局所麻酔薬を使用するメリットと胎児への影響のデメリットを天秤にかけて、必要であれば必要最小限の使用量で適切な処置を行う必要があります。
妊娠中はホルモンの関係や食生活の変化によって、妊婦の口の中の環境が悪化しやすい時期でもあります。
普段から口の中の健康に気を配り、緊急性が高い処置が必要とならない状況を作るのが最善です。
 
歯科局所麻酔薬を使用する時期としては、安定期となる妊娠5~7ヵ月頃が望ましく、この時期であれば通常の歯科治療を受けることが可能となります。
ただ、それも妊婦の状態や口の中の状況にも左右されるので、まずは歯科医院に相談してよく相談することをお勧め致します。
 
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2022年09月26日 13:50

妊娠期の根管治療(1)  ~通常の治療で平気なの?~

今回は妊娠期の根管治療について書いていきたいと思います。
 
妊娠は口の健康に関して特に脆弱な時期です。口のトラブルの中でも虫歯の割合が多く、歯痛を助長する可能性があります。
歯の神経(歯髄)の炎症が妊娠ホルモンの変化によって悪化する可能性があることが示唆されている為です。
妊娠前の口の中に問題が起こっていなくても、妊娠期には様々な問題が顔を見せることがあります。
そうならない為にも歯科医院による定期的なメインテナンスで対応できるのが理想です。
しかし、いざ治療が必要となった際には歯科麻酔やレントゲン写真、飲み薬など考慮することが多々あります。
一般的にはタブーとされていることでも、発表されている論文を紐解くことで何が出来て何が出来ないのか知っておくことが大切なのです。
 
まずは、レントゲン検査についてです。
より安全な治療計画を立てるためには正確な診断が不可欠であり、そのためにはレントゲン写真を撮影し歯の状態を確認することが重要です。
しかし、一般的に放射線は悪いイメージがあるかと思います。
現実には、歯科レントゲン撮影に伴うリスクは非常に低いのです。
母親の歯科用X線から胎児が取得する放射線量はわずか0.01mSvであり、ある研究では妊娠中のX線被ばく量が50~100mSv未満の場合、先天異常や子宮内発育遅延の増加は報告されていないとされています。
胎児への放射線の影響が最も敏感な時期は妊娠32日~37日の間で、器官形成期です。
影響はほとんどないと知っていても、その期間は避けた方が心配事は少なくなるかと思います。
また、X線撮影を行う際は、しっかりと鉛の防護エプロンを装着し、アナログではなくデジタルX線撮影を行うことでより放射線による影響は避けることが出来ます。
もちろん、理論的には大丈夫と分かっていても不安なことはあるかと思うので、その際はご相談ください。
 
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2022年09月21日 13:20

意図的再植術(2)  ~治癒に導く最後の手段~

今回も意図的再植術について書いていきたいと思います。
 
意図的再植とは、歯を一旦抜いて、口の外で歯根に対する処置を行った後に、口の中に戻す方法です。
近年であればマイクロスコープを使用した外科的根管治療を行うことで良好な治療成績が示されていますが、その外科的根管治療で対応できないケースで適応されることが多い術式です。
 
外科的根管治療で対応できないケースの続きを書いていきたいと思います。
 
・周囲の解剖学的構造の為
下顎小臼歯の根尖付近にはオトガイ孔と言って、骨の中にある神経や血管の大元の通り道の出口があります。
根尖に対するアプローチをするために、オトガイ孔やその周囲を損傷することによって術後の神経麻痺や術中の大出血などを誘発する可能性があります。
また、上顎臼歯部の根尖付近には上顎洞と言って、鼻の横にある副鼻腔が存在します。
上顎洞の位置によっては切除した根尖が迷入してしまったり、肉芽掻把の際に上顎洞粘膜を穿孔してしまう恐れがあります。
リスクのない外科処置はないと思っていますが、その中でも外科的根管治療を行う上で考慮しなければいけない事項となります。
また両者の存在によって外科的根管治療による介入ができないケースがあり、その場合代替案として意図的再植術が検討されます。
 
・外科的にアクセスできない領域の処置が必要なケース
一般的に外科的根管治療では根尖を切除し、切断面から清掃、セメントの充填を行い、治癒を目指します。
しかし、アプローチが必要な部位が外科的にアクセスできない場合も考えなくてはなりません。
アプローチする為には、骨をより多く削る必要があったり、必要のない根の切削を必要とする場合です。
そのようなケースにおいても、意図的再植術が適応となるかどうか検討をします。
 
