倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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歯髄診断   ~臨床で効果的な診断方法とは~

今回も歯髄診断について書いていきたいと思います。
 
治療計画の最も重要な部分は診断であり、歯内療法では歯髄の生死(神経が生きているか死んでいるか)を正確に判断することは不可欠です。
歯髄は石灰化した象牙質のバリアに囲まれているため、歯内療法を開始する前に歯髄組織を直接検査することはできません。
したがって、歯髄の生死を決定するには間接的な方法を使用する必要があります。
最も一般的に使用される検査は、熱刺激や電気刺激を歯に与えてそれを感じられるかどうか確かめる検査です。
熱刺激は温かいもの冷たいものの二種類がありますが、歯髄の生死を検査する場合は一般的には冷刺激により検査します
冷刺激による検査を”Cold Test”、電気刺激による検査を”Electric pulp test”と呼んでいます。
さらに省略してCT、EPTと呼んだりもします。
 
一般的に、診断テストの妥当性は、その感度と特異度によって図られます。
”感度”とは診断テストによって正しく陽性と識別されたケースの割合で、感度が80%の場合は正しく陽性だと診断できたケースが80%ということです。逆に言えば、残りの20%は陽性であるにも関わらず陰性と判定されてしまうということです。
”特異度”とは診断テストによって正しく陰性と識別されたケースの割合で、特異度が90%の場合は正しく陰性だと診断できたケースが90%ということです。これも残りの10%は陰性であるにも関わらず陽性と判定されてしまうことを意味しています。
 
このように検査によって100%正しく診断することは難しいのです。
したがって検査を複数組み合わせて、その診断精度を上げていくことが必要となります。
 
とある報告では、Cold Testの感度は76%、EPTの感度は92%で、特異度はそれぞれ92%、75%と報告しています。
加えて、これら二つの検査を組み合わせた結果、歯髄に生活反応があると判定された内の97%は実際に歯髄が生きており、生活反応がないと判定された内の90%は実際に歯髄が死んでいたと報告しています。
 
実際には、歯の修復物の材質などにより全ての検査が性格に出来る訳ではありませんが、様々に工夫をして検査を行っております。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年06月09日 13:20

歯髄診断  ~様々な検査方法がある~

今回も歯髄診断について書いていきたいと思います。
歯髄診断とは歯の神経が生きているか死んでいるのか確かめる検査のことです。
 
従来の歯髄診断は歯に電気や熱の刺激を与えてそれの感じ方によって歯髄の生死を判断しています。
現状の歯科医療では最も一般的に用いられている検査方法です。
しかし、論文ベースでの話となるとそれ以外にも検査方法はあるのです。
歯髄の生死を判定する確定的な証拠の一つとなるのが、歯髄に”血流があるかどうか”です。
その血流を測定する検査方法はレーザードップラーを用いた検査とパルスオキシメーターを用いた検査法です。
どちらも歯髄の血流に着目した検査となります。
なので、様々な研究結果をまとめてもこれらの均一性は高いと報告されています。
逆に電気や熱刺激を与える検査は患者さんの主観を頼りに行う検査なので、不均一性が高く客観的な評価が難しい検査方法なのです。
 
この様々な研究をまとめた論文では、熱刺激の内、コールドテスト(冷たいものを歯に当ててその刺激を感じるかどうか)は臨床医が利用できる簡単で最も正確な歯髄診断法であり、歯髄の状態を評価するための腫瘍な診断手段であると報告しています。
また、エレクトリックパルプテスト(電気歯髄診)(歯に弱い電気を流してその刺激を感じるかどうか)は感度が低いが特異度が高いため、結果が陰性であれば歯髄が生きているという状態を除外できる手段であると報告しています。
*”感度”とは疾患を持った人のうち、その所見がある人の割合で、”特異度”とは疾患を持たない人で、その所見がない人の割合のことです。感度が低く、特異度が高いということは、歯髄が生きていることを判定する精度は低いが、歯髄が死んでいることを判定する精度は高いということです。
これは以前より報告されていた結果と変わらないことを示しています。
 
理想を言えば、日常臨床でレーザードップラーやパルスオキシメーターを用いて歯髄中の血流や血中酸素飽和度を測定できれば良いのですが、現状それは難しい状況です。
なので、既存の検査法の特性をよく理解し、正しく歯髄の状態を診断することが重要となります。
 
