倉本歯科医院|歯内療法専門医による精密根管治療|東京都

歯内療法専門医によるマイクロスコープ、歯科用CTを使用した精密根管治療を実施しております。

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非歯原性の疼痛  ~歯内療法専門医と口腔顔面痛専門医との連携~

今回は非歯原性疼痛について書いていきたいと思います。
 
歯痛は最も一般的なタイプの口腔顔面痛の一つです。
痛みは歯に起因しているように見えますが、実際には歯原性ではない原因(筋肉、関節、上顎洞、隣接する脳神経など)を指す場合があります。
更に臨床判断を複雑にする要因の一つとして、非歯原性口腔顔面痛は、歯原性疼痛と同時に発生する可能性があることが報告されています。
非歯原性の口腔顔面痛は、歯内治療が成功した後も痛みが持続する危険因子となる可能性があり、持続性の疼痛は歯内治療患者さんの5~24%に影響を与えると推察されており、そのような痛みが歯内治療の続発症であるのか、それとも根管治療で解決されなかった術前の痛みの持続であるのかは必ずしも明らかではありません。
 
患者さんの主訴の原因が歯原性以外に原因があると疑われる場合、口腔顔面痛の専門医に紹介することがあります。
今回は、歯内療法専門医から口腔顔面痛専門医へ紹介した患者さんの統計、診断、結果などをまとめた研究を紹介致します。
 
ある大学病院の歯内治療科に紹介された患者さんの中で、更に口腔顔面痛専門医へ紹介が必要なケースが選択されました。
研究対象の内、80%が女性で平均年齢は48±17.4歳でした。43%はうつ病/不安の病歴を自己申告しました。60%は主な口腔顔面痛の訴えとは異なり既存の慢性疼痛障害の病歴を報告しました。最初の口腔顔面痛の予約時に37%が主訴からの痛みに1年以上耐えたと報告し、34%が3ヵ月以上1年未満の痛みを報告しました。
最初の歯内治療の相談の後、37%は非歯原性の原因があると疑われたため、歯内療法の治療計画はありませんでした。
研究対象の83%は口腔顔面痛の専門医によって非歯原性の疼痛を伴う状態と診断されました。この研究では、患者さんの多数は顎関節または筋肉起源による疼痛と診断されました。
口腔顔面痛専門科による治療で、完全な痛みの解消は6%報告されました。また51%がある程度痛みの軽減が報告されました。
 
このように歯内治療が必要と判断されて紹介された場合でも、その症状は非歯原性が原因である可能性もあり、また、歯内治療が必要と判断されても、それとは別に非歯原性の原因が潜んでいる場合があります。
様々な状況を想定して初回の診査・診断の際に患者さんと何が出来て、何が出来ないのか、何が分かり、何が分からないのかといった情報を共有することが大切です。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2022年07月21日 13:10

痛みの分類  ~歯科の痛みにも様々なタイプがある?~

今回は“痛み”について書いていきたいと思います。
 
”痛み”は歯内療法の一般的な症状ですが、他が原因となる痛みとは区別する必要があります。
2020年に口腔顔面痛の国際分類(ICOP)(International Classification of Orofacial Pain)が発表されました。
これは口腔顔面痛を独自に扱う包括的な分類で、大きく6つに分けられています。
 
1, 歯槽および解剖学的に関連する構造の障害に起因する口腔顔面痛
2, 筋・筋膜性口腔顔面痛
3, 顎関節の痛み
4, 脳神経の病変または疾患に起因する口腔顔面痛
5, 原発性頭痛の症状に似た口腔顔面痛
6, 特発性口腔顔面痛
 
1の”歯槽および解剖学的に関連する構造の障害に起因する口腔顔面痛”の中でも更に細かく分類分けされており、そこから60近く枝分かれしています。
具体的には①歯髄の痛み、②歯周痛、③歯肉の痛みから更に細かく分類されています。
診断の際に常にこの分類に当てはめて判断している訳ではありませんが、このような分類があることを知っておくことが診断の一助となる事があります。
 
歯が直接の原因でない”1”以外に5つも分類分けがあり、それらがしばしば歯が原因である痛みと誤認してしまう場合があります。
そのようなケースでは歯科治療をしても痛みの改善はありません。
逆に治療介入により”1”の痛みを引き起こしてしまう場合もあります。
 
