歯の内部に穴が開いている場合 ~歯を残すことが出来るのか~
今回は歯の内部に穴が開くこと“穿孔”について書いていきたいと思います。根管治療は歯の内部の感染の除去、および再感染の防止を目的に行われています。
穿孔を起こすことにより歯の内部の感染がそこから周囲の組織に拡がったり、逆に歯の外側から細菌の侵入を許したり、または歯の耐久性を低下させることが懸念されています。
一昔前だと穿孔が起きた時点で抜歯になると言われており、それは歯内療法専門医以外の術者の治療では今もさほど変わりない考えです。
穿孔に対する治療法としてMTAという歯科用の材料を使用するということは歯科医の中では広く知られてきていますが、MTAを使用すれば全ての穿孔が治癒に導けるかというとそうではありません。
ここで一つの研究を紹介致します。
穿孔部位をMTAで封鎖して、その後14年間経過観察を行い、その治療効果を調べた研究です。
この研究では約93%で治癒が認められ、MTAの使用が穿孔部位の封鎖に効果的だということが再確認できましたが、ここで重要なのが治癒しなかった残りの7%です。
ここで述べられている治癒に導くことができない要因として、穿孔のサイズや部位が挙げられています。
穿孔のサイズが3mmより大きい場合や穿孔部位が歯周ポケットと交通していたり、より歯の上の方の部位の場合は再発したり治癒しないリスクが挙げると述べています。
術前にレントゲン写真やCT画像で確認できる場合もありますが、術中に穿孔を認める場合もあります。
重要なのが、それが治癒に導くことができる可能性が高いのかどうかです。
治療前や治療中でも起こっている情報を患者さんと共有していき今後の治療方針を決定していきます。
予後が悪いことが予想される場合は次の治療の一手に進んだ方が得策な場合もあります。
それは患者さんの考え方によって変わってきますので、こちらから考えを押し付けることは致しません。
もちろん、歯の内部に穴が開いているから抜いた方がよいと言われた場合でも救える可能性がある歯については全力を尽くしますので、まずはご相談ください。
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
https://kuramotodc-ikebukuro.com/reservation.html
2022年11月30日 13:10