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2022年06月08日 13:30

歯髄診断  ~神経が生きているか死んでいるか~

今回は神経が死んでいるのか生きているのかを知る為のテストである歯髄診について書いていきたいと思います。
 
歯の神経が生きているか死んでいるかは根管治療を行う上で重要なことで、神経が死んでいる(失活)状態であれば根管治療が必要となります。
逆に神経が生きている(生活)状態であれば、他の原因を考えなくてはなりません。
 
歯髄の状態を評価するために使用される方法は、非侵襲的で、客観的で、痛みがなく、信頼性が高く、再現性があり、標準化されており、簡単医実行でき、安価である必要があります。一般臨床において最も採用されている試験は、熱試験や電気試験などの歯髄感受性試験です。
ただし、これらの試験は歯髄の感受性(その刺激を感じられるかどうか)の試験であるので、歯髄が真に生きているかどうかを評価するために必要な”歯髄の血液供給状態”に関する直接的な情報は得られません。
歯髄の生活反応の有無を知るためのスクリーニング検査みたいなものなのです。
しかし臨床において、これらは治療介入の判断材料となります。
 
これらの試験は患者さんの年齢によって信頼度が変わってくることに注意が必要です。
幼若永久歯(歯根が完成しきっていない歯)の場合、その信頼性は低くなり、逆に歯髄腔が狭窄している事が多い高齢者の場合も、熱・電気刺激による反応は鈍くなります。
 
その歯の過去の治療歴や外傷の既往の有無、患者さんの年齢、性別、性格など様々なことを考慮して検査する必要があります。
そのため、一般の歯科医院では採用されていない場合もあります。
もちろん、根管治療が必要そうな全ての方に行うべき検査ではなく、必要と判断された場合のみ行う検査です。
 
術前に根管治療が必要な状態かどうか、それによって根管治療を行うことで症状の改善が期待できるか知ることはとても重要です。
歯髄保存治療を行ってても歯髄が失活していれば、その治療は無駄になってしまいます。
歯内療法専門医はこれらの情報を整理して術前の診断を下していきます。
 
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2022年06月03日 13:00

歯根嚢胞  ~一体なにか?~

身体の中に生じた病的な袋状のものを嚢胞(のうほう)と言います。
その中には液状の内容物が入っており、ほとんどの嚢胞は、その内側が上皮によって覆われています。
歯根嚢胞は顎骨中のどの歯においても発生する可能性がありますが、上の前歯の発生頻度がもっとも高く、顎や口腔組織において、もっとも発生頻度の高い嚢胞です。
二次感染を起こしたり、臨床的に自覚できる程度まで拡大しない限り無症候性のことが多いです。
 
歯根嚢胞は組織学的に上皮によって裏装されており、それは歯の発生過程で取り残されるマラッセの上皮残遺の増殖に由来し、根管内の感染による炎症反応によって生じると考えられています。
多くの症例で、嚢胞被膜や嚢胞腔内にはコレステリン結晶が含まれており、組織学的な特徴となっています。
 
歯根嚢胞は自然発生する可能性は低く、その原因は元々根の周りに膿が溜まって(根尖病変)、その炎症反応によって歯根嚢胞となっていることが推察されてます。
根尖病変も無症状に進行していることが多いため、歯科医院でレントゲン写真を撮ったら指摘された経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
症状がなければ治療介入の最終判断は患者さんに委ねられますが、骨の中の慢性炎症を放置すると、歯根嚢胞のように違う病態に変化してしまうことがあることは覚えておいてください。
根尖病変に対する治療法は通法の根管治療となりますが、歯根嚢胞に対する治療法は外科的根管治療となります。
歯根嚢胞を治療するためには、上皮層を取り残すことなく切除する必要があるからです。
ただ、歯根嚢胞の確定診断としては組織学的に検査をしないと分からないので、疑わしい場合でも治療手順としては基本的には通法の根管治療→外科的根管治療となります。
ただ、その判断も患者さんご自身では難しいと思いますし、一般の歯科医師では対応できない場合もあります。
その為、歯根嚢胞かもしれないと言われた際は歯内療法専門医による診察を受けることをお勧め致します。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年06月02日 13:25