レントゲン写真やCT画像の所見で明らかに歯に問題がある場合でも痛みを生じている原因は他にあるケースもあり、それが問題を複雑にしています。
しかし、歯に問題がある場合はそれに対する治療を行うことは間違いではありません。逆にその問題が治癒することで確実な鑑別が可能となる場合があるからです。
その事を最初にしっかりと説明しないと歯科治療でいつまで経っても”痛み”が消えないと患者さんに判断されてしまいます。
歯または歯の周囲に痛みを感じているからといって、安易に歯科治療で解決するとは歯科医も患者さんも思わない事が重要です。
 
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2022年07月20日 13:30

外科的根管治療  ~再根管治療とどっちがいいの?~

今回も外科的根管治療について書いていきたいと思います。
 
2021年に報告された論文では、根管治療を行い根管充填されている歯の根尖性歯周炎の有病率は39%に達すると述べています。
根尖性歯周炎の原因には、不十分な洗浄、器具操作、根管系の不完全な封鎖などが挙げられ、その他にも歯の解剖学的要因によって生じることがあります。
治癒に導けない歯内療法は、非外科的な再根管治療と外科的な根管治療によって対処することができます。
さらに非外科的根管治療でも治癒に導けない場合、外科的根管治療を検討することとなります。
しかし、非外科的な再根管治療と外科的な根管治療のどちらを最初に選択するかの議論は続いています。
ここではそれを比較検討する為に、1848件の論文から適切な論文を5つ選択して検討した研究を紹介いたします。
 
非外科的再根管治療を対照群、外科的根管治療を実験群と呼びます。
対照群(18.31%)と比較して実験群(7.1%)ではさらなる治療介入の必要性が少ないことが観察されました。
また実験群(82.9%)と対象群(71.7%)の歯の大部分は根尖周囲の病変の完全な治癒または部分的な治癒を示しました。
レントゲン写真による術後の評価では対照群(69.5%)と比較して、実験群(84.3%)でより良い結果を示しましたが、CBCTで分析を行った研究では対照群(96%)の方が実験群(75%)よりより良い結果を示しました。
 
これらを報告した著者は論文間の不均一性やバイアスが高いため、定量分析は出来なかったと述べています。
 
このように様々な論文を紐解き比較検討していくことで、治療の確固たるガイドラインが作られていきますが、現状では再治療を行うにあたり、非外科的再根管治療と外科的根管治療どちらが最初に行う治療法として適切かは判断できません。
その時の歯の状態によってどちらも正解の場合もあれば、どちらかを選ばざるをえない場合もあります。
治療法の選択にはそれぞれメリット・デメリットが必ず存在しますので、歯内療法専門医とよく相談して選択することをお勧め致します。
 
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2022年07月15日 13:00

外科的根管治療  ~短期間で良くなる?~

今回は外科的根管治療について書いていきたいと思います。
 
外科的根管治療とは、通法の非外科的根管治療で治癒できなかった歯、非外科的根管治療による介入が難しい歯などが対象となります。
通常、非外科的根管治療で治癒しない場合、細菌による刺激物が根管内に残留している場合、根尖孔外に細菌感染が及んでいる場合などが考えられます。
歯科用マイクロスコープの適用により外科的根管治療の成功率は大幅に向上したことは数多くの研究から報告されています。
 
非外科的根管治療は複数回の治療回数を必要とします。
それに対して、外科的根管治療は1回の治療介入で済むことが知られています。
ここでは、非外科的根管治療と外科的根管治療とで治癒のスピードに差があるのか報告した研究を紹介致します。
 
この研究は10年以内に英語論文として発表されたヒトを対象とした研究をいくつか集計して統計にかけた研究です。
検索によって3900もの論文がピックアップされ、その内の種々の条件に合致した10の研究をまとめています。
 
結果として、外科的根管治療は1年後の成功率は高い成功率を示しましたが、2-4年後には非外科的根管治療と成功率に関しては同等あるいは逆転傾向を示したと報告しています。
また、外科的根管治療の高い成功率は短期間のフォローアップによって示されてきたが、いくつかの研究では長期的なフォローアップ後でも根尖病変の有意な治癒が示されたと報告しています。
結論として、外科的根管治療は短期間のフォローアップでより迅速な結果を求める患者さんの間でより良い認識をもたらす利点を示していますが、長期のフォローアップでは従来の非外科的根管治療と比較して根尖病変の治癒に違いが出る可能性も示唆しています。
 