以前述べたように、意図的再植術を行うには、患歯が抜歯に適している歯かどうかが重要となります。
また抜歯に適している歯であっても、無事に抜けてくれる確固たる保証はありません。
意図的再植術は歯内療法における歯を保存する上で最後の砦となる場合が多いですが、適応となるかどうかの見極めが非常に重要となります。
論文などで示されている高い成功率(80~90%)は、適応かどうかの選択を厳しい基準で行っているが故です。
患者さんへの説明の際に、こちらが伝えようとしているニュアンスと患者さんが受け取るニュアンスでは齟齬が出てしまう事があります。
術前の説明をしっかりと行い、介入してからこんなはずではなかったと思われないことが必要な術式と考えています。
 
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2022年09月14日 13:20

意図的再植術  ~治癒に導くための最後の手段~

今回は意図的再植術について書いていきたいと思います。
 
意図的再植とは、歯を一旦抜いて、口の外で歯根に対する処置を行った後に、口の中に戻す方法です。
近年であればマイクロスコープを使用した外科的根管治療を行うことで良好な治療成績が示されていますが、その外科的根管治療で対応できないケースで適応されることが多い術式です。
 
外科的根管治療で対応できないケースを以下に示します。
 
  • 頬側の骨が厚いため、歯根にアプローチできない
外科的根管治療を行う場合、ほとんどのケースで頬側の歯肉を切開して歯根にアプローチをします。
外科的根管治療が適応とならない場合がほとんどの歯が第二大臼歯と呼ばれる親知らずを除くと一番奥にある歯です。
下の第二大臼歯の根尖の位置は頬側の骨から平均で7.34~8.51mmと報告されています。
距離が長くなるにつれて、骨を削る量が極めて多くなったり、器具が歯根に届かない事が起こり、治療が困難となります。
なので、第二大臼歯は外科的根管治療ではなく、意図的再植術が適応となります。
しかし、それも歯根の形態によって制限を受けることがあります。
それは、歯根の形態が抜歯に適していない場合です。
意図的再植術を行う上で非常に重要なことは、歯根を傷つけずに安全に抜歯ができる歯かどうかです。
歯根の形態によって抜歯の難易度は変わっていきます。
2つの歯根が癒合してくっついている形態の場合、意図的再植術の成功率は高くなります。
しかし、歯根が分かれていたり、歯根の先端が湾曲している場合、そもそも歯根を傷つけずに抜歯することが困難な事が多く、抜歯手技の最中に歯が割れてしまったり、そもそも歯が抜けないことも起こり得ます。
 
長くなってしまったので、続きは次回書いていきたいと思います。
 
論文などで示されている治療の成功率は大抵高く報告されている事が多いですが、それは適切に適応となるかどうか見極めているか、しっかりとプロトコールに準じているか、適切にトレーニングを受けているかなどが前提となります。
根管治療やそれに派生した外科治療などは歯内療法専門医による治療をお勧め致します。
 
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2022年09月12日 13:30

桶状根  ~日本人での割合は?~

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今回は桶状根について書いていきたいと思います。
 
桶状根とは下顎第二大臼歯(親知らずの一つ手前の歯)に好発する歯根形態のことで、本来独立している歯根が癒合したような形態となり、断面形態がC字状を呈しているのが特徴です。
独立した歯根の場合はその中の根管も独立して走行していることが多いですが、桶状根の場合は根管も癒合したような走行をしているため、根管治療が複雑となります。
根管形態が複雑となることで、従来の根管治療のみでは感染の取り残しなどが多くなり、治癒の妨げとなったり、再発の原因となります。
マイクロスコープを併用することで複雑な根管形態にも対応することが出来ますが、しかし根管形態をしっかりと理解していないと理想的な根管清掃は難しいです。
 
論文として発表されている報告は海外での調査による発表が多いですが、今回は日本で調査した報告を紹介したいと思います。
アジア地域の人に好発すると言われている桶状根の日本での発生率は35%でした。男性と女性でも発生率に差があり、男性は25%、女性は46%でした。
根管形態の分布は、全てが繋がっているC字状の根管形態の割合が48%、二つに分かれているC字状の根管形態の割合が23%、3本に分かれている根管形態は5%でした。
根管の入り口となる根管口から見た場合と、根管の中央部付近、根尖付近とでは根管の走行に変化が生じます。
マイクロスコープで根管口から観察するのとプラス、根管の先の方がどのような形態を呈しているか予想しながら治療をしていくことが重要となります。
 
複雑な根管形態の根管治療は歯内療法専門医がマイクロスコープや歯科用CT、その他の機器を併用して治療にあたることが治癒への最短ルートであると考えています。
このような複雑な根管形態の場合、再根管治療となるとその難易度は格段に上がり、治癒にも影響を及ぼします。
初回の根管治療を歯内療法専門医に任せることによって、今後その歯に問題が起こるリスクを軽減することが出来ます。
 
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