歯根嚢胞  ~膿とは違う病態~

今回は歯根嚢胞の事について書いていきたいと思います。
 
レントゲン写真やCT画像などで根尖の先に黒い影(透過像)を認める場合、根管内の感染が原因で根の周囲の骨を溶かし膿が溜まっていると判断することが多いです。
しかし、それが本当に膿かどうかは組織学的な検査をしないと確定診断はできません。
癌で言うと生検みたいと事です。
 
根尖部の透過像については組織学的に根尖膿瘍や歯根肉芽腫の場合が多く、それは通法の根管治療によって改善できることがほとんどです。
根管の形態や細菌の状態によっては通法の根管治療のみでは治癒せずに外科的な根管治療が必要になるケースもあります。
しかし、どちらも共通して言えることは根尖膿瘍や歯根肉芽腫に関しては原因の多くは根管内の細菌の感染によるものなので、それに対する処置を行います。
 
歯根嚢胞とは、組織学的には裏装上皮層、肉芽組織層、線維性結合組織層の三層構造からなります。嚢胞腔内には各種浸出液、剥離上皮、コレステリン結晶を認めます。裏装上皮は非角化重層扁平上皮であることが多いです。
治療法としては”摘出”となりますが、上皮層を取り残したりすると再発が多いと言われています。
歯根嚢胞に関しては、治療の第一選択は外科的摘出となります。
しかし、術前の所見からではそれが膿なのか腫瘍なのかは確定診断できません。
治療法としてはどちらも区別せずにまずは通法の根管治療を行い、それでも治癒しない場合に外科的根管治療を行います。
摘出した病変部を病理検査に出して、結果的に歯根嚢胞であったと分かるケースの方が多いのです。
 
難治性のケースの場合、歯根嚢胞である可能性が高いと説明を受ける方がそれなりにいらっしゃいますが、だからと言って治療の手順に大きな違いはありません。
通法の根管治療を精密にしっかり行われていることを前提に外科的根管治療に移行していきます。
そのような状況判断はやはり歯内療法専門医でないとハッキリしないことが多いのです。
歯根嚢胞の可能性があると説明を受けた方もまずは専門医による診査・診断を行った上で治療法をご相談することをお勧め致します。
 
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2022年06月01日 13:40

樋状根  ~根管の清掃はより難しい?~

今回も前回と引き続き樋状根について書いていきたいと思います。
 
樋状根は英語ではC-shaped canalと呼ばれC字状の根管形態のことです。歯根は分離しているのが一般的な歯のイメージですが、歯根同士はしばしば癒合しており、歯根同士が癒合してくっ付いていることにより根管も根管と根管を繋ぐ溝(イスムス)によって一体となっている場合があります。
樋状根は極東アジアの地域の人に多く見られることから、ここ日本でも決して珍しい根管形態という訳ではありません。
その為、適切な治療法を理解しておかないと根管治療の失敗に繋がってしまいます。
 
ここで、とある報告を紹介いたします。
根管の中を掃除する器具である手用のステンレススチールファイルとNiTiロータリーファイルをこのC-shpaed canalに使用した場合、手用のステンレススチールファイルの方が切削体積は多く、より綺麗になっていたと報告があります。この一文だけを抜き取ると手用ファイルを使用した方がより良いイメージがあるかもしれませんが、手用ファイルの方が根管内の形態にエラーが生じやすいとも報告されています。
つまり、手用ファイルはNiTiロータリーファイルに比べて根管内の形態を破壊しやすいということも分かります。
 
また、違う報告では、異なる種類のNiTiロータリーファイルを使用してC-shpaed canalを根管形成した場合、根管内にファイルが接触していない面積が両者とも30%程度あったと報告しています。
 
以上の報告からも分かるように、何を使えば大丈夫という明確な指標は根管治療にはあまりないという事です。
様々な器具や薬剤を使用して根管内を出来る限り無菌に近づけることが求められているのです。
その為には、マイクロスコープを使用して根管内をしっかりと目視できる環境で治療が出来ることは大前提で、その上で適切な治療法を歯の種類によって変えていき、最適な結果を目指すことが必須となります。
根管治療にそこまでの時間と労力をかけられるのは歯内療法専門医以外にいません。
根管治療を受ける際は歯内療法専門医がいるということを頭の片隅に置いておいていただけると幸いです。
 