日本と世界では歯内療法を取り巻く環境が違うので一概に全てを参考にできる訳ではありません。
初回の根管治療が不適切に行われている状況では外科的根管治療を行っても長期的にみると再発してしまうリスクが高まります。
外科的根管治療はほぼ根尖部のみに対する処置なので、それよりも上の根管内の状態が担保できないと長期的な治癒が期待できません。
外科的根管治療は少ない治療回数済みで短期間の治癒に関しては優れていますが、このような事も考慮して行わなければなりません。
一度、歯内療法専門医による診察を受けて治療法については相談することをお勧め致します。
 
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2022年07月14日 13:30

骨の開窓  ~病変がなくても違和感が持続している~

今回は骨の開窓(フェネストレーション)による根尖突出について書いていきたいと思います。
ここで書く”開窓”とは、歯槽骨(歯の周囲の骨)の皮質にある欠陥あるいは窓のような開口部を表します。
これは、生理学的(自然に)あるいは病理学的(病的に)プロセスから発生することが示唆されています。
ザックリ簡単に書くと、本来なら歯根の先は骨で覆われていますが、何らかの原因で歯根の先の骨に窓のような穴があいて粘膜と歯根の先が交通している状態です。
フェネストレーションによる根尖突出は、根尖病変、過去の外傷、歯周病、傾斜した歯、咬合性外傷、矯正治療、歯槽骨の元々の厚さなどの因子と関連していると言われています。
好発部位としては上の犬歯(上顎犬歯)、上の奥から二番目の歯(上顎第一大臼歯)あたりが多いと報告されています。
ここの部位は元々の歯槽骨の厚さが薄いことも原因の一つとなっています。
CTを利用した大規模調査をした研究では数%~十数%に開窓が見られたと報告していますが、これは研究手法やサンプルなどによって変わってくるので、あくまで参考程度です。
 
症状としては、根尖に相当する部位の歯肉を押すと痛むあるいは違和感があったり、その辺りに持続的な違和感があるといったものがあります。
 
根尖病変によって皮質骨が開窓している場合はそれに対する治療を行うことで治癒に向かい、根尖が骨で覆われる可能性もありますが、完全に覆われず一部開窓している場合もあります。
基本的に感染による炎症が原因でなければ経過観察となりますが、違和感などがあまりに強い場合は外科的な対応が必要となる事もあります。
 
このフェネストレーションによる根尖突出は普通のレントゲン写真では見つけることは出来ません。
歯科用CTによる精査が必要となります。
 
違和感があるが、歯根は悪くないと説明を受けた場合、このような事が起きていることも考慮しなければなりません。
もし気になる場合は歯内療法専門医に相談することをお勧めいたします。
 
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2022年07月13日 13:10

瘻孔  ~歯肉にできた出来物~

今回は“瘻孔”について書いていきたいと思います。
 
瘻孔とは根尖病変(根の先に膿が溜まった状態)によって膿瘍(膿)が排膿路(出口)を求めて皮質骨が吸収されると、歯肉にできる出来物のようなものです。
ざっくり言うと膿の出口となります。
 
瘻孔は根尖病変の他にも、歯周病が悪化した際や、歯根破折による感染などによっても発生します。
膿の出口となる瘻孔と根尖病変を繋ぐ経路を瘻管と言いますが、この瘻管は上皮に裏打ちされていたり、あるいはされていなかったりと状況によって異なります。
しかし、根尖病変が原因の瘻孔に関しては根管治療を含む歯内療法後に治癒することは広く知られています。
瘻孔の存在は、歯内療法の長期的な結果には影響を与えない事が様々な研究で報告されています。
瘻孔はそのほとんどは口腔内の歯肉に発生しますが、ごく稀に顔の皮膚に発生する場合もあります。
 
ある研究では、レントゲン写真に写る根尖病変のサイズが大きいほど瘻孔の出現率は高まると報告しています。
根の周りの骨を吸収して病変は大きくなりますが、無症状の内に進行しているケースがほとんどです。
症状を感じた事はないが、歯医者で指摘された経験がある方もいらっしゃるかと思います。
実際に、瘻孔が出現している場合は前にも述べた通り、骨の吸収がある程度進んでいる事が多いので治療介入をしていく必要があります。
体の免疫の状態(体調)によって瘻孔は出現したり、消えたりを繰り返します。
消えたからと言って自然には治らないので注意が必要です。
 
