根尖病変 ~それ以外の可能性は?~
今回は根尖病変(根の先の膿)について書いていきたいと思います。根尖病変とは根管内に細菌感染が起こることにより、歯根周囲の骨組織が吸収され膿が溜まった状態を言います。
一般的には、根尖病変に対する治療法は根管治療が適用となります。
術前に根尖病変が生じているかどうかを診断するにはレントゲン写真やCT画像による診査を行いますが、その際に認める根尖周囲の透過像(歯根の周りの黒い影)が本当に根尖病変かどうかを知るすべはありません。
ここで一つの研究を紹介します。
アメリカの病理学研究所で得られた生検についての研究です。
この研究は臨床的に歯内病変と診断され提出された約6700の生検の中に、どれだけ非歯内性病変(non-endodontic periapical lesion(NPL))が含まれているのかを調べることを目的としています。
NPLは細菌感染により生じる根尖病変とは違い、根管治療のみでは治癒に至らず、その他の治療法の選択が必要となる可能性があります。
ここでは、歯内病変とは根尖周囲肉芽腫と歯根嚢胞を指しています。
結果として、提出された生検のうち、歯内病変と組織病理学的に診断された割合は97.1%でした。
つまり、2.8%はNPLだったということです。
NPLと診断された中で頻度の高かったものは、歯原性角化嚢胞、セメント質骨性異形成症、含歯性嚢胞でした。
ここでは上記のNPLの詳しい記載は割愛します。
また、歯内病変と診断されたうちの60.2%が根尖周囲肉芽腫、39.1が歯根嚢胞と診断されました。
ほとんどは歯内病変と診断される結果でしたが、ごく稀に非歯内病変であると知っておく事が重要となります。
実際は組織病理学的に診査しないと分からないことではありますが、日々の臨床で非歯内性病変の可能性を考慮することが必要であると考えます。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年07月27日 13:20