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2022年05月25日 13:30

複雑な根管形態  ~アジア人に多い根管形態とは~

今回は複雑な根管形態について書いていきたいと思います。
 
日本では”樋状根“と呼ばれていますが、世界的にはC-shaped canal(C字状根管)と呼ばれています。
日本語より英語の表記の方が形態的には的を得ていて、読んで字のごとく上から歯を輪切りにして観察するとC字状に見えることから、この名前が名づけられています。
1979年に論文でこの用語で紹介されたのが初めてとされています。
普通のレントゲン写真のみでは歯根形態や根管形態の診断は難しく、しばしば見逃されがちな根管形態です。
 
欧米での発現率は少ない代わりに、アジアの中でも極東の地域の人種に多く見られます。特に多く発現するのが下の奥歯です。親知らずの一つ手前の前から7番目の下顎第二大臼歯と呼ばれる歯種です。とある報告では下顎第二大臼歯における発現率は30~40%と報告されています。
C字状の歯根形態に沿って根管が走行しているので、通法の根管治療のみでは根管の清掃は不十分になってしまいます。
根管と根管を繋ぐ溝などが他の歯と比べて複雑に根管同士を繋いでいる関係で、その場では症状が改善されても長い年月が経つと清掃できずに未処置だったスペースで細菌の増殖が起こってしまいます。
また、下の一番奥歯であるので、マイクロスコープなしに根管形態を把握することはまず不可能です。
術前にCTによる画像検査で確認しておくことも出来ますが、確認できるだけで、確実に根管清掃を行うとなるとマイクロスコープおよびそれに付随する診療器具が必要となってきます。
どのような形態かある程度把握できていないとマイクロスコープがあっても十分に治療することは難しくなります。
その為、C字状の根管は歯内療法専門医による治療が必要となると考えております。
患者さんは勿論、一般の歯科医師でも治療中に気付かない場合も多いので、かかる歯科医院の判断が難しいかもしれません。
根管治療が必要あるいは必要そうな場合は、まずは歯内療法専門医にご相談することを覚えておいていただければ幸いです。
治療が必要でない場合も勿論ありますので、診査診断を行ったからといって必ず治療介入する訳ではありませんので、まずはご相談ください。
 
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2022年05月23日 13:00

根管数について  ~見落としやすい根管とは~

今回は上の奥歯の根管のことについて書いていきたいと思います。
 
上の奥歯は教科書的には3本の歯根があり、根管は3~4と教わります。
通常であれば、歯に穴を開けて根管の入り口が見えた部分に器具を挿入して根管治療を行っていきますが、肉眼でハッキリと確認できることが多いのは3本なのです。
4本目があることは知ってはいる先生の方が多いとは思いますが、肉眼や歯科用ルーペではしばしば見つけられないことが多いのです。
見落としていると書きますと、注意すれば見つけることが出来ると誤認してしまいますが、ハッキリ言って肉眼で見つけることはほぼ不可能です。
歯科用ルーペを付けていてようやくスタートラインに立てるくらいの拡大率となります。
肉眼、歯科用ルーペどちらも根管治療を行うにあたり設備としては不十分で理想的な根管治療を目指すのであれば間違いなくマイクロスコープは必須となります。
 
とある報告では、上の奥歯の4本目の根管の発生率は86%と言われており、その中で未処置の根管は77%と報告されています。また、未処置の根管の72%には根の先に膿が出来ていたと報告しています。
この報告以外でも、4本目の根管の発生率は高いと述べている報告は多数存在しています。
 
発生の確率は高いことを知っていても治療するための設備が揃っていないと治療することは出来ません。
また、単純に拡大すれば見つかる場合の方が少なく、歯質を少し削っていき探索して見つかる場合の方が多いのが実感です。
よく見えない部分の歯を削っていく場合は様々なリスクが伴います。自分がどの程度削っているのか分からないまま削っていくからです。
 
今回の根管の発見についてもそうですが、やはり根管治療を行うにあたり、マイクロスコープは必須であると考えます。マイクロスコープがあることが前提で、そこから様々な知識を前提に根管治療を行うことが歯を治癒に導くために必要なことなのです。
 