瘻孔が生じる原因として歯根破折の可能性もありますので、治療介入により歯が保存不可能と診断される事もありますので、術前の診査・診断や説明が重要となります。
 
歯肉に出来物ができた際は歯内療法専門医による診察を受け、現在の状態を詳しく診査することをお勧め致します。
 
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2022年07月11日 13:30

歯の漂白  ~考慮するべき合併症とは~

今回も歯の内部漂白について書いていきたいと思います。
歯の内部漂白は日本では”ウォーキングブリーチ”と呼ばれ、歯髄(歯の神経)のない歯が適用となります。
文字通り、歯の内側に薬剤を入れて内部から歯を漂白する方法です。
 
しかし、ウォーキングブリーチを行う際は考慮しなければならない合併症が存在します。
それは”歯頚部外部吸収”です。海外ではECR(external cervical resorption)と呼ばれています。
これは、ウォーキングブリーチを行った歯の主に歯と歯肉の境目付近の歯が原因不明に吸収する現象です。
ウォーキングブリーチ後のECRは1979年に最初に報告されて以来、様々な研究によってその関連を調べられてきました。
しかし、現状ではウォーキングブリーチ後になぜECRが発生してしまうのかは分かっていません。
ECRは無症状で現れる傾向があり、多くの場合はレントゲン写真を撮って発見されます。
進行具合によっては、周囲の歯肉が腫れたり、歯を叩いた際に何らかの症状を感じます。
また、症状が進行してから発見されることが多いことから修復が困難なケースもしばしば報告されています。
修復が困難ということは歯の保存が不可能ということであり、抜歯対象となります。
様々な研究によるウォーキングブリーチ後のECRの発生率は0~7%程度と報告されており頻度はそこまで高くはありませんが、術前に患者さんにはしっかりと伝えておかなければならない事なのです。
 
歯を削らずに歯を白くできる素晴らしい治療法ではありますが、そのリスクをしっかりと理解した上で治療を選択する必要があります。
もし、ECRの可能性を受け入れられない場合は歯を切削してべニアを貼りつけたり、被せ物を被せたりする治療が適用となります。
術前の説明をしっかりと聞いて治療法を選択し、自分にとって何がベストなのか一緒にご提案できればと思います。
 
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2022年07月08日 13:30

歯の漂白  ~最も多い原因とは~

今回も歯の漂白について書いていきたいと思います。
歯の漂白はホワイトニングが一般的だと思いますが、歯内療法の領域の中にも歯を漂白する”ウォーキングブリーチ”という方法があります。
一般的なホワイトニングは外側から薬剤を塗布して歯を漂白するのに対して、ウォーキングブリーチは歯の内側から薬剤を入れて漂白します。
歯の内側から薬剤を入れるので、歯髄(歯の神経)は除去してあることが前提となります。
したがって、歯髄が失活(歯の神経が死んでいる)おり、それに伴って歯の変色が起きているケースが対象となります。
 
ここで一つの研究を紹介します。
歯の漂白が必要なケースを集計した結果、最も多かった歯種は上の一番前の前歯で、その次は上の二番目の前歯でした。
また、原因として考えられる最も一般的な原因は歯の外傷で、次に以前の歯科治療、歯髄壊死、歯髄石灰化だったと述べています。
歯の外傷により歯髄にダメージが加わることで歯が失活して歯が変色したと考えられます。
この研究では日本でも一般的に用いられる過酸化水素水、過ホウ酸ナトリウムを使用してウォーキングブリーチを行っております。
その結果、歯の変色の改善に対して「良好」と答えた患者は87.1%、「許容可能」と答えた患者は12.9%でした。
この結果だけみるとウォーキングブリーチによる歯の漂白は歯の変色を改善するのに効果的と判断できます。
しかし、歯の漂白の効果は未来永劫続くものではありません。なので多少の後戻りは考慮しないといけません。
その場合、再度ウォーキングブリーチを行うか、歯を被せる処置に移行するかはその時の判断となります。
 