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2022年05月20日 13:30

根管洗浄   ~より洗浄効果を高めるためには~

今回も根管洗浄について書いていきたいと思います。
 
複雑な形態を呈している根管を綺麗にする為には器具を用いた機械的清掃のみでは不十分です。
ある報告では楕円形の形態を呈している根管に器具が触れているのは40%程度しかないと報告されております。つまり、残りの部分は清掃できていないということになります。
その為、根管治療は再発が多いというイメージが多く、根管洗浄の重要性を理解しなければ治癒に導くことは難しくなります。
 
通常は洗浄液をシリンジに入れてそれを根管内に注入して根管内を灌流させるイメージで根管洗浄を行います。
しかし、このシリンジ洗浄のみでは根管内の洗浄は不十分なのです。そこで超音波チップを併用した根管洗浄を行っていきます。
根管内を洗浄液で満たした状態で超音波チップを根管の壁に接触させないように挿入することで根管内に洗浄液がより灌流することで根管内を綺麗にします。
シリンジ洗浄のみと比較して超音波チップを併用した根管洗浄の洗浄効果は高く、様々な方面から報告が挙がっています。
超音波による根管洗浄時間の比較、洗浄剤の種類による違い、超音波の先端の器具の大きさの違い、根管形態による違いなどがあります。
これらの論文を一つ一つ読んでいくと、根管内をより綺麗にするために必要な情報がたくさん含まれています。
大学の講義で教わる治療法のみでは不十分になりがちになってしまうため、日々挙がってくる論文に目を通していくことが大事なのです。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
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2022年05月16日 13:40

根管洗浄   ~なにで消毒しているのか~

今回も根管洗浄について書いていきたいと思います。
 
根管洗浄とは根管治療の一連の流れの一つで、機械的清掃によって根管内を清掃した際に出る削りカスや機械的清掃では触れられない部分を消毒したりしています。
ラバーダム防湿をせずに根管治療を受けた方は極稀に口の中に辛い感じの液体が流れ込んできた経験はありませんか?
これが根管内を洗浄している消毒薬の一つである次亜塩素酸ナトリウム溶液と呼ばれるものです。
根管洗浄している消毒薬が口の中に流れ込んでしまうことは本来ならあってはならないことです。なので、根管治療の際は根管内に口の中の細菌を入れないことも勿論のこと、根管内で使用している器具や消毒薬が口の中に行かないようにする為にもラバーダム防湿をすることは必須なのです。
上で紹介した次亜塩素酸ナトリウム溶液とは塩素系の消毒薬です。台所で使用されている方もいらっしゃるかと思いますが、ハイターも同じ塩素系の消毒薬です。
次亜塩素酸ナトリウム溶液は、強力な抗菌作用と抗ウイルス作用を有していることから、最も効果的な根管洗浄剤として長い間使用されております。
次亜塩素酸ナトリウム溶液は有機質溶解作用を有していることから、細菌や歯髄の残渣(神経の残りカス)などを溶かすイメージです。
しかし、この次亜塩素酸ナトリウム溶液は化学的安定性に劣るため、根管内に満たしているだけではその効力はすぐに失われてしまいます。
その為、根管洗浄の際は絶えず新しい次亜塩素酸ナトリウム溶液を根管内に流入し続けないと意味がありません。
この根管洗浄は機械的清掃と同じくらい重要である為、それにかける時間も必要となります。しかし、根管洗浄をしっかり行うことを理解していてもどの程度洗浄すればいいのか理解している歯科医師も少ないのも現実です。もちろん、明確に”どの程度やれば大丈夫”というガイドラインがある訳ではないので難しいところではあります。
そういった際には様々な論文を検索して自分なりに根管洗浄のガイドラインを設定することが望ましいですが、歯科医療全般を行っている一般の歯科医師では一分野の細かい所まで網羅するのは現実的には厳しいです。
網羅しきれない分野に関しては専門医に依頼することが一般的になりつつあります。
もちろん、患者さんが歯科に対する知識が高い方の場合は自分から関連した専門医を見つけられる場合もあります。
根管治療を受ける際は歯内療法専門医による治療があるということを頭の片隅に置いておいていただけると幸いです。
 
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2022年05月09日 13:30

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