歯が一本だけ変色している場合、歯の神経が死んでいる可能性があり、過去に根管治療を行っている場合でも根管治療をやり直し、歯を内側から漂白することで変色を改善できるかもしれません。
お悩みの歯がありましたら、まずご相談ください。
 
豊島区池袋の倉本歯科医院では歯内療法専門医による根管治療、歯髄保存治療を行っております。
お悩みの歯がありましたら、ご相談ください。
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2022年07月07日 13:50

歯の漂白  ~歯の内側からする漂白~

今回は歯の漂白について書いていきたいと思います。
 
歯を白くしたい場合、通常ですとホワイトニングが真っ先に頭に思い浮かぶと思いますが、歯内療法の領域でも歯の漂白について取り扱っています。
歯が失活(神経が死んでしまう)すると歯が変色することを知っている方は多いと思います。
通常、歯内療法の領域における歯の変色は、歯髄(歯の神経)の損傷、歯髄腔および歯髄組織の残骸による汚染、根管充填材などによって引き起こされます。
外傷などで歯にダメージが加わると、歯髄の血液中の赤血球の溶血によって誘発される鉄が放出され、これは硫化鉄に変化し、歯の変色を引き起こすとされています。
 
歯の表面が着色によって変色しているのではないので、通常のホワイトニングだけでは効果が得られにくいのです。
このような場合、歯の内部から漂白する”ウォーキングブリーチ”と呼ばれる手法が用いられます。
ウォーキングブリーチを行うには歯質が多く残っていることが前提となりますが、根管治療を行うまたは行った窩洞内に薬剤を入れて数日間から数週間程度置いておくことで歯が漂白されます。
この際に用いられる薬剤として、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムなどが古典的に使用されています。
ある研究では濃度が高いほど漂白効果が高いと報告していますが、濃度が高まるにつれて歯へのダメージも報告されています。
漂白剤が浸透する範囲で歯の吸収があることが報告されているのです。
これは漂白の手順や方法、使用薬剤およびその濃度、適用時間を守ることで、ある程度防ぐことは出来ますが、行う前にリスクとして説明しております。
 
前歯をぶつけてから歯が変色してきた、根の治療をしてから歯が変色しているなどのケースは歯の内部から漂白することで改善できる可能性があります。
根管治療の状態によっては、再根管治療が必要になることがありますので、お悩みの際はご相談ください。
 
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2022年07月06日 13:40

根管洗浄  ~レーザーを用いた洗浄液の最適な濃度は~

今回もレーザーを用いた根管洗浄について書いていきます。
 
歯内療法の領域で最も一般的に用いられる根管洗浄剤は次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)です。
効果は抗菌性と組織溶解能力です。
根管洗浄はこのような洗浄液を根管内の隅々まで行き届かせることが理想とされていますが、現実的にそれは難しいです。
そこで根管内に洗浄液を満たした状態でレーザー(Er:YAG)を使用すると、レーザーによって誘発された大きな蒸気泡が膨張して破裂し、根管系でアコースティックストリーミングを引き起こします。
コップの中に水を入れて音叉を鳴らして水の中に入れると水が揺れるのを見たことがあるかと思いますが、それに似たような現象です。
このようなシステムをPIPS(Photon-induced photoacoustic streaming)と呼びます。
 
根管洗浄剤は用いる濃度によっても効果は変わってきます。
しかし、レーザーを用いたPIPSとNaOClとの相互作用に関する研究はまで不足している状態です。
そこで一つの研究を紹介します。
NaOClの濃度が、PIPSによるキャビテーション効果と流体力学にどのような影響を与えるかを調べた研究です。
結果として、NaOClはPIPSによって生理食塩水と比較して有意に強いキャビテーション効果を示しました。具体的には、レーザーにより誘起された気泡の数とその振動時間が長い点においてです。
また、濃度の異なったNaOClによる流体速度の違いについての結果は、1%、2.5%NaOClが実験群の中で早く、濃度が高まるにつれて遅くなっていきました。
 
以上のことからレーザーを用いたPIPSによる根管洗浄時には、1%、2.5%あたりの濃度のNaOClを使用することで効果が発揮されることが示唆されました。
 
現状、レーザーを用いた根管洗浄は当院では行っておりませんが、導入した際はこのような研究を参考に治療プロトコルを決定していきます。
 
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2022年07月04日 13